表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
225/270

煌びやかな夜にカラフルな君

まあ、いい。

どうでもいい。終わった時間なぞ、意味がない。


シャワー浴びて、綺麗になった髪を乾かしながら、カーテンを開けて、外を見る。更地の住宅展示場に、明るい月。月明かりに隠れて見えにくい星々。


全てがかったるくなって、そのまま、窓際に寝そべる。

髪が濡れたままだが。まあ、どうでもいい。寒くもない。


深呼吸をする。俺は香り物が好きだからか、部屋はいつも何かしらの匂いがする。が、今は段ボールの匂いが多分にある。新しい場所への匂い。終焉へ誘う香り。


いや、違うな、気分的には「樹海」かな。そんな風に感じて追加でコロンを手首に垂らす。溢れた水滴が、シャワーの跡の水分と重なり指先を濡らす。


柔らかな白檀とシトラスの香りが、部屋の空気に雑る。

冷たくも温かい匂いに誘われて、どこかで思考が切り替わる。


寝そべって、窓枠から見るガラス越しの月。


俺に夢はない。

俺はただ、与えられたスキルを使って動いている機械人形。どこにもいる、どっかの誰か。それが、俺の本質。壊れた革命家擬きな機械人形のジャンク品。


人と関わるより、技術なり、何かを作るか、言葉に落とし込むことを好む機械。残念ながら神様がスキルビルディングをミスって、人と関わるスキルとなっている。だが、俺にとって言葉は飾りだ。偽りなぞ真素面でつける。人形につけるスキルとしては正しいが、くそ仕様もいいところだ。


昔、嘘発見器が流行った時、俺は一切引っかからなかった。病院の検査とかでもやったが、俺は真素面で脳検査にも引っかからずに、嘘がつける。そんな最低すぎる特技。


だから、誰かの為の嘘ならつくが、自分の為の嘘はつかないと決めている。でないと、俺自身を見失う。本質を忘れて生きている価値はない。


俺にはどのくらい「可動時間」が残されているんだろう。

どこまで行けば、許されるのだろう。


どれだけの人を傷つけたら、俺は止まれるんだろう。

望まれていたにも関わらず、止まってしまった「彼」の「時間」。望まれていないのに、止まれない「俺」の「時間」。


この世界は「不公平」だ。あまりにも。

鮮やかなままの「記録」。どこか止まった「記憶」。


手を伸ばしても、届かない。目に映るのは、年齢相応に老いた「手」。「月日」だけが過ぎ去り「俺」は置いて行かれている。


どことなく、イライラしたまま、月を見ている。

月明かりの下。眠れない夜。吸い込まれそうな、白い光。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