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四季の騎士のナイト様  作者: 有河 さくら
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11/13

紅い約束ー約束の簪ー

登場人物


愛坂守

仙宮寺沙季

愛坂夏希

朝霧千秋


あらすじ


願い事を決めて、火に紅葉を焚べり終えた守はそのまま舞台の方に歩く、そしてその場に沙季の姿はなく心配になった守は沙季を探すことにする。

 


 願い事をしてから、舞台の方に目を向けると沙季が居なくなっていた、炎が目の前の舞台を隠していたため気が付かなかったが、下に降りると大人達が騒いでいた。俺は社務所に居る夏希達に何があったか聞きに行く。


「沙季はどうしたんだ?」


 すると、朝霧が答えてくれた。


「舞の途中でバランスを崩して転んでしまったんです、そしたら起き上がって、どこかへ行ってしまいました」

「沙季姉は昔もこういうの苦手だったからね、今もその辺は変わってないのかも」

「なるほどな、じゃあ俺は沙季を探して来ようかな」


 二人の発言から、俺は沙季の居場所がなんとなく分かった。だから俺は早速探すことにする。


「探すって何か考えがあるの?」

「二人の言葉である程度沙季の居場所に目星が付いたんだ」

「あー、なるほどね!」


 何故か夏希は意外そうな顔をしてすぐににっこりとした。


「そっかそっか! なんだか昔みたいに頼りになりそうな顔してて今だけはお兄ちゃんかっこいいよ!」

「俺は普段そんなに頼りないか?」

「うん、ミジンコ並みに頼りない」


 夏希は笑いながら俺のことを貶すと、背中を押してくる。


「まぁ、そんな事はどうでもいいでしょ! ほらほら、行った行った! 沙季ちゃんのヒーローさん!」

「分かったから押すなって」


 俺はそのまま押されて探しに行く、この場所から行ける所は限られているから目星は付きやすい。


「やっぱ、ここみたいだな」


 沙季の家の前で人だかりができている、俺は自分の考えに確信を持つと周りの視線を気にしながら、家の隣りにある池を通る。道ではないので普段人は通らないが、実は池を抜けると開けた場所に出られる。家の裏口からも出られるため、そこに行っている可能性が高い。


「流石に道は少し荒れてるけど、相変わらず抜け道としては機能してるみたいだな」


 しばらく歩くと広い場所に出る。ここは町の約半分が一望できる秘密のスポットだ。人けの無いその場所は月の明かりだけが目立ち神秘的な世界を作り出している。そして、そこには巫女装束の女の子が体育座りで泣いていた。


「おサボりさん発見!」


 沙季がびっくりして振り向く、泣き顔が月に照らされて俺の鼓動が早くなった。女の子の涙ほど強烈なものは無いが、今の沙季は異常なほどに綺麗でかわいい。


「何で......ここに......居るの? ......ひっく、ここなら誰も......来ないと思ったのに......」

「まぁ、沙季は昔と全然変わってないみたいだから、来るとしたらここかなって」


 そうすると、少し元気がでたようで沙季は話しだした。


「来てくれたのが......まもるくんでよかったよ......守くんじゃなかったら、黙り込んじゃったもん......ずっと泣いてて......迷惑かけて......さらに沢山の人が......来て......もっと泣いて。私泣き虫だからなぁ......私、失敗しちゃったの......舞の途中でね......気が抜けちゃって……そしたら......転んじゃって......その瞬間周りの目が......怖かったの......人が苦手な私が何でここに居るんだろうって......そう思ったら......頭が真っ白になって......気がついたら走ってた......逃げだしてた......」


 歯切れは相変わらず悪いが、溜まっていたことが溢れてくるように話を続けている。


「あの時......丁度守君を見ちゃったの......それが、原因かな......それまで、人の目気にならなかったのに......」

「まさか俺のせい?」


 すると沙季は首を大きくふる、そこは否定してくれて安心だ。


「それは違うよ! 私が集中しきれてなかっただけだもん......私が......守くんの事気になっちゃっただけだもん......」


 凄くどきりとする年頃の女の子、しかも沙季に言われたら気持ちが落ち着くはずがない。てか、やっぱり原因は俺じゃん!


「俺も沙季のこと少し見てたよ、昔と変わらず一生懸命頑張ってる姿をさ」


「……そんなことないよ……私はただ……いつものように……しただけだよ……でも、見てくれたんだ......」


 沙季から笑みがこぼれた、少し元気になったかな。


「それは、見てたに決まってるじゃん」


 俺は恥ずかしくて目をそらしてしまった......そして、その恥ずかしさを我慢して俺はある事を口にする。


「紅く染ったこの場所で、一枚の葉に願いをこめよう」


 それを聞いた途端に、沙季は目を瞑り一緒に口ずさむ。


「「多くの季節を乗り越えた先で、再び会うことを約束しよう」」


 子供の頃に凄い恰好良く言った言葉だ。かなり恥ずかしい事を言っているが、気持ち的には今も変わっていない。放っておけないし守りたい、何よりも沙季が好きだから。この単純な気持ちがあったから、約束を思い出すことも出来た。


