遥かなる花の梢
思考回路の中は灰色な迷路。
ベッドに寝転がり煤けた白い天井をぼんやりと眺めている「誰か」と、やるべきことを考えている「俺」がいる。
空想の机でダイヤグラムを広げ、優先順位を決める。
今日やるべきことの最低限なタスクを決めて時間で割る。
随分と長い間、製造業にいるから「工数管理」は叩き込まれている。全体から無駄を省いた骨子。無くせない作業。
それが「定量」。数えられる仕事。
生きる為に必要なお金を稼ぐ。それでいて社会の「歯車」として必要な「機械的」に可視化できる「誰でも出来ること」。
そして空いた時間は「個人または我々にしかできない仕事」をする。それに「血肉」を付けて「中身」入れる。
それは「定性」。
形にならないからカウントされないし、自己的欲求は満たさない。俺自身が無駄だと切って捨てていた「人が人足り得る何か」。
だけど、たぶんそれが必要だったのだろう。
この時間で「わかったこと」。
何事にも意味などない。
意味がある時間を生きるために、そうするために、人は学び、研鑽し、迷いながら、誰かに手を伸ばす。その知性を、魂を、いつか還るその日まで磨き続ける。
ゆっくりと目を開ける。身体は落ち着いている。
11時23分。随分と思考していたか。
先ずは「形」を整える。この部屋を勤務可能にしないと此処にきた意味がない。在宅勤務も考慮して、荷解きを終える。
改めて見回せば、ミニマリストさんも真っ青なぐらいに何もない。いや、調べ物の荷物が今回増えた。おそらくこれが「余裕」というものなんだろう。
第三者としてみれば、随分とアンティークかつ極端に範囲が狭い。絶対に見せられない何かすぎて、だいぶ困惑している。
・・・とりあえず、クローゼットの奥に仕舞う。
さあ、出かけるか。




