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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第三部 歩み続ける者たちに新たな足(しゅだん)を
58/199

この世界の移動手段に革命を!

まだ試行錯誤の段階とはいえ作っちゃったよコイツ。



「ほう、なかなかに思い切った買い物をしたなコウタ キヤ!」


「え~~~~っと……なんで居るんですギルガメスさん?」



 前回手に入れた巨額の金で土地を買って数か月後、突然謎の男ギルガメスが申し訳なさそうな表情のパーシヴァルを伴って現れる。ちなみに現在は大工さんたちに建ててもらった簡易休憩所でキヤ、サツキ、ヤグル兄妹たちは紅茶を飲んで休憩をしていた。簡易休憩所と言ってもそこそこしっかりとした小屋なので数人であれば暮らせそうだ。キヤの買った土地は王都の端にあり工房ともそれほど離れていない。



「すまないキヤ殿、止めたのだが……」


「俺のことはいいだろう。それよりもお前が何故こんな王都の端に広大な土地を買ったのかが気になるぞ。今までお前が作ったものの量産に関してはどこぞの商会がやっていると聞くし、この土地の様子を見れば何か家を建てようということでもないだろう?」


「あーまぁ、想定よりも大きい土地だったのはビックリしてますけどね。王都の外の土地が意外と安くて多めに買っちゃいました」



 こちらの尺度に合わせると、今回キヤが購入した王都外の土地はおおよそ東京ドーム二つ分ほどの土地となっている。そこに簡易休憩所と、色々なものを保管しておくガレージのような倉庫が二つ、そしてそれらを囲っている胸の高さほどの柵だけがあり、草が刈られているくらいで土地自体はほとんど手を付けられていない。これだけではなんともモノ寂しいが、キヤの狙いは『この世界の道の状態を再現したかった』のと、『広く走り回れる土地』が欲しかったので問題はない。



「で? お前は今度は一体何を作る気でいるんだ?」


「この世界の移動手段に革命を……魔動バイクを作ります」






ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ




 歯車鍛冶工房の大規模実験場、そこに鎮座する倉庫にて。回転の魔石を動力としたシャッターが徐々に上へとせり上がり、キヤたちが開発したものが徐々にベールを脱いでいく。



【魔動バイクプロトタイプ(実験機)】。



 歯車鍛冶工房の総力を結集して作られた風のごとき速度をたたき出す二輪駆動車。の試作品。というか実験機。フレームはゴルドワーフの経験によって培われた知識から最適解と思われる合金を作り出し成型。細やかな部品はキヤが旋盤で削り出しギアボックスで複製。エンジンはなく、動力はヤグル兄妹が数日かけて合成した回転の魔石が前後のタイヤの中心に。そしてフレームを通して操縦者の意思を動力に伝える神経はサツキによって結われたシルキーワームの糸束。


 ライトには内部に光の魔石が使われており、それを覆う正面の透明な板はヒュージドラゴンフライの複眼であり、魔石の光を増幅させる。ハンドルや座席のカバーには使い込むごとに馴染んでいくというアンガーブル(巨大な牛の魔物)の皮が巻かれている。ホイールに装着されたタイヤは柔軟性、耐久性、衝撃吸収性に優れたチューブワーム(特大)の皮が張りつけられており、石に乗り上げた程度の衝撃では車体を揺らすことは出来ない。



 全ての魔物の素材が人の手によって繋ぎ合わされ、それぞれが最適解の機能を発揮する。まるで歯車のように噛み合ったその美しいまでの機能美は、ガレージの外から差し込んできた光も相まってある意味では神秘的でもあった。




「ほう! この倉庫の扉、面白いな!! パーシヴァル、これをウチの兵舎の扉に採用できんか?」


「無礼を承知で言わせてもらいましょう、もっと目をつけるべきことがあるでしょうギルガメス様」



 これにはキヤも思わず新喜劇コケを披露することになった。





「それはさておき、さっそく乗ってみますか!」



 キヤはめげずにガレージの棚から特製のヘルメットやプロテクターを取り出していく。ヘルメットは鎧のヘルムにチューブワーム(小)の皮を全面に接着し、さらにそれを覆うように甲虫種の魔物の殻を接着したもので、衝撃吸収性や耐久性が非常に高い。ゴルドワーフが全力で振りかぶった槌で叩いても中身のヘルムは特に損傷していなかったほどだ。チューブワームの皮が万能すぎて怖い。キヤはオンディスに早急にチューブワームの養殖場を作ることを進言している。


