ギアボックス
遅れてごめんなさい。割とフザけてる回です。え? 今までフザけてない回のほうが少ない? 黙れこぞry
「ほら、これをやる」
ある日唐突にやってきたギルバがキヤに差し出したのは一見ただの工具箱に見えるものだった。全体的に金属の板をつぎはぎに張り合わせたような質感で、持つとそれなりの重さがする。一見何の変哲もない工具箱だ。
「あ、ありがとうございます……工具箱ですか? コレ」
「俺が昔に潜ったダンジョンの下層で手に入れた魔道具だ。正直俺には無用の長物なんだが、手に入れるのにはそこそこ苦労してな。お前なら使いこなせるだろう」
「超貴重なものじゃないですか?! それで、どんなものなんです? この箱」
「鑑定で見てもらったところ、ソイツの名は『ギアボックス』。どうやら適性のあるものにしか使えないらしい、アイテムボックスの亜種らしい」
「よくわからんですね、コレ。歯車ってのにそれっぽいものがないし。開けてもなんか手を突っ込むのが怖い虚空になってますし」
色々な角度でギアボックスを検分しながらキヤは不思議そうな表情をしている。傷がついているが、モノ自体は丈夫そうだ。フタの部分に謎の紋章らしきものが浮かび上がっている。ブランドの刻印のようなものだろうか?
「アイテムボックスの亜種と言ったが、その理由が入れられるものと入れられないものがあるからだ。食べ物やモンスターの素材は入らないが、剣などの一部の武器は入った。使い勝手は正直アイテムボックスに遠く及ばないな」
「んー……多分無機物専用のモンなのかな? 使ってみても?」
「それはお前にやったものだ、好きにしろ」
了解を貰ったキヤは手近なものを色々とギアボックスに入れようとしてみる。結果、キヤの睨んだ通り木材やモンスター素材などの有機物ははじかれ、工具や鉄インゴットなどは入った。作業中どうしても散らかりやすいキヤとしては最高に使い勝手のいい工具箱だ。なんせ手を突っ込んで念じればモノが出てくる。
「めっちゃイイっすねコレ!! ありがとうございますギルバさん!!」
「何、それで義手とでトントンだ。貸しは返せるときに返しておくべきだろう」
「ウス! ……あれ? なんかここに文字が彫ってある……?」
キヤがフタの裏を見ると文字がうっすら浮き出ている。
「『我、その手で世界を創るもの。我が真なる力を求むる者は、我が紋に触れ名を告げよ』 ……なんだこれ」
「読めるのか……? その字が?」
「え? えぇそうっすね……あれ? これもしかして解読とかは……」
「鑑定士ギルドが助走つけて全力で匙を投げた文字だ。もちろん俺もわからん。色々と遺跡系のダンジョンも行ったが、どの場所にもなかった文字だ」
「……さっきの言葉通りなら、このフタのコレを触りながら名乗るんですよね?」
「どうする? やってみるか?」
「……正直怖いッスけど、やってみましょう。一応アイテムボックスとしての体を成しているなら、ヘンに触ったヤツを殺すようなモンはついてないはずッス」
一旦深呼吸し、謎の紋に触れてキヤは自分の名を囁く
「木屋工太」
その瞬間紋章が下から上へと指紋を認証するように光り、『キィン』という金属音のような高い音が響く。するとギアボックスのツギハギに無数の線がはしる。そしてツギハギ部分が蒼白く光ったと思うと、次々とスライドし拡張され、多数モニターのあるノートパソコンのように変化した。
『所有者登録 キヤ・コウタ 登録しました。使用する項目を選んでください』
「「………………」」
顔を見合わせる二人。目と目が合う瞬間困惑していると気付いた
「いきなり近未来になってるーーーーーーーーー?!」
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
「うわーこれタッチパネル式やんなにこれエグ……最新のパンチのきいた服着たファッションモデルが中世ヨーロッパを堂々と闊歩してるみたいなチグハグ具合……もうわけわかめ☆」
「混乱治しのポーションは持ち合わせはないぞ」
「OK,落ち着きましょう、 おれは しょうきに もどった! ▼ はい、とりあえず取説の項目……あった、はうつーゆーず……なんで英語やねん、と……」
キヤが取説らしき項目をタッチすると、空中に画面が浮かび上がり文字が羅列された。タッチパネルが操作盤、空中の画面がディスプレイということだろうか?
『ギアボックスは貴方のクリエイティブな発想を現実にする為の最適なツールです』
「……なんなんだろうな、このどことなく感じる外国っぽいリンゴ臭。意識高そう」
「リンゴなど見当たらんぞ」
「あ、こっちの話ッス……えっと続きは……」
『登録/生成 あなたの作ったものをここに収納することで、自動的に設計図がギアボックスに登録されます。そしてあなたの魔力を消費することで、いつでも登録したものを複製し取り出せます。そうしてとりだしたものは、注ぎ込んだ魔力が少なければ少ないほど消滅までの時間が早くなります。』
「ちょい待って、コレヤバない?」
「どういうことだ?」
「例えば剣を登録したとして、俺の魔力が続く限り無限剣製出来るってことですよ……ただ消費魔力に対してのリターンが微妙っぽいですけど」
「よくわからんが、どれにしろ俺には無用の長物だったな」
「その場しのぎの剣をぽんぽん出せるんで全く無用ではないかもですけど……出してる時のスキがね。そんでそんで、他には?」
『復元 壊れたものを収納することで、収納した物品の消耗具合や破損具合をデータ化してディスプレイに出力。さらに魔力や材料を収納すれば修理も可能です』
「これもまたチート級……これ自体が強力な錬金術の錬成炉みたいになってんのかな」
「一時的とはいえ魔力さえあれば破損した鎧なども直せるわけか。凄まじいな」
「まだあるんですよね、機能……」
『即生成 登録した設計図のものを一瞬で生成できます。その際には使用者の魔力を使用します。また、即生成で作り出したものは使用後壊れて消えます。また、あらかじめ音声コードと設計図をリンクしておくと、音声一つでリンクしたものが生成できます』
『充魔力 使用者の魔力を貯蓄できます。貯めた魔力はギアボックスの機能全てに使用できます。貯蓄できる魔力は無限です』
「これもまたエグいのが……あ、なんか登録済みの設計図があるな……」
『登録済みの設計図・ 555 種類』
「……猫舌の狼主人公が使ってたのかな?(現実逃避)」
インフォメーション
キヤは 『ギアボックス』 を 手に入れた!▼
キヤは 『ギアボックス』 を たいせつなものに しまった!▼
後、使ってる英語はギアボックスを作った人のインチキ英語です。あと細かいこと気にしたらハゲる呪いがかかります。




