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切り取られた音
扉の前に立つ。
音楽室から音が流れ込む。
昨日の揺れと同じ。
ただの音じゃない。
1人だけ揺れが違う、
不完全な音が響く。
それだけで動けない。
扉の隙間から、光が見えた。
どうしても一番後ろを見てしまう。
そこに揺れはいた。
ただ音を出しているだけなのに、空気が変わる。
溶け込む楽器のはずなのに、溶け込まない。
引き込まれる。
動きが止まりかける。
身体が脈を打つ。
音は揺れてるはずなのに、ぶれない。
合うはずがないのに、調和している。
息が息をしている。
吐き出す瞬間に、花が咲く
すべてがつながる。
意味がわからない。
目を、離せない。
合奏の中でその音だけが彩りを放っているように見えた。
指が動いている。
速くもない。遅くもない。
正確すぎてもいない。
なのに、全てが音楽の中におさまっている。
息を吸う瞬間も、音がなっている。
前から聞いているはずなのに、後ろから音が聞こえる。
その空間だけが、その揺れだけがきり取られているようだった。




