怪物対コクト
ムラマサを水平に構えて怪物となったトマズを見据える。
そんな男。コクトの脳裏にはある光景が浮かんだ。
燃え盛る城下町。
逃げ惑う人々。
そして、
「!」
ここでトマズの雄叫びによって現実へと戻された。
蛇の胴体となったトマズの尻尾攻撃が襲う。
大きな音をあげて直撃した。
「やれやれ。人が物思いに耽っているっていうのに」
「!」
しかしそこにいたのは意図も簡単に巨大な尻尾を受け止めた男ことコクトだった。
そして目に留まらぬ一撃を尻尾に振るった。
振るわれた箇所からは血が吹き出る。
「ギィシァァァァァァァァ!!!!?」
室内に響くトマズの人が出せないであろう叫び声。
一撃を加え距離をとったコクトの表情は曇っていた。
「チッ。大きいから斬りがいがあるけど硬いな」
ムラマサの刀身を眺めながら呟く。
海竜の鱗がさっきまでよりも強化されていたのだ。さらにコクトが斬りつけた箇所は出血は止まり、治り始めていた。
「回復もしている」
トマズの手に身の丈を越える剣が出現。
「でっけー」
ゴウゥ!!
風を殴るような音とともに上段に振るわれた。
跳躍してそれを避ける。
剣は床に叩きつけられ、衝撃はそのまま突き進み隣の部屋との壁を破壊した。
(まずいな。長引かせるわけにはいけない)
その威力を見たコクトは屋敷が壊れかねないと思った。
「おい。場所を変えるぞ」
弾丸の如く。
コクトはトマズに跳んでいく。
「グゲェ!?」
喉元にムラマサの刀身を当て、跳んだ勢いは殺されることなくトマズの巨大な身体を後ろへと押していく。
トマズは屋敷から外へと出された。
「な!?なんだ。この地響きは!?」
「父さん!?あれを!?」
カイズが指差す先には外へと落ちていく上半身は人、下半身が蛇の怪物とそれを押し倒すように落ちていく仮面の男の姿があった。
(義兄上!ロックレスは、神器に喰われている!?)
エクラは事態の大きさを冷静に受け止めた。
「ここは危険です!!移動しましょう!」
先導する。
しかし。
「俺は知らん!知らんぞ!?」
後が無くなり、自暴自棄になったトマズの父親はことに乗じて逃げようとしていた。
「あなたには、彼と同じように聞きたいことがあるんですよ」
エクラはそう言うと神速を行使し背後を取り、手刀を首筋に当てて意識を刈り取った。




