17魔法のレントゲン
見てくれてありがとうございます。
「とりあえず、学校に戻りながら説明するよ」
「ちょ、待ちなさい!きゃっ!」
月乃は小雪をやや強引におんぶする。
そして、道を駆け抜けながら小雪に説明を始める。
「わたしが魔法少女になったばかりの頃、ポロにビーストについての話を聞いたことがあるの」
「何よ今更……」
「わたしの貧弱な魔法では長距離でビーストを倒すことができない。それでポロに聞いたの。わたしの魔法でもビーストを倒すことはできるのかって」
「それは距離を縮めて魔法を放つしか無いでしょう」
「それも方法の一つ。だけど、ポロはこうも言った。核に当てれば可能だって」
ビーストには己の存在を保つための核が存在する。言い換えるならば弱点だ。
「……そういえばそんな設定あったわね。今の今まで忘れていたわ」
「そう。必要の無い情報だからね」
前線に出ている魔法少女にしてみれば核なんぞ狙わずとも直接体にぶち当てればそれで終わりなのだ。
魔法少女はビーストの探索に試行錯誤することはあっても、苦戦することは一度も無かったのだ。核がどうのを気にする必要などどこにも無かった。
「あの化物にも恐らく核はあるはず。だけど、魔法を使えないカオリにはその弱点がつけない。だから、あんたが核を撃ち抜くの。小雪」
「……そういうことね。理解したわ」
「狙撃ポイントまでの案内と火の粉を払うのはわたしの役目。行くよ!」
✳︎
戦況に大きな変化は無い。だけど、
「校舎壊れちゃってるけどボクのせいじゃないからね!」
これ修繕費どれくらいになるんだろ? 関係無いこととはいえ、ボクのせいでは全くないとはいえ、少し心配になる。
「グォオオア!」
「っ……人の気も知らないで……!」
異形は好き放題暴れ散らし、窓ガラスをバリバリと割っていく。
「しっ!」
ドボォオ!
「グルッ!」
無意味とは分かりつつも異形の体を拳でぶち抜く。 当然ながらエンドレスに再生していくわけだけども。 この終わりの見えない戦いに辟易しそうになってきたボクの耳に、
『カオリ!聞こえる!?』
「月乃さん?」
『悪いけど本部からのサポートは無い!わたし達であれを倒すよ!』
「マジですか……」
理屈で言えば無謀としか思えないが、頭の良い月乃さんが言うんだ。聞いてみよう。
『カオリには足止めのついでにあいつの核を探してほしいの!』
「核?」
聞けば、ビーストの体内には存在の根源たる核とやらがあるらしい。 その核を破壊すればビーストはたちまち消滅するのだとか。ちなみにもちろんというか、核は魔法でないと壊せないらしい。
「でもその核ってどの辺にあるんですか?」
『……とにかく探して!』
「目星とか無いんですか!?魔法のレントゲンとか!」
『魔法のレントゲンって何!?』
本当に何だろうね?自分で言ってて分からない。
『これは憶測なんだけど聞いてくれる?』
「何です?」
『核って「グォオオア!」でしょ?つまり「ガルルァアア!」てことは「ギィァアア!」だと思うの!』
「うるさいんですけどぉお!?」
『えぇえええ!?』
「ち、ちがっ!月乃さんじゃなくて!もっかい説明お願いします!」
ボクはインカムに意識を集中させる。
『核って存在の根源ってことでしょ!?つまりエネルギーが一番集中している!てことは体が傷ついた時に核に近い場所程再生速度が早いと思うの!今度は聞こえた!?』
「聞こえました!月乃さん名推理です!」
これまで停滞していた戦況に待望の変化が生まれた。この待望の変化をもたらしてくれた月乃さんは本当にすごい。
『わたしと小雪は校舎の屋上で待機してる!くれぐれも校舎を戦いに巻き込まないで!』
「……やるだけやってみます」
『ちょっと!私達はあんた程頑丈じゃないの!そこは頑張りなさいよ!』
「枢木さん……」
『私も!あんたが核をさらけ出してくれたら必ず撃ち抜いてみせる!だからあんたも気張りなさい!』
「……任せてください」
枢木さんにここまで言われたら頑張らないわけにはいかない。 再生速度……ね。 試してみるか。
「秘密道具を使う時がきましたか」
『そんなのあるの!?』
必要無いと思っていたけど、用意しておいて良かった。
ボクは腿に仕込んでおいた秘密道具を取り出す。
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