The beginning of wisdom is a definition of terms.
Know thyself.
それは高い場所だったのか。
少しした後に、小さな破壊音が響き渡った。
落ちてゆく最期にその眼が映したものは「誰か」の横顔。
気づいてほしいという懇願を無視し続けていた「人形」は、その最期で自らの意思で眼を開き、そして、自分を見ていない最愛の人をその眼に「映した」。
The comic and the tragic lie inseparably close, like light and shadow.
粉々にクラッシュされた残骸は「誰か」が展望台から降りてきたときには、もう廃品回収されるところ。
まだかろうじて、原型が残り、白いウェディングドレス擬きを纏った「人形」が茶色い剥き出しな地面に突き刺さっている。
「誰か」はすぐに「人形」だとわかったのだろう。扉から飛び出し、その回収車に近づこうとする。
四肢が折れ、胴体だけで静かに佇んでいる「彼の花嫁」に。
「誰か」はまた、他の誰かに呼び止められて、その間にゴミ回収車の羽が回り、破砕音が「誰か」の目の前で鳴り響いた。
Let him who would move the world, first move himself.
周囲のみんなはとても楽しそうに誰かを祝福していた。
あのゴミ回収車の中で羽が回り、軋みながら閉ざされた真っ暗な「視界」。
その最期の鮮やかな「静止画」は「誰か」がとても綺麗で艶やかなルージュの女性と抱擁しキスしていた場面であった。
最後に「誰か」を呼び止めたのは「誰か」の婚約者。「誰か」は綺麗な礼装を着用し、ウェディングドレスを着た綺麗で艶やかな人と、とても幸福そうに赤いカーペットを歩いていた。
俺は「人形」の眼球を持って、結婚式に参列していた。入口すぐそばから、彼ら2人の神への誓いを、その人形の右眼に映した。
Between us and heaven or hell there is only life, which is the frailest thing in the world.
風に巻かれて空に落ちていくとき、俺は人形の中で手を伸ばしていた。嫌だ、助けて、と。
だけど何も掴めずに、ただ「誰か」を見ていた。そしてそのまま一面のベタ塗りの水色に視界が染まって、自由落下する浮遊感を味わい、気がついたら、壊れた「人形」の横にいた。
The hour of departure has arrived, and we go our ways – I to die and you to live. Which is the better, only God knows.




