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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第二部 鬼の腕(カイナ)
37/199

まーたお前こんなモン作って最高かよ

連休はもう気が狂うほど心地えぇんじゃ……でも曜日感覚が狂うぅ~……その、あれですよ。遅れてごめんなさい


「いやね? 流石の俺もあそこまでヤバい威力が出るとは思わないぢゃん? ギルバさんの魔力量は織り込み済みで、だからこそ魔石には10%しか魔力のない状況で実験したんよ? でもあそこまでヤバいパゥワー出るとは思わないやん? 赦してお姉さん?」


「面白い弁解だ。オシオキは後にしてやる」



 相変わらず土下座ゲザの体勢で謝るキヤ。キヤにしてみれば不発で当たり前、うまくいけば儲けもの程度の認識で実験を行ったのだが、結果としては想定外が起こってしまったのがよろしくない。ゴルドワーフたちが粉々になった丸太の破片をホウキで掃き集める中、マーソウが考察を口にする



「……義手に使われている魔石に込められた魔力が同調し増強したのかもしれない」


「どういうことなんだぜ?」



 すぐさま改善すべくキヤはポケットからメモを取り出す。サツキは力を貯めている。



「魔物のエレキビートルは知っているか?」


「あぁ、図鑑で見たよ。あの飛べないけど強烈な電撃属性を持ってるって言われてるあれでしょ?」


「そうだ。あれは単体では電撃を出したり出来ない。が、2匹集まると腹部を向け合い、その間に強烈な電撃のラインを作る。やつらが複数ならその数だけ電撃のラインは増える。義手を見せてもらったが、あの配置だとどの魔石にも平等に魔力が通る設計になっている。俺の魔石の合成の原理は、カンタンに言うと今回の件に似ているんだ」


「バランスよくないと破綻するってあれ?」


「そうだ。魔石合成は混ぜ合わせる魔石の魔力を同調シンクロさせ、増強させ、一つに一体化させることだ。なぜ魔石を合成するか知っているか?」


「出力向上でしょ?」


「それもある。が、本来は複数の魔石の魔力を同時に開放すると人間の制御を超える魔力が放出されることがあり、それが思わぬ事故を生むんだ。属性の魔石でそういった事故が大昔にあってな。今回の件もそれだろう」


「なるほど。マッチョ一人とそこそこの人間二人とで作業するとマッチョが先にヘバる感じか」


「作業する人数増えたら一人当たりの疲れの溜まりが少なくなって、それが結果効率の向上を招くってことね。今回のアレはその魔力が暴走した結果と」


「めっちゃわかりやすいね、さっちゃんさすが!」


「逆になんでアンタはそんな微妙に捻った例えしかできないの。ところでオシオキは後にすると言ったわね?」


「そ、そうだ大佐さっちゃん、助けて……」


「アレはウソよ」


「ウワァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」




 マーソウにさらにカラの魔石を強化合成してもらうことで解決しました。余談だが、王都中のカラの魔石が無くなり回収業者が腰を抜かしたのは別の話





ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ



 防月某日。



「ところでギルバさん。コイツを見てどう思う?」



 キヤが作業机の上に置いたのは一風変わった義手だった。全体が金属で、肩の部分に黒く太い糸がロールになってくっついており、掌の部分は全体的にスパイクのようなデコボコがついている。



「……義手はもう間に合っているぞ」


「ちょいと冒険の役に立つ奴なンすけど……見るだけでも! お金タダでいいんで!」


「サツキとかいうやつに怒られるんじゃないのか」


「これは俺のポケットマネーとゴルドさんの技術と優しさで出来てるから大丈夫ッス!!」


「話だけでも聞いてやる」


「やりぃ! んじゃいつもの実験場行きましょ!」



 ギルバはやれやれと言った感じでキヤについていった。だが内心あの義手には興味がわいていた。キヤの作るもののすばらしさは知っていたから




「さてギルバさん。冒険者稼業って平坦な場所ばかりが活動場所じゃありませんよね?」


「まぁな。険しい山岳地帯にしかいない魔物の素材を集めてくる依頼もある。飛べるセレーニャがいるが、あまり頼りきりになりたくないのが現状だ」


「セレーニャ……どなたッスか?」


「……いや、気にするな」


『随分と冷たいニャあギルバ? 最近ご無沙汰すぎてブサイクになるとこだったにゃぁ? セレーニャもヒマすぎてヒマンカになるとこだったにゃあ?』


「ぃっひぃ?! 誰?! どなた?!」



 不意をつかれ完全にビビッたキヤをよそにギルバの影から大きな猫とカラスがのそりと姿を現した。ちなみにヒマンカとはこちらでいうヒマワリに似た植物である。



「え、もしかして召喚獣ってやつですか? ギルバさんって剣士スタイルじゃありませんでしたっけ? てか喋ったァァァァァァァァ?!」


「やかましい。ただの腐れ縁だ」



 ため息をつき、後ろに撫で付けた紺色の髪をガシガシと掻き毟るギルバ。秘密にしておきたかったのだろうか?



