閑話1:リリセラ
リリセラとグロリアさんが仲直りをした次の日。
宿へと戻り、眠りに就き、俺とリリセラが揃って寝坊した日の昼。
俺たちは新天地を目指していた。
「それで、子供の頃のお姉様ったら―――」
「トーヤ様にですね―――」
「その時、お姉様が―――」
ノイエ達も事の顛末を知りたいだろうと、珍しく俺が御者をしていると、馬車の中からリリセラのマシンガントークが聞こえてくる。
その声は普段よりも高い。
しかもマシンガンすぎて、もう何を言ってるのかはわからない。
途中から聞く気もなくなっていたが。
と、言いつつも、馬車の中をちらちらと見る俺。
俺と目が合うと何故か手を振るリリセラ。この距離で。
俺も気が付くと両手で持っていたはずの馬車の持ち手が右手のみになっていて、左手が顔のすぐ横でひらひら動いてるのはなぜなんだろうな。
「あなたたち、浮かれすぎよ……」
「ご主人もリリもなんか変」
「そ、そうですか? そんなことないんじゃないですか?」
えっ、そこ隠すんだ。
何も隠せてないと思うけど。
まあ、いいけどさ。
リリセラが隠して置きたいなら表面上は隠しておくけど。
「そわそわ、そわそわ――――それでですね? 昨日はお月様が――」
そわそわしてたのかと思いきや、我慢しきれなくなったリリセラのマシンガントークが再開された。
「わかったから、もう勘弁してぇー」
「ご主人助けてーー」
うんざりした様子のノイエとアンコが微笑ましい、浮かれまくったリリセラが微笑ましい、昼の馬車だった。




