旅路の始まり
副題:旅と友情の始まり
何かよく分からないけども、☆が満杯になってました(震え声)
....どうしてこうなった?
タルコフというプレイヤーが女のエルフと化し、フェルディナンとロレーヌという革命から逃れた者達と出会った翌日.....今現在の彼女は、前衛という形でフェルディナン達との旅を始めていた。
エルフの肉体に慣れつつあった彼女は、人間と比べて聴力が良く、どんな些細な音もすぐに拾うことが判明して以降、その力をすぐに戦闘面での技術の一つと利用していた。
例えば、敵からの襲撃に備えるための周囲の警戒と偵察に、フルメタル・オンラインで培った戦闘面での技術との併用。
敵味方問わず、全体的な数の把握も出来るほどの聴力とあってか、彼女はその能力を前衛を担当する者として大いに喜んでいた。
それと同時に、こんなにも素晴らしい能力がフルメタル・オンラインにはあれば良いのにと思ったのか、アサルトライフルを手に周囲を警戒した様子で森の中を進んでいた。
そんな彼女に続くようにフェルディナンとロレーヌは馬に乗り、アンドレがその馬の手綱を持つ形でルクスブルグへと向かっていた。
これは、二人が乗っていた馬車が派手で目立つことや、馬はいざと言う時の食料になるとタルコフが提案したことにより、フェルディナン達はやむを得ず馬車から降りたのであった。
アンドレに至っては、彼女の言葉に文句こそ言っていたものの、タルコフが自身の主人であるフェルディナンとロレーヌの命の恩人だからか、それ以上は何も言わなかった。
「......とりあえず、この先には敵は居ないぞ」
そう考えているアンドレを尻目に、タルコフは周囲の音を聴き分けた上でそう言うと、ホッと一安心するフェルディナンとロレーヌ。
何しろ、耳の良いエルフの彼女の言っていることは二人の生死に繋がるため、そうなるのも無理はなかった。
それはアンドレも同じだったようで、フェルディナン達に仕える従者として安堵していた。
ただし、タルコフは何かが動く音を感じ取ったのか、しばらくその音が何なのかを聴き分けた後、アサルトライフルを下げるのと同時にこう言った。
「おい、どうかしたのか?」
「....さっき、俺達が居た場所からの何かしらの音が聴こえた」
彼女がそう言った瞬間、緊張したような面持ちになるフェルディナン達。
しかし、当のタルコフ本人はその音が敵ではないと判断したのか、進むぞとばかりにハンドサインを送っていた。
それを見たアンドレは、その音が革命軍に関する音ではないと気がついたのか、少しだけ安心しながらも彼女に向けてこう訪ねていた。
「それはつまり.....この近くに集落があるということか?」
「人が居るかどうかは分からないが、そう思った方が良さそうだな」
そう言葉を交わした後、ゲームでこの森とよく似たフィールドに行ったことがあるからか、軽い足取りで集落のある方へと進むタルコフ。
もちろん、前衛としての警戒は怠っていなかったのか、たまに近くの木に登ってはそこから敵が居ないか周りを見渡していた。
その後を追う形で進んでいたアンドレは、エルフの耳が良いのは本当だったのかと思っていたようで、手綱を片手にフェルディナン達と共に移動していった。
やがて、タルコフとフェルディナン達は集落に到着したのだが
「これは....!?」
案の定、辿り着いた集落は廃墟と化していたようで、フェルディナンは自分の国の現状に対してそんな声を漏らしていた。
ロレーヌはロレーヌで、この集落もまた革命が起こる要因の一つだと考えたようで、婚約者である彼のことを想ってか、複雑な感情を抱く顔になっていた。
そういった感情を抱いている二人を尻目に、タルコフは集落を一通り見回った後、そこに人が居ないことを確認したのか、ここは大丈夫だと言うように頷いていた。
アンドレやフェルディナンもまた、ここでなら野宿するよりかはマシだと考えたようで、その日は廃墟と化した集落に泊まることになったのだった。
「アンドレはともかく、タルコフ様は家に入らないのですか?」
「あぁ、こっちの方がいざという時の襲撃に備えられるからな」
ロレーヌの気遣いに対し、その気持ちだけを受け取った様子でタルコフはそう言うと、レーションやら寝袋やらを取り出していた。
そのバックパックの中から取り出された物を見たフェルディナンは、そういえば彼女は野営する気満々だったなと納得したのか、安心した様子でロレーヌと家の中に入っていった。
その一方で、アンドレは僅かながらもタルコフのことを信用していたのか、何故か彼女の隣に座り込んでいた。
「....お前、あの二人の従者だろ?」
「そうだ、だが今のお前はフェルディナン様とロレーヌ様を守る騎士だ」
「俺は騎士じゃなくてアタッカーな」
どんな状況であっても真面目なアンドレの言葉に対し、呆れながらもそう答えるタルコフ。
彼女自身、騎士という清廉潔白な雰囲気を感じる言葉が苦手だったのか、俺は違うぞとばかりの様子を見せていた。
そんなタルコフを見たからか、彼はそういうところはこだわるのかと呟いていたため、彼女が分かりやすくムッとしていたのは言うまでもない。
「....お前のよく分からんことを言うな」
「へいへい、そりゃどうも」
だって異世界出身だものという言葉を引っ込めつつも、タルコフはゲーム内で回復アイテムとして扱われているレーションを食べていた。
しかし、そのレーションの味はさほど美味しくなったのか、微妙な顔をしながらもそれを水で流し込む形で飲み込んでいた。
いくらレーションがゲームの回復アイテムとは言え、こんな感じの味がするのか。
感動に近い物を覚えながらも、味が味だったのでやむを得ないなと思ったのか、彼女は黙々とレーションを食べていた。
その姿を見たアンドレは、逆にレーションがどんな味なんだと気になったものの、自身のプライドが邪魔してそこまでは言えなかったのか、タルコフに向けてこう言った。
「....タルコフ、一つ良いか?」
「何だ?」
「あの時....何故、フェルディナン様とロレーヌ様を助けたのだ?」
アンドレの言葉に対し、その言葉の意味を理解した上でどう返答するかをしばらく考えていたのか、タルコフは少しだけ黙り込んでいた。
確かに、自分はフェルディナンとロレーヌを助けた。
しかし、その理由を決める前に追跡者を蹴散らしたため、それは彼女自身にも分からなかった。
ただ、タルコフの中でその理由が一つだけあるとするならば
「俺は.....そういうことしか出来ない馬鹿だからだよ」
それはきっと、どうしようもないほどのお人好しな部分なのだろうと結論を出したのか、彼に向けてそう言っていた。
タルコフの言葉を聞いたアンドレは思うところはあったのか、レーションの中に入っていた硬いビスケットを食べる彼女に対し、何かしらの感情の変化が起こっていた。
その感情は共感なのか、あるいは友情の始まりなのかは分からないが、とにかくその日以降の彼は彼女への態度を改めていた。
それは、その旅の中でアンドレが命を落とすまで続き、その道中でタルコフとアンドレが友人に近しい関係になったのはここだけの話である。
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