革命と波紋
副題:逃亡者達の事情
何か、説明回っぽくなってしまった....
それでも大丈夫な人は読んでいってね。
西大陸の国の一つであるカペー王国にて、革命と呼ばれる運動が巻き起こったのは、つい数ヶ月前のことであった。
この頃、カペー王国は先々代の国王や貴族達の浪費に、戦争といった諸々が原因で財政は圧迫どころか破綻寸前となっていた。
そのため、国王であったユーグ王は財政を改善を試みていたのだが....その時にはもう既に遅く、この状況に不満を感じた国民達により、牢獄の襲撃を機に革命は勃発した。
やがて、革命という大義名分を得た人々はカペー王国各所で暴動を起こし、かつて王家の象徴として建てられた美しい建築物を火を放ち、憎悪の対象として燃やし尽くした。
それだけではなく、革命の影響は王家にも迫ってきていたようで....結局、ユーグ王を含めた王族・貴族達は処刑され、カペー王国は革命という業火によって燃やし尽くされていた。
少なくとも、ユーグ王が自身の息子とその婚約者を王都から脱出させるまでは。
「なるほど、どうりで追われてたわけだよ」
森の奥深くにて、簡易的な焚き火の前でフェルディナンの口からそんなことを聞いたからか、納得したような顔になるタルコフ。
そして、馬車の御者であったアンドレからコーヒー......ではなく、何種類かの豆を粉にしてお湯で溶いた物を飲みつつ、その話に耳を傾けていた。
ただし、その飲み物......カフノワはコーヒーよりも薄めの味だったのか、彼女はもう少し苦めでも良いんだけどなと思っていた。
ただし、カフノワを入れていた容器がタルコフの持っていたアルミ製のカップであったため、ロレーヌは興味津々という様子で見つめていた。
一方、フェルディナンもまたカフノワを一口飲むと、タルコフに向けてこう言った。
「あぁ、奴らにとっての新しい国作りの中に王家の血筋の根絶も含まれているからな」
「そして、捕まれば即ギロチン....か」
彼がそう言った瞬間、タルコフは物騒だなという様子でポツリと呟いた物、再びカフノワを一口飲んでいた。
助けた相手は王族の生き残りで、追っ手は革命運動に参加した国民達。
確かにこの状況なら、俺みたいな奴を傭兵と勘違いするのも無理はない。
そう思いつつ、彼の様子を見守るタルコフ。
ただ、タルコフのその言葉を聞いたフェルディナンは悔しさのあまり、手に持っていたアルミ製のカップをギュッと握ると、彼女に向けてこう言った。
「出来れば、父上と同じように王族として王都に残りたかった。それがどんな結末であっても....僕は.......」
「フェルディナン様......」
フェルディナンの言葉を聞き、自分よりも年下なのに覚悟と肝が座りすぎてるなと思ったのか、タルコフは素直にしっかりしているなと感じた反面、彼女は二人の若さ故に逃がされたことも察していた。
彼女がまだ女エルフではなく、人間の男としてフルメタル・オンラインをプレイしていた頃....似たようなことがゲーム内でもあった。
年長者プレイヤーが囮となり、若手や初心者プレイヤーがその隙に行動を起こす。
そんなことを思い出したのか、どこの世界でも似たような出来事は起こるのだなと思いつつ、タルコフは彼の話を静かに聞いていた。
そして、その上でフェルディナンこう言った。
「だったら、何故ここにいるんだ?」
タルコフがそう言った瞬間、まるで図星だと言わんばかりに目を見開くフェルディナン。
それを見た彼女はやっぱりかという反応になっていたのに対し、そのフェルディナン自身は視線をロレーヌの方へと移していた。
そのロレーヌ本人は彼に対し、不安そうな表情をしていたこともあってか、フェルディナンは申し訳なさそうな顔になっていた。
しかし、その変化をタルコフは見逃さなかったのか
