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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第三部 歩み続ける者たちに新たな足(しゅだん)を
48/199

お前歯車鍛冶だよね? なんでそんなモン作ってんの

某ハ〇ヒの憂鬱見てた世代で高校の文化祭でバンド組んで演奏する妄想しなかった奴なんていないと思ってます




「お願いします助けてください!」


「なんでもしますから!!」


「許してください!!」



 涙を流し顔をくしゃくしゃにして地面に額をこすりつけるチンピラたち。ちなみに顔がくしゃくしゃなのはダメージによるものである。なんか前が見えなさそうだ。



「ん? 今何でもするって言ったよね?」


「「「「ヒエッ……」」」」



 こうしてチンピラたちは衛兵に捕えられ、ブタ箱にゴーしたわけだ。こうしておばあちゃんのお墓参りと魔動車いすの性能実験は幕を閉じた。






 キヤと別れて数分後、おばあちゃんは穏やかな表情で暮れなずむ街を進む。住民はほとんど家に帰ったのか見当たらない。すれ違った数人が物珍しそうにおばあちゃんの乗る魔動車いすを見たがそれだけだ。




「久しぶりに楽しい時間を過ごしたわね。もう心残りはないわ」


「縁起でもないことを言わないでください」


「ウフフ……ッ、ケホッ、ケホッ……ゴホンゴホン……」



 激しくせき込み、顔を俯かせるおばあちゃん。空気のない肺からムリヤリ搾り出されたかのような咳が止まらない。パーシヴァルは慌てておばあちゃんの背中をさすり症状の緩和を試みる。



「ッ……! ベル!!」


「ケホッ、ケホ……フフ、その名前で呼んでくれるのは久しぶりね。あの人が見たら嫉妬しちゃうわ」


「ッ! 申し訳ございません」


「いいの。ここには貴方と私しかいないわ……こうして二人きりになるのも久しぶりね。皆先にいっちゃって、あの時のパーティーはもう私と貴方だけになってしまったわ。もうすぐ私も……」


「冗談でも!! ……やめて頂きたい」


「ゴメンなさい。それじゃ、帰りましょうか。お供を、パーシヴァル」


「はっ」




 穏やかな表情のおばあちゃんと違い、パーシヴァルの表情は決して明るいものではなかった。おばあちゃんは冷静さを欠いたパーシヴァルの行動を不謹慎にも嬉しく思っていた。自分たちがかつて築いていた絆が消えたわけではなかったことがうれしかったのだ。






ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ



数日後、工房にて




「おろ? なんだこれ」



 キヤは作業部屋に見慣れぬ木箱が置いてあるのに気が付いた。フタにはボロボロの羊皮紙が張りつけてあり、文字が潰れてしまい判読できない。きったねぇ字だとキヤは思ったが、キヤ自身もミミズがブレイクダンスを踊ったような字しか書けないので凄まじいブーメランだ。



「うーん、別にモンスター素材発注したわけじゃないし……ゴルドさんかヤグルたちのモンか?」



 顎に手をやりながら考えていると、キヤを大きな影が覆った。ゴルドワーフだ。相変わらず圧がスゴい。背後からヌッと現れられるとこの工房のメンバー全員はビクッとする。誰でもそうなる。俺だってそうなる。



「あら、どうしたのキヤちゃん。何かお届け物?」


「あ、ゴルドさん。この荷物って誰のかわかります? 書いてある字が判別できなくて……覚えないッスか?」


「ん~? あぁ、私宛の荷物ね。マーソウちゃんが運んでくれたのかしら」



 ガサゴソと木箱を開けながらゴルドワーフは荷物の見分を始めた。フタが空きにくいからって力づくでフタを生木を裂くがごとく開けるのはキヤもドン引きである。こじ開けられたフタはメリメリと悲鳴を上げて廃材に成り果てた。薪は確保できたのでまぁいいだろう。箱は間に合っているし



「何が入ってるんです? 鉄鉱石とか?」


「近いわね。ワタシ、知り合いの武器工房から使い物にならない武器とかを引き取って再利用したりするのよ。素材がもったいないからね。状態が良ければ手入れしたりもするんだけど、ワタシに送られてくるのは大体は鋳溶かす前提の、ほぼ廃材ね」