「ちゃんと思い出してくれたんだね、約束」

「沙季のこと見てたら、あの頃のこと色々思い出したんだ」

「ずいぶんと遅く思い出したんだね!」


 嬉しそうに沙季は話をしてくれる。いつの間にか、涙も引き笑顔を見せてくれていた。


「うっ、そこは触れないでくれたまえ......」

「忘れていた守くんが……悪いのです!……」

「もっともな発言に、反論のしようもありません」

「反省してるなら……よろしい!……」


 なんだか、調子がいいな沙季らしくもなく言葉がはっきりしている、それだけ元気になったってことか。


「大分涙の方は引いたみたいだな」

「うん……守くんの……おかげで……元気でたよ……」

「じゃあ、そろそろ戻るか」


 そして、スマフォの方を少し確認する。時間はもうすぐ21時を差そうとしているところだ、なんだかんだで時間が経つのは早いな。


「そうだね......でも......戻る前に一つだけ……お願いしてもいいかな......?」

「お願い?」

「うん、今言わないと……恥ずかしくて……言えなそう……だから……」


 そして、沙季は深呼吸してから緊張した感じで言葉を発した。


「私の……ナイト様になって……くれる?」

「……はい?」


 その瞬間俺の頭は整理できずに、思わず変な言葉で返してしまう。そして、等の沙季は顔を赤めながら、恥ずかしそうに俯いてしまう。


「今なんと?」

「だから……えと……ナイト様になってくれる? 昔みたいに......」

「……まって、いまいち状況が呑み込めないだけど」

「えと……深い意味は無いの……こっちに帰ってきて……多分……色んな事が変わってると……思うから、また守くんに守って欲しいなって……ダメかな?……こんなこと……今しか言えないし……守くんにしかお願い出来ないから……」


 俺の中にあった恥ずかしい期待は、その言い方で吹き飛んでしまう。しかし、断る理由もないし、今はそういう感じでも良いのかな。


「そういう事なら守ってやるよ……ナイト様になってやる」


 しかし、恥ずかしい気持ちになるな、ナイト様って。まぁ、俺だけの特権って考えとこう。


「ありがとう......約束だからね! あ……そうだ……」


 沙季は嬉しそうにしながら緋袴(ひばかま)の腰帯の辺りをゴソゴソし、何かを取り出した。どうやら押し花で作られた手作りの簪(かんざし)のようだ。もみじの簪ですごい綺麗に手入れされている。


「これってもしかして」

「うん、7年前の......約束の紅葉だよ。毎日持っていたくて......押し花で簪にしちゃったんだけど......」


 沙季は七年間ずっと約束を覚えててくれたんだな、こんなに大切に。


「大切にしてくれたんだな」


 俺は嬉しくて頬のあたりが緩む、やばい我慢できない。どんな風に見えてるだろうか恰好悪く見えてないかな。


「うん! それでね......次は守くんが……これを持ってて……私が約束を守れたように……これがあれば、次はちゃんと守れると思うから……」

「なんだか棘がある言い方だな……」

「え? ……ごめんね……そんなつもりで言った訳じゃないよ……」

「冗談だよ、次はちゃんと守るから安心してくれ、どんな時も絶対守ってやる」

「え? ……どんな時も……」


 すると、沙季は顔を真っ赤にして固まってしまう。その様子を見ながら俺は沙季から簪を受け取る。


「それじゃ、この簪は預かるぜ」

「え、あ……うん……絶対に......なくしちゃ...... ダメだからね?」

「なくさないさ」


 自身はあまり無いけど、多分大丈夫だろう


「......今言葉に迷いがあったよ?」

「そ、そんな事無い! ほ、ほら時間も時間だし? そろそろ行こうか!」


 時間も21時をとっくに過ぎ四季祭は終わる時間だ。


「そうだね......お父さん怒ってるかな......」

「いや、大丈夫だろ......むしろ心配してると思う」


 沙さんとはそういう人なのだ。


「あはは......確かにそうだね......」


 沙季は笑いながら納得する。そして、沙季をつれて戻ると沙さんをはじめ装束を着た男の人達と、夏希と冬也達が待っててくれた。沙さんが来なかったのは夏希達が説得してくれたからだろう。それから、少し皆で話したがすぐに帰ることにした。


「それじゃ、そろそろ帰るよ」

「うん……またね」

「また明日!」


 俺は少し離れてから最後に沙季の方を見ると、沙季は凄く楽しそうに笑っている。そして、俺は手に持っていた簪を強く握りしめ次こそは約束を守ると誓った。


はい、今回で第1話と言いますかプロローグ回は終わりです!


もとよりプロローグ回までしかまともに書いていなかったのですが。



問題はここからですね、しっかり自分が話を書くことができるのか不安です。

でも、地道に書いて行けたらいいなと思ってます!


これからも読んでくださると嬉しいです!

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