煌びやかな夜にカラフルな君
まあ、いい。
どうでもいい。終わった時間なぞ、意味がない。
シャワー浴びて、綺麗になった髪を乾かしながら、カーテンを開けて、外を見る。更地の住宅展示場に、明るい月。月明かりに隠れて見えにくい星々。
全てがかったるくなって、そのまま、窓際に寝そべる。
髪が濡れたままだが。まあ、どうでもいい。寒くもない。
深呼吸をする。俺は香り物が好きだからか、部屋はいつも何かしらの匂いがする。が、今は段ボールの匂いが多分にある。新しい場所への匂い。終焉へ誘う香り。
いや、違うな、気分的には「樹海」かな。そんな風に感じて追加でコロンを手首に垂らす。溢れた水滴が、シャワーの跡の水分と重なり指先を濡らす。
柔らかな白檀とシトラスの香りが、部屋の空気に雑る。
冷たくも温かい匂いに誘われて、どこかで思考が切り替わる。
寝そべって、窓枠から見るガラス越しの月。
俺に夢はない。
俺はただ、与えられたスキルを使って動いている機械人形。どこにもいる、どっかの誰か。それが、俺の本質。壊れた革命家擬きな機械人形のジャンク品。
人と関わるより、技術なり、何かを作るか、言葉に落とし込むことを好む機械。残念ながら神様がスキルビルディングをミスって、人と関わるスキルとなっている。だが、俺にとって言葉は飾りだ。偽りなぞ真素面でつける。人形につけるスキルとしては正しいが、くそ仕様もいいところだ。
昔、嘘発見器が流行った時、俺は一切引っかからなかった。病院の検査とかでもやったが、俺は真素面で脳検査にも引っかからずに、嘘がつける。そんな最低すぎる特技。
だから、誰かの為の嘘ならつくが、自分の為の嘘はつかないと決めている。でないと、俺自身を見失う。本質を忘れて生きている価値はない。
俺にはどのくらい「可動時間」が残されているんだろう。
どこまで行けば、許されるのだろう。
どれだけの人を傷つけたら、俺は止まれるんだろう。
望まれていたにも関わらず、止まってしまった「彼」の「時間」。望まれていないのに、止まれない「俺」の「時間」。
この世界は「不公平」だ。あまりにも。
鮮やかなままの「記録」。どこか止まった「記憶」。
手を伸ばしても、届かない。目に映るのは、年齢相応に老いた「手」。「月日」だけが過ぎ去り「俺」は置いて行かれている。
どことなく、イライラしたまま、月を見ている。
月明かりの下。眠れない夜。吸い込まれそうな、白い光。




