閑話3:アンコ
「ご主人ご主人、アレやってアレ」
久しぶりにアンコと風呂に入っていると、水てっぽうを催促された。
本当に久しぶりだな。リリセラと出会ってからは初めてか。
思えば遠くまで来たもんだ。物理的に。異世界だもん。
……それはちょっと違うか。
「ご主人?」
ぼーっと考え事をしていたら再度催促された。
「ちょっと待ってろ、水てっぽうは俺がやるより、アンコができるようになった方がいいだろ」
「できるの?」
「そりゃー、アンコ次第だな」
アンコの手を取って形だけ作ってやる。
「水が漏れないようにしつつ、一箇所だけ穴を開けて押し出すんだ」
「おー、……できない」
「俺はできるぞ。ほら、えいえい」
「ずるい」
「ずるくはないだろ」
悪戦苦闘しながら水でパシャパシャと遊ぶアンコ。全然できていない。
でも形はしっかり教えたから後は練習してればいつかできるようになるだろ。
「気になるならくればいいのね」
「恥ずかしいんだろ」
アンコも俺も、実はリリセラがこの風呂のそばで聞き耳を立てているのがわかっていた。匂いとか気配で。
「おーい、リリセラも一緒に入るかー?」
「ひゃぁーー! ノイエさーん!」
逃げるリリセラ。なぜそこでノイエに助けを求める。
「いっちゃった」
「リリセラもノイエも大人の女性だから恥ずかしがり屋なんだよ」
「おー、なるほどー」
これでリリセラとかが恥ずかしがらずに「ワタクシも入りますー」とか来たらそれはそれでショックだし。
アンコが恥ずかしがり出したら、なんか父親みたいな気分でショックを受けるんだろうけど。
結局どう転んでも、ショックを受けるのか、俺は。面倒くさい男だ。
「ご主人ご主人、もっかい見せてぴゅっぴゅーって奴」
「だから水てっぽうな、名前を覚えてくれ」
「あーい」
うんうん、アンコは全然変わらなくて安心するね。そのままの君でいて。
◇
その夜、寝室で寝る前にアンコが意味不明な事を言っていた。
「リリ、リリ。あのね、見たけどご主人の下むいてた」
「ナニがですか?」
閑話は自由に書けて楽しいです。
次から3章。




