本来なら序盤で回収しておくべきテンプレだったもの
なんかゲームの縛りプレイみたいな事態に陥っている模様
ここは深い森の中。一つの傷ついた巨影が荒い息をこぼしながら歩いていた。角は折れ、爪は砕かれ、満身創痍ながらも生きる気力は失っていない。人型魔物の中でも頭一つ抜けた生命力と再生能力を誇るトロール種、さらに彼はそのトロール種の高位に位置する魔物だった。ジェネラルトロール。冒険者ギルドの長い歴史の中で編纂された集大成、第一種災害指定魔物の特徴などを纏めた本。記念すべき第一項にその名があった。
低く唸り声を上げながら、傷と共に焼き付けられた火傷を抑え歩き出す。体中の傷は強い再生能力すら全快することが出来ないほど深く刻まれている。ここに来る前に激しい戦いがあったのだろう。彼の脳裏に人の形をした化け物が浮かんだ。ソレは角がないのに、鬼のように恐ろしい。蒼い、蒼い鬼だった。
すると正面に小さな生き物が三匹ほど現れた。ゴブリンである。喧しい叫び声を上げながら手に持った粗末な棍棒や拾ったナイフを振りかざしこちらを追い払おうとしてくる。彼は無言で三匹一気につかみ取り、捕食した。粗末ながら栄養を取ったことで傷が若干言える。だがとにかく栄養が足りない。と、辺りの茂みがにわかに騒がしくなる。どうやらたくさんの栄養が辺りに潜んでいるらしい。背に腹は代えられない、一先ず彼は全身が癒えるまで世界一汚いビュッフェを楽しんだ。
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旅行五日目、キヤ一行はハインツナイツ家に訪れていた。今度は全員揃って御呼ばれしたのである。キヤ自身も驚くほどの異例の対応だが、キヤを大層気に入ったグランレイが工房は少数精鋭であり現在旅行で全員がこの国に来ていることを知った。キヤが無意識にアツく仲間を語るものだから、ハインツナイツ家がメンバーに非常に興味を惹かれたらしい。隣に居たマーソウは恥ずかしさと認めてもらえている嬉しさから顔を覆って俯いて居たが
ボーリン様がサツキ達女性陣と楽し気に会話を楽しみ、ゴルドワーフとマーソウはグランレイと武器について語り合っている。キヤはといえば、ヒストリアが呼び寄せてくれた魔法生物に詳しい専門家と会っていた
「キヤ殿、こちら我が家の専属魔法使いのエリナ・アンブランデよ」
「コウタ・キヤです。よろしくお願いします。今日はよろしくお願いします」
「ん」
明るめの亜麻色の髪をポニーテールにし、つばの広い魔女の帽子。手には細い銀色の杖身に小さなカラフルな魔石が散りばめられた杖。身長は帽子を除けば百五十程だろうか、若干キヤを見上げる形で見ている。帽子のつばの下からチラリと見えるのは翡翠色の大きな目。若干引きずるように着ているローブはほつれも汚れもなくキチンと手入されており、こういう細かいところに貴族に使えるものの品格が見え隠れしている。
レベルの高い魔法使いは往々にして年齢が外見と一致しない場合が多い。それはその体に流れる豊富な魔力が老化を遅らせるからともいわれている。事前にヒストリア嬢からこのことを聞いていたキヤはアニメや漫画で高名な魔法使いはロリショタがほとんどという理由が必然だということを知った。なのでこのエリナ嬢もキヤよりも年上かもしれない。キヤとはいえ女性に年齢を聞くほど無粋ではない。ないったらないのだ。
「こらエリナ。ちゃんと挨拶して、そんなだから勘違いされるのよ」
「……エリナ。よろしく」
「エリナったら……」
初対面のキヤに対して不愛想すぎるエリナに呆れたように騎士ヘルムを抱えるヒストリア嬢だが、キヤは正直想定内だった。穏やかに微笑みながら頭を垂れる
「構いませんよ。俺のことはキヤとお呼びください。今日はご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
「………ん」
無駄な衝突が無かったせいか、若干空気が弛緩した。
というか剣と魔法の世界に居るのに本格的に魔法に触れるのが遅すぎると思う。誰だってそう思ってると思う。俺もそう思ってる。ところで質問だ。今までですら大分文明レベルやなんやらがハチャメチャなモノばかり作ってきたキヤだが、ここにさらにチート臭い魔法が加わるとどうなるだろうか? 答えは簡単だ。
大惨事大変だ
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昨日キヤがヒストリア嬢の手を借りてニケと結んだ契約書をエリナは呼んでいた。その様子をキヤとヒストリア嬢はドキドキしながら見ていたが、時々頷いているところからどうやら目立つ不備はなかった模様。羊皮紙から目を上げ二人を見るエリナ
「妖精との契約に関してはこれで大丈夫。特に不備もなし……でも気になることがある」
「なんでしょう?」
「この妖精の子。妖精にしては魔力が多すぎる。何をしたの?」
手に持っていた羽ペンをニケの前でくるくるするエリナ。ニケは楽しそうにその羽ペンにじゃれついている
「いや特に心当たりは……」
「……質問を変える。貴方の魔力量はどれくらいなの?」
「ええと……結構あるんじゃないかと……もしかして俺、なんかやっちゃいました?」
「……宝の持ち腐れ。なんで魔法を知らないのにそんなに魔力があるの?」
話を聞くと妖精は契約した者の魔力量に影響を受けることがあるそうだ。例えば妖精の魔力量>契約者の魔力量なら妖精がいうことを聞かなかったり反旗を翻すこともあるそうだが、逆の契約者の魔力量>妖精の魔力量の場合はどうだろうか?
エリナ曰く契約とは一種の繋がり、魔力のパスを繋げることだ。契約時に互いの力の一部が相手に流れ込む。その際片側が極端に魔力が多い状態だと、均衡を取ろうとしてもう片方の魔力量が拡張されることがあるらしい。そのせいで現在のニケは妖精というより精霊一歩手前の存在に階位が上がろうとしているらしい。
「精霊になるにはまた別の要因が無いとなれないみたいだけど、相性次第では精霊を打倒することも出来るかもしれない」
「なんだろね、ここで異世界チートテンプレ一気に回収しに来てる感じは」
キヤは今更の異世界チートテンプレに少々げんなりした。
新キャラ魔女っ子エリナちゃんです。会話苦手系クーデレです。やったぜ(地産地消)。なにやら不穏な気配もしますが、まぁどうにかなったらいいな(願望)
ふと思ったんですが、私の他の作品である追放虫使いのようにあとがきにオマケを乗せようかなと思ったのですがどうでしょうか? 欲しいと思った人は感想に欲しいと評価を★五をお願いします。どっちでもいいと思った人は評価を★五にお願いします。




