野営地襲撃
副題:蹂躙という名の惨状
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実にめでたい!!
カペー王国が連邦として生まれ変わったという情報をタルコフが知り、フェルディナンとロレーヌが思わず言葉を失ったのは、隣国のルクスブルグへの亡命の旅を続けていた最中のことであった。
食糧を得るために街へと行っていたアンドレ曰く、この改革は王国内での革命を扇動した将軍....ヴィーニュ・ソーテルヌ主導の下で行われたこと。
今後の彼は将軍ではなく、国を治める議会の長として責務を果たすことが書かれた紙が配られたこと。
そして、国民達がそれを好意的に受け止めていることを彼が伝えたところ、フェルディナンは今にも倒れそうな顔つきになっていた。
ロレーヌはロレーヌでそんな婚約者を支えつつも、その革命の影響で追われる身となったからか、自分は無力だと言わんばかりに空を睨みつけていた。
それはアンドレも同じだったのか、悔しさが極まったのか拳を握りしめていた。
「ヴィーニュ・ソーテルヌ....ねぇ」
しかし、そもそもこの世界の住人ではないタルコフは、ヴィーニュ・ソーテルヌがやり手の男であるのを察するのと同時に、カペー王国が厄介な状況になっていることも理解したのか、アサルトライフルを片手にそう呟いていた。
ヴィーニュという男は、本格的にこの国を変えるつもりだからこそ、より一層フェルディナンの抹殺に力を入れるのかもしれない。
タルコフははそう警戒していたのだが、その彼の目的がフェルディナンを殺すことではなく、自分自身を捕えた上で利用しようと考えていることなど知るはずもなく、今はただフェルディナン達の護衛のことしか考えていなかった。
その際、人間が聞き取れない距離から何かの音が....馬や人がこちらに向かって歩く音が聞こえたため、彼女は緊張感のある面持ちとなっていた。
「....追っ手か?」
「あぁ、この様子だと集団で来ている可能性が高いな」
アンドレに向けてそう言った後、自分達の近くにあった木に登った上で周りを見渡すタルコフ。
それを見た彼は、どこまでも追いかけてくるつもりか....と憤慨していたが、フェルディナンのそれも彼らの仕事のうちだからなと声を漏らしたため、納得できない様子のアンドレはムッとした顔になっていた。
当のタルコフは、フェルディナン達にこの近くにあった小屋に逃げるように伝えると、そのまま敵の居る場所へと向かっていった。
「なるほど、ここが野営地ってとこか」
騎士達の野営地の近くの木に移動する形にて、その様子を密かに伺うタルコフ。
野営地には多くの天幕が張られており、これではまるで戦争に伴う遠征だと彼女はボヤくほどであった。
それと同時に、タルコフはどこからかの野営地を攻めようかと考え始めていたのか、その場所をジッと見つめていた。
その際、空気を押し殺す形で野営地での騎士達の会話を聞いていたのだが
〈聞いたか?緑衣の悪魔の噂〉
〈全く、悪魔なんて存在するはずがないだろ?〉
という会話が徐ろに聞こえてきたため、その言葉が原因なのか解せないという顔になっていた。
フルメタル・オンラインでは暗殺者と呼ばれ、この世界では悪魔と呼ばれる。
異名のセンスは良いとは思うけれども、自分はそこまでの存在じゃないとタルコフは思ったのか、何でまたそんな異名がついたんだ......という反応になっていた。
ただ、今はそんなことなど気にしている場合ではないと思ったのか、彼女は野営地の人通りの少ない場所に移動すると、木を降りる形でそこに入っていった。
その際、一人の騎士が侵入するタルコフの姿を発見したため、声を上げようとした。
最も、その直前に彼女によって壁に押し付けられたかと思えば、そのまま口を手で塞がれた上で下腹部に何発かのアサルトライフルの弾丸を放ったため、彼はズルズルと崩れ落ちる形で事切れたのだった。
「......そうだよな。俺、人を殺したんだよな」
無意識のうちに震えている手を見て、自身が人を殺したという事実を実感し、受け入れるタルコフ。
ただ、いつまでも感傷に浸っているわけにはいかないので、彼女は野営地の中をまるで空気と同化するように静かに進んでいた。
その際、派手に撃ち鳴らして目立つのは良くないと判断したのか、タルコフは引き金を引くごとに一発ずつ騎士達を仕留める事にしたのか、野営地の中心に近づくのと共に一人一人を確実に仕留めていった。
襲われた騎士達は突然の敵襲に対し、抵抗しなかったわけではなかった。
ただ、彼女の手に持っていた未知の武器であるアサルトライフル。
それから、ナイフなどを用いて的確に急所を切りつけたこともあってか、誰一人とした声を上げることなく次々と消えていった。
そのこともあってか、騎士達が異変に気がつく頃には生きている者よりも死んでいる者の方が多かったようで
「なっ.....!?」
様子を見に行った騎士の一人は、無惨な死体となった仲間を見たのもあってか、そう声を漏らしていた。
しかし、そんな彼もタルコフによって殺されてしまうのだが....その際、アサルトライフルの銃声が鳴り響いたことにより、野営地に居た騎士達は全員彼女に襲いかかっていた。
彼女はその攻撃を躱すと、銃声が鳴り響くのと同時にアサルトライフルで的確に仕留めていき、徐々に野営地を制圧しつつあった。
「て、敵襲〜!!」
彼らにとって、未知の武器であるアサルトライフルを構えた上で自分達を殺すタルコフは、突如として現れた恐怖そのものであり、倒すべき敵であることは明確であった。
ただ、名の知れた騎士達が一瞬のうちに次々と殺されていくという事実に対し、彼らはその恐ろしさのあまり震え上がっていた。
自分達の英雄が、緑衣の悪魔によってあっさりと死んでいく。
それも英雄としての誉れの死ではなく、無惨としか言いようがない死に方で。
人としては惨く、騎士としては最悪な形で死んでいった彼らの姿を見て、もはや騎士達にタルコフと戦う意志など無く、中には逃亡しようと試みる者も現れ始めていた。
しかし、そういった輩は彼女のとっての格好の的だったのか、一人ずつアサルトライフルで撃ち抜かれれ形で死んでいった。
やがて、野営地から悲鳴を含めた人の声が聞こえなくなった頃、彼女はフルメタル・オンラインにて実装されていたレーションの一つこと、紙タバコを吸っていた。
「.....これで少しは楽な旅になりそうだな」
そう呟きつつ、タバコを吸っていたタルコフだったが.....そろそろ帰らないとフェルディナン達が心配すると思ったのか、血と硝煙の香りが漂う地獄となった野営地を後にしていた。
なお、これは余談ではあるが....結局、緑衣の悪魔が仕掛けた襲撃の生存者は居なかった。
それどころか、誰一人として自分達の役割がフェルディナンの討伐ではなく、ヴィーニュが自分達に彼女の捕獲を命じたことを理解できぬまま、命を落としていったのは不幸中の幸いなのかもしれない。
いずれにしても、野営地から戻ったタルコフであったが....その際、彼女が襲撃の際に返り血を浴びていたこともあってか、案の定フェルディナン達が心配していたのだった。
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