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A good beginning makes a good ending.

渋谷は「灰色」の世界になっていた。


昼間の光量が「灰色」に落ち込んだ空間を囲む四方全てに大量の鳥。空には黒い影となったカラスが「画面」を埋め尽くさんと飛んでいる景色に放り出された。


そんな現実世界なのにどこか一枚ずれたゴルゴダの丘を登り、学校へ向かう。


あまりに人が多い。

マスクがなければ昔と何ら変わらない街。


東急線はどんつきだったとか「構造」そのものは違う。だけど校内の学生達や雰囲気そのものは違わない。欲しかった書類は間に合わなかった。


動悸がする。


この景色に取り残されたくなくて、慌てて逃げ出す。正門から振り返れば由緒正しい建築物。背景を構成する木と空は、あの日のまま。緑と赤と白色のハイコントラストが視界を埋める。


右手の時計をみれば、まだ少し時間があった。

ついでに明治神宮へ向かおうと右に曲がった。


この呪われた3か月から逃げ出したい。コンクリ色の虚栄で構築された「参道」を恐慌状態で駆け抜ける。


飛び込んだ森の中にある砂利道を早歩き。酒樽を横目に見ながら、だけど、鳥居が見当たらない。古い白木の鳥居が見つからなかったが、そのまま進む。


たどり着いた人もまばらな境内で、賽銭入れて祈った。


「答えが欲しい」と。


そしておみくじを引いた。


「人はただ すなほならなむ呉竹の 世にたちこえむ ふしはなくとも」


著名だろうが、どれだけ優れた才能があろうがなかろうが、心が捻くれていれば全て歪んで見える。あなたは素直な心ですか、と「問い返された」。


呪われた、と思っていた。


だけど、その情報を調べたのは俺自身の「選択」に他ならない。


その結果、俺は「ここ」にいる。


自責のフリしているだけで、結局は他責にして逃げ出した。どこかで自分の責任であることを拒否していた。だから、俺は向き合うのが怖かった。


「イメージ」に「投影」していた。

自分の想いを、気持ちを。


人は人でしかない。才能の有無で、人は人をやめたりできない。

だから、知覚したものしかわからない。


わからないものをわからないと受け止められない。


俺は「呪われていない」。

自分がこうしたいという「思考」を拒絶していただけ。


俺が嫌いな「モノ」。

それは、「俺自身」。


あまりに衝撃的な回答を握り締めた。


気がつけば、昨日間に合わなかった警察署。

今度は、間に合った。


綺麗な緋色空を見上げる。


変わらない。

変われない。

変わりたくない。


だけど、変わりたい。

だから、ここにいる。


残酷で綺麗な夕暮れ

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