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笹舟

まだ若者だった日。

今見ている光景の中にいた時間。


だけど、今は遠い昔。


重ねた年月の重さを知る。もう無邪気に笑ったり、斜に構えて見ている時間は遠に終わりを告げている。


結局、小さなパズルピースはいつだって誰かにコントロールされてる時間しか持てない。どこまでも。


なら、せめて


6月27日


シルバーのイルカが水色のビー玉を抱えた小さなキーホルダー。


ずっと前に友人が買ってくれた誕生日プレゼント。荷物片付けていたら入っていた。懐かしさに眺めすがめつつ見ていた間に寝ていたらしい。握り締めたひんやりとした金属が夢から思考を現実に引き戻す。


眠い。


どこか気が抜けたのか、身体が怠くて仕方ない。薄っぺらいカーテンの隙間から差し込む光が屈折して、室内に小さな虹を作っていた。


ベッドの中から、ぼんやりとその虹を見つめる。どこにも向かえない架け橋。


前髪は特に作っていないのだが、視界が髪で塞がっている。見え隠れするストライプな視界から見えた虹は僅かな時間で消えた。


金属特有のひんやりしたノスタルジックなキーホルダーを部屋の鍵につけて、外へ出る。


何もない街角を気儘に駅に向かうというなんとも贅沢な時間を使っている。同じ街中歩くとしても、随分と浮き足立っている。


今や素寒貧で、明るい世界を平日真っ昼間から歩いている俺は、俺が理解できねーな。いや、マジで。なんなんだろう?


太陽が眩しい。本格的な夏の始まり。この晩春から初夏はどれだけ歳を重ねても、相変わらず何より美しい。


高揚感に好奇心。身体が全力で太陽光発電したかのような効率で騒ぎ出す。発電効率が低いのまでお約束。


やってきた「急行」に乗り、やたらと種類の多い「フォーク」みたいに先が分かれた路線図をげんなり眺めてそのまま、車内から車窓を通して空を見る。


東京に近づくほどに雲が広がって青空を侵食していく。

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