「父親と同じ結末を辿りたいのなら、アンタは既に捕まってギロチンにかけられているはずだ。なのに、そうしなかったのは....隣に愛する女が居るからか?」
と言ったところ、フェルディナンはその言葉に答えるどころか、彼女の言葉は正しいとばかりに沈黙していた。
その沈黙を答えだと受け取ったタルコフは、カップの中にカフノワを入れつつもこう思った。
これはまた複雑な話になりそうだな....と。
「あぁ、そうだ。それがどうかしたのか?」
「いや、アンタの父親はそれを含めた上で逃したと俺は思うけどな」
タルコフの言葉を聞いたフェルディナンは、確かになと思った節があったのか、手に持っていたカップをギュッと握っていた。
そのような様子を見せつつ、カフノワを飲んでいる彼を見たからか、タルコフはチラッとロレーヌの方を見ていた。
ロレーヌはロレーヌで、気を張っているフェルディナンのことを気にしている様子を見せていたため、確かにこれは二人一緒に逃がされるなと思っていた。
そう考えているタルコフを尻目に、アンドレからカフノワのおかわりを貰ったロレーヌは、彼女に向けてこう言った。
「.....今の私達は、フェルディナン様の母方の祖国であるベネルブルグへと向かっています」
「ろ、ロレーヌ様!?」
「しかし、その道中で革命軍の追っ手に見つかってしまい、ああなってしまったのです」
彼女の口から出たフェルディナン達の事情を聞き、だから馬車で森の中を....という感じで思い始めるタルコフ。
しかし、それと同時にあの馬車で移動するのは危ないと思ったのか、フェルディナン達に向けて忠告するようにこう言った。
「逃げるのは良いけど、あの馬車は相当目立つぞ」
「....そうなのですか?」
「あぁ、やるならせめて森の中に溶け込む色の方が逃亡しやすいと思うがな」
タルコフがそう言った瞬間、その手があったのか!!という反応になるアンドレ。
フェルディナンとロレーヌに至っては、馬車が目立っているという概念が無かったのか、ハッとした顔になっていたため、彼女はそこまで発想が至ってなかったのかと思ったのだった。
「....まさかとは思うが、あの馬車でベネルブルグに向かおうとしてきたのか?」
フェルディナン達に対し、呆れた様子でそう言うタルコフ。
彼女自身は本格的なミリタリゲームをプレイしていたからか、派手な装備で動くことの危険性を理解していた。
理解していたからこそ、タルコフの口からそんな言葉が出ていたのである。
ただし、それはあくまで彼女がミリタリーゲームのプレイヤーだったからこその話であるため、フェルディナン達は分かりやすく頭を抱えていた。
その様子を見たタルコフは、こうなったのは自分のせいだしな....と思い始めていたのか、フェルディナンに向けてこう言った。
「あの馬車は隠れて移動する割には派手すぎる。仮にまた動いたとしても、すぐに追いつかれるぞ」
「っ....!!」
「だが、徒歩なら何とかなるかもしれないが....どうする?」
タルコフが彼に向けてそう提案した瞬間、フェルディナンは少しだけロレーヌを見つめた後、彼女を守るためにも歩いて向かうことを決意した様子でこう言った。
「.....少なくとも、馬車よりかは安全なのか?」
「それはやってみないと分からないが....少なくとも、あんな派手な馬車に乗って殺されるよりかはマシだろ」
タルコフがそういった瞬間、そうだなと声を漏らすフェルディナン。
ロレーヌもその意見に同意したように頷き、御者のアンドレは腑に落ちないながらもその意見に賛同していた。
フェルディナン達の答えを見届けた彼女は、近くに置いていたアサルトライフルを手に取ると一言
「決まりだな」
と言った後、カフノワを一気に飲み干していた。
こうして、タルコフは傭兵としてフェルディナン達と同行することが決まったのだった。
高評価・感想等お願いします!!




