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さめたコーヒー

「過去」の「未来」から、振り返る。


それは、推理小説を最後から捲るような、なんとも言えない背徳感だった。


睡眠薬が効いてきた。カーテンを閉めて、明かりを消す。枕に頭を埋めると、とりとめのない思考がぼんやり止まりはじめた。


この総集編といえる雑誌は不思議だ。


この方は「マイホームパパ」とか「国旗掲揚」など普通に人としての発信はしている。この雑誌に至っては好きな食べ物や適当に作った料理を配偶者と食べたなどだいぶ本来の人として回答している。


やはり彼自身のインタビューだけを追うと、他者から見られることを意識しながらも伝わらないことにもがいているというかのような振り幅がある言葉が並ぶという推論は変わらない。


しかし、雑誌インタビュー時期の周囲データ、ファンの行動はジャケット写真を刺青にして腕に彫るなど、いろいろとヤバい。挙句に妄想で放火犯まで発生している。勝手に書き綴られる「美学」。


当時は一体、何があったんだ?


これだけ神格化されると完全に新興宗教。このおじいさまがカルト的人気なのは間違いない。周りの方が魅了されすぎている。


今まで集めたマスターピースからみても言葉を尽くして説明するのは苦手感。


ただ、ある一定の許容範囲を超えると、突如ベクトルを変える。突然失踪してもおかしくはない気がするし、それこそ再結成しても、別におかしくはない気がする。


「顔」と「腕」のない美しい彫刻、サモトラケのニケ。自己を表現する術が全て折れてもなお美しい翼の生えた、誰しも手を伸ばす「勝利の女神」。


「顔」も「手」もない「翼」の生えた女神様。

誰彼も留めおきたくて「鎖」のように手を伸ばしてしまう。


どうにかつなぎ止まっていた意識が落ちる寸前に、口から出たのは、なぜか俺を壊した「あの曲」だった。


あまりにも対照的な「生き様」。声高に少年の頃の夢を追いかけているギタリストとも、音楽を誰かに届け続けたいともがく音楽家とも。


違う「選択」をした「顔」のない、繋ぐ「手」を無くしてしまった、どこか不器用なこの方を「愛しい」と思った。

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