放課後の約束、重なる鼓動
放課後、教室を出ると、まだほんのり日が傾きかけていた。
夏海はすでに廊下の向こうで待っていて、ボクに気づくと手を振った。
「みおちゃん、今日も一緒に帰ろう」
その声に、胸が少し跳ねる。
両思いに見えるけど、やっぱり片思い――ボクの気持ちは甘くて切ない。
「うん、行こう」
歩き出すと、自然と夏海と距離が近くなる。
肩がかすかに触れそうで、ドキドキが止まらない。
「ねぇ、みおちゃん、あの公園、今日も行く?」
「もちろん……楽しみだよ」
秘密の場所、ふたりだけの特別な空間。
夏海の“好き”は恋じゃない。友情や憧れとしての想いだけど、ボクにはそれが甘く響く。
公園に着くと、夏海はそっとベンチに腰を下ろした。
「座ろう、みおちゃん」
ボクも隣に座ると、心臓が少し速くなる。
肩がほんの少し触れる距離で、夏海の笑顔が目の前にある。
それだけで、胸の奥がぎゅっとなる。
「私ね、みおちゃんといる時間って、すごく落ち着くの。安心するっていうか」
ボクは小さく笑った。
その“安心する”の言葉に、胸が甘く締め付けられる。
恋愛の“Love”じゃなくても、ボクには十分すぎるほど特別だ。
ふたりで見上げる空は、夕日が雲を赤く染めている。
「きれいだね……」
ボクが呟くと、夏海も同じ方向を見て微笑む。
「うん、みおちゃんと一緒だから、もっと特別に見えるのかな」
その言葉に、胸がふわっと温かくなる。
ただ一緒にいるだけで、心が満たされるのに、ボクの想いは止まらない。
「みおちゃん、今日のこと、覚えててほしいな」
「うん……もちろん」
ボクは小さく頷き、心の中で呟く。
──夏海の“好き”はボクへの友情だけど、ボクの想いは変わらない。
この距離、この瞬間を、大切に抱きしめよう。
秘密の場所で、夕焼けに包まれ、甘く切ない時間が静かに流れる。
ボクの胸は、今日も夏海でいっぱいだった。




