すれ違う距離、届かぬ思い
学校の放課後、ボクはひとり教室に残っていた。
夏海とは、しばらく距離を置くことにしたから、廊下ですれ違っても目を合わせられない。
──こんなに会いたいのに……どうして、距離を置くことにしたんだろう。
心の中で自問しながら、スマホを握りしめる。
夏海から、ほんの短いメッセージが届いた。
「みおちゃん、大丈夫?無理しないでね」
その一言だけで、胸がぎゅっと熱くなる。
友情の“好き”だけど、やっぱり夏海の優しさに胸が痛む。
ボクは小さく笑いながら、返事を打つ。
「ありがとう……ボク、大丈夫。少しだけ、自分を整理したいんだ」
送信ボタンを押すと、手が震える。
距離を置くのは自分のためなのに、夏海とやり取りするだけで心がざわつく。
次の日、廊下で夏海とすれ違う。
彼女は笑顔で手を振るけど、ボクは少し俯いて、そっと会釈する。
その距離が、甘くて切なくて、胸が痛い。
──距離を置くって、こんなにも辛いんだ……
放課後、ひとり公園に向かう。
夕日が赤く空を染め、風が少し肌寒い。
ボクはベンチに座り、手の中でスマホを握りしめたまま、心の中で呟く。
「夏海……ごめん、今はこうするしかないんだ」
でも、胸の奥では、夏海と一緒にいたい気持ちが溢れている。
触れられなくても、笑顔を見られるだけで幸せなのに、ボクの恋心は止まらない。
「でも……ボクは、絶対に諦めない。いつか、この想いを伝えるんだ」
秘密の時間、距離を置く切なさ、そして夏海への恋心。
ボクの胸は甘くて、切なくて、でも確かに熱い想いでいっぱいだった。
──今は距離を置くけれど、夏海とまた笑える日を信じて……
夕暮れの光の中、ボクの心は揺れながらも、夏海への想いで満たされていた。




