閑話2:ノイエ
「わかった……わかったわ! こうすればいいのよ。ほら! できたわ! ね!」
ある日、とうとうコツを掴んだノイエがヒールを覚えた。
「ねぇアンコ、見て? ほら、出来たわ」
「やったね、ノイエ! やったね!」
「リリも見て。見える?」
「はいっ。すごいです。ノイエさん頑張ってましたから」
御者しているリリセラにまで言うのだから絶好調だ。
苦労していたから、それだけ嬉しいのだろう。
「トーヤありがとう、今まで付き合ってくれて」
その言葉には返事をせずにニカっと笑顔を見せると、ノイエからもニコっとした笑顔が帰ってきた。
ノイエには珍しい笑顔だ。
なんというか屈託のない、少女の笑顔といった感じの笑顔だった。
それ以降もきゃっきゃうふふとするノイエとアンコの二人を見ていて、俺も混ぜてもらいたくなった。
「俺も混ぜてー」
「おー」
「トーヤは駄目。最近、なんだか身の危険を感じるから」
それはノイエのせいだろ。
あんな告白するから俺のストッパーが一個か二個外れたんだよ。それに今回のは違うじゃん。
「トーヤ様、トーヤ様。それならワタクシと一緒にどうですか?」
俺達が後ろで賑やかにしているので、寂しくなったのか、リリセラがトカゲを止めた。
まあ、ウチのパーティはこんなもんだ。
特に急ぎの旅でもないので、こういう事がよくある。
ノイエにも断られたし、今日はリリセラと戯れるか。
「それは駄目。トーヤ、やっぱりこっちに来ていいわよ」
「ノイエさーん。それはずるいですよー。トーヤ様こっちですー」
なんだなんだ、いつから俺はこんなモテるようになったんだ。
人生に3回あるとかないとか言うモテ期か。
まいったね。
「ご主人どっちにするの?」
「…………え゛」
アンコが爆弾投げ込みやがった。
まいったね。とか言ってる場合じゃなかった。
「…………」
「…………」
おい、お前らさっきなんだかんだで和気あいあいとしてただろ。なぜ静まる。
「…………」
「…………」
ちょっと待て、俺はなんて答えればいいんだ……。
あ、やばい、背中が冷たくなってきた。
「あ、あの……あ!」
というか、俺は俺の答えを持っていたじゃないか。
なんだ、心配して損した。
「みんなで一緒にイチャイチャしようぜ!」
「…………」
「…………」
なぜ静まる。
「ノイエさーん、こっちに来ませんか? アンコさんも」
「そうね、トーヤはそこに居ていいわよ」
「ご主人バイバーイ」
これ、絶対仕組んでたでしょ。
流れが、俺を落とし入れる流れにしか見えなかったもん。
「うるせえ! 俺も混ぜろ!」
「ちょっと! のしかからないでよ、もう」
結局、みんなできゃっきゃウフフした。