「鉄は貴重ッスからねー。でもコスパはどうなんスか? その、薪代とか?」


「言ってなかったかしら? ワタシ魔法の炉を持ってるの。ワタシの魔力を燃料にしてるから薪代もかからないし、合金は勝手に分かれて出てくるしでスゴく高性能なのよ」


「あーここに来た当初めちゃくちゃ大事そうに磨いてたアレっすか! なるほどォ。合金すら勝手に分けられるのか……チートっすね」


「ワタシの自慢の逸品よ。さて、いいものは入ってるかしら……ん?」



 木箱に入っていたのは直径四十~五十センチほどの円形の鉄板らしきものだった。それが数十枚。一体何のために作られたものなのか……ゴルドワーフが一枚手に取って色々な角度から見分を始める



「……え、なんスかこれ」


「うーん……裏側見ると持ち手を固定する金具があるわね。信じられないけど、これ盾よ。小盾としても正直使えないわ」


「小さくて取り回しよさそうですし、パリイ専用、とか?」



 パリイとは相手の攻撃を盾などで受け流し、勢いを殺しつつ相手に反撃を行う高度な技だ。相手は攻撃の動作中なのでこちらの攻撃がほぼ防御不可なのが利点だ。だが見切れなければ当然大ダメージを負う。ハイリスクハイリターンを体現したかのような技なのだ



「こんなに薄いとパリイ成功したとしても一発でダメになるわ。どうしてこんなもの作ったのかしら……信じられない、中心とフチの厚みがほぼ同じよコレ。ほとんど鉄板みたいなものじゃない……ザツもザツ、こんなの作ったヤツの顔が見たいわ」


「パリイするための最低限の薄さを追求したとか?」


「うーん、どうもコレ全部厚み一緒よ? 試行錯誤したなら厚みに変化があるものと思うけれど……武器を作るものなら最低限くらいわかるものと思うのだけれど……まあいいわ、このままだと邪魔になるし、中身だけ運ぶの手伝ってくれないかしら?」


「イイっすよ。よいせっと」



 そうして二人は数十枚の丸い鉄板をゴルドワーフの作業場へと運び終わった。ほとんどゴルドワーフが運んでいたが。キヤは内心コレ俺いる?状態だった



「ありがとキヤちゃん、助かったわ」


「どーってことないッスよ。なんつーかコレ、シンバルみたいだなー。鉄でなきゃ削ってケイ整えてで済んだんだけど」


「シンバル?」


「俺の故郷で使われてた楽器ッスよ。丁度こんな感じの丸い金属板を両手に持って、それをぶつけて音を出すんス。ジャァーーーン!! って迫力ある音がするんスよ」


「へぇ~。変わった楽器もあるものね」


「あーなんか久しぶり叩きたくなってきたな……お小遣いでテキトウに作ってみるのもアリかな」



 たまに歌を口ずさんでいたり、ボイスパーカッションが特技の時点で察しのいい方はピンときたかもしれないが、実はキヤは割と音楽もできる。友人が壊れたドラムセットの修理を依頼してきた際に、修理後に少し教えてもらったところ意外にもハマったのだ。


 元来手先が器用で左右の手で別作業をするのが苦ではないのと、頭の回転やリズム感が平均より少しだけよかったせいだろうか。ちなみに高校の文化祭でほぼ廃材から作ったドラムセットを使ってバンドを一時的に組んだこともある。



「ホントなんでも作るわねぇ、キヤちゃん」


「まぁ金属加工ができるゴルドさんがいるからこそチャレンジできるんですけどね、ハハハ。ということで依頼したいんですが」


「ウフフ、構わないわよ。そのシンバル? の音色も気になるし」


「シンバル、っつーか俺が作ろうとしてるのはドラムって楽器なんすけどね。その一式の中にシンバルが組み込まれてるんですよ」


「よくわからないけど、おもしろそうね! それじゃちょっと詰めてみましょうか」


「オナシャス!!」




 歯車鍛冶って名乗ってる割に作るものがブレてきてるのは気にしないでほしい。キヤは自分の赴くままにモノを作るからどーしようもないのだ

ボイスパーカッションの動画見てると、やっぱりヒカキンさんってすげーんだなって

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