 プロテクターもヘルメットと似たような製法で作られている。キヤはそれらを実は冒頭から着ていたレザースーツの上から装着していく。甲虫種の魔物の殻は非常に丈夫で粘りも強く、強化プラスチックのような扱い方が出来るのでキヤは重宝している。



 そしてこのレザースーツも主な素材は魔物素材で出来ている。チェーンメイルリザードの鱗の下にある皮から作られているのだ。キヤが研究の為チェーンメイルリザードの皮をいじくっていたら固い部分が剥がれ落ちてしまい、そのあとには柔軟で丈夫な皮が残っていたのだ。それをサツキとゴルドワーフがいつの間にかキヤが開発していた魔動ミシンで加工し服に仕立てたのである。


 余談だが、キヤは元の世界で小学生の頃家の古いミシンを分解、再度組み立てをして遊んでいたそうだ。なので内部構造は知り尽くしており、あとはそれを魔動バージョンに改良するだけだったのでカンタンに作れたと言っている。これは期間を置いてハナツキ商会に提出する予定だ。やっぱりコイツ色々とトんでいる



「ほう、その服……よいな。後で売ってくれ」


「すんません、これ特注なんで早急に用意は……サイズも俺用にしたモンですし。それにこのバイク専用の服なんで」


「ほう、それに乗るのに専用の服や防具が必要なのか」


「結構なスピードで走りますから、コケた時に素肌だとあっという間に地面にすりおろされちゃうんで。切った張ったの戦闘用じゃなく、あくまで自分の身を護るためならコレで十分ですね」



 防具を装着したキヤはスタンドを上げゆっくりとバイクを押してガレージから出る。ヒュージドラゴンフライの複眼ゴーグルをかけたら、ハンドルの魔力操作グリップを通して動力に自分の魔力を流す。すると徐々にタイヤが回転していき、車体がゆっくりと前へ進みだす。



「マーシュン、計測お願いね」


「はっ、りょーかいしました工房長どの!」



 ペンと羊皮紙を持って敬礼するマーシュンにサムズアップすると、キヤは再びグリップを捻り魔力を先ほどよりも多めに流し込む。するとバイクは徐々に加速し自転車の全力疾走ほどのスピードで実験コースを走り始めた



 キヤの通っていた高校は基本的に自動車免許やバイク免許は在校中に取得してはならないが、卒業間近なものに限り免許取得を認めている。就職時に車でないと通勤できないかもしれないからだ。キヤはバイトやちょっとしたお手伝いなどでコツコツ稼ぎ免許講習費を捻出し一発合格で取得した。なぜバイクと問われれば、単に駐車場の問題である。





 話が逸れたがキヤの操るバイクは順調に速度を上げ、現在おおよそ四十キロほどの速度が出ている。まだ速度を測り出力する装置メーターがないのでキヤの体感だが、この調子ならもう少しスピードを出してもよさそうだ。




「ほう、馬に及ばないが中々に速いな。あの調子ならもう少し出せそうなものだが。そうか、それを知るためのこの実験場ということか……わざわざ整地せずに残したのは実際の道で走った時の影響を調べるため、と。中々に慎重な物よ」



 ギルガメスが面白そうにキヤの走る姿を見ている。馬の平均速度は六十キロと言われており、最高速度は八十七キロとも言われている。ただし馬は生き物だ、途中休憩を入れなければ潰れてしまうし、エサの問題もある。行く場所にウマのエサとなる草が生えているとは限らないのだ。だがこのバイクは違う。燃料は搭乗者の魔力だけでほぼ休みなく走り続けられる。まぁ搭乗者自体は休憩は必要だが


その内自立式のゴーレムになって車輪からマシンガン撃ったりしてキヤの冒険をサポートします()。あれこれなんてオートバジry

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