『初めましてだ人間。アタシはノワール、こっちはセレーニャ。ギルバの嫁だにゃ……に゛ゃ゛アッ?!』


「戯言をいうな」



 頭をシバかれた大きな黒猫ことノワールが頭を押さえて悶絶している。セレーニャは我関せずと言った雰囲気で羽を嘴で手入れしていた。



「その、アレですよギルバさん」


「すまない……わざわざ言うことの程でもないと思ってな」


「異種族でも愛さえあれば大丈夫 おおっととりあえず落ち着いてください嫌だなぁ冗談じゃないですかその場を和ませるためのちょっとした小粋なジョークってやつですよだからその固く握りしめた拳をほどいて仲直りの握手しませんk ぶへえっ?!」


「次同じようなことほざいたら口を縫い合わすぞ、OK?」


「OK!」


『面白い人間ニャあ、お前も見習ったらどうだギルバ?』


「断る」



道中は賑やかだった。



ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ



「デデドン!! マギアスナッチャ~~!」


「それで? その義手はどんな機能があるんだ」


「えぇ~、もうちょっと出した時の余韻とか味わいたいんですけど」


「で?」


「ウス……端的に言えば、離れた場所に手が伸びる義手ですね。百聞は一見に如かず、付けてみてください」



 言われるままギルバは腕を付け替える。金属製の為普段使いの義手よりは重いが、ギルバには気にならないレベルだった。ちなみに言っておくが、あくまでギルバは気にならないレベルである。一般人なら推して知るべし



「つけたぞ。それで?」


「あの丸太に向かって前みたいに魔力を押し出すようなイメージで操作してみてください」



以前の失敗を踏まえ、ギルバは慎重に小さく魔力を操作する。すると、手首から先が勢いよく射出され、鋭いツメが数メートル先の丸太に深く突き刺さった。射出された手からこちらの手首まで黒い糸で繋がっており、射出された際に肩のロールが勢いよく回転していた。



「これは……」


「どうです? 掴む腕 (スナッチャー)の名にふさわしいでしょう? ちょっとした高い場所にあるものをとったり、あるいは上ったり、ギルバさんくらいの体格だと人間も引き寄せられそうですね。伸ばした状態でも手の指は操作できますよ。今度は肩のロールを巻き戻す感じで魔力を操作してみてください。そしたら戻ってきますよ」



 丸太に刺さった指を魔力操作で手を動かして引き抜き、肩のロールに意識を動かすギルバ。するとそこそこの勢いで糸が巻き取られ、ガキュン! という小気味のいい音で手首がガッチリとはまった。



「外装と骨格の素材は金属。ゴルドワーフさんが作ってくれたンで性能強度は折り紙つき。糸はマギアハンズ作った時に失敗して余ってたキングシルキーワームの糸を寄り合わせたもの。普通の糸のように柔らかいのに、寄り合わせた糸束のその強度は最早金属ワイヤーのごとし! 普通の剣くらいなら受け止められるくらいの強度、さすが魔物の糸素材の最高峰! 魔力を通せばさらに強度が上がります!  無駄にならずによかった……


 使われているカラの魔石はマギアハンズと同じ規格のものを十二個、今回はさらに回転の魔石を糸の巻き取り機構に採用しました!」


「これは……まさに俺専用だな。この重量は並の人間では使いこなせんだろう」


『人間……お前の頭ン中どうなってるにゃア? 深淵でも覗いたのか?』



 心底楽しそうにノワールがキヤをからかう。機嫌よさそうに尻尾もゆらゆらと揺れている



「いやぁ、照れますねぇドフフこぽぉっ……」


『うわキモい笑いにゃあ』


「いいもの作ったのにコレだよンもぉん!!」



 ギルバはそんな一人と一匹のやり取りを苦笑いしながら見ていた。


スナッチャーは金属製なので伸ばしてそのままブン回してもそこそこ威力あるよ

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