第三楽章 2
薄力粉の分量を計り粉ふるいにかける。
牛乳と玉子も用意したところで音弥の手が止まる。
普段和音で出すパンケーキは、昔ながらの、所謂ホットケーキのような物だ。
だが絵茉の年代では「映える」方が嬉しいかもしれない。
玉子をボールに割入れようとしたが、すんでのところで卵白と卵黄とに分ける事にした。
薄力粉の方へは卵黄だけを入れ、卵白でメレンゲを作る。最終的にこれらを合わせれば、フワフワの厚みのあるパンケーキになる。
但し、できれば食べる直前に仕上げたいので、作っている間に説明は奏に進めてもらおう。
そんな事を奏に話しながら、音弥は手際よくトッピングのホイップクリームやフルーツの準備を始めていた。
それから間もなく、店のドアが開いた。
「いらっしゃいませー」
「こんにちは」
元気のいい声がほぼ同時に二つ響く。
海月と、聞き覚えのない女性の声だ。
「先生、どうぞ中に」
慌てて立ち上がった奏の様子から、女性が顧問の先生らしいと悟る。
奏は女性をそのまま中へと促し、奥のテーブルを勧めた。
その後ろにはこの辺りで見かけた事もある制服の中学生。絵茉だ。
それと母親らしき、絵茉と目元のよく似た少しふくよかな女性がいた。
奏は絵茉と母親も先生と同じテーブルまで案内し、自分も着席をしてメニューを広げた。ドリンクメニューを指し示し、絵茉に好きな物は何かとている。
そしていつの間にか、カウンターにはFの姿が化現していた。
役者は揃った。




