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異世界のマ歯車鍛冶(ギアスミス)!  作者: 優暮バッタ
第五部 超古代の息吹に新たなる姿を
107/199

その戦士、暴風を纏いて天空を翔る




「はやいはやーい!」


「おにいちゃんすごいね!」


「二人とも口閉じてないと舌噛むyへぎょ?!」



 魔歯車人形『ラプトルバンディッツ』に乗った歯車鍛冶工房メンバーが街へ向けて走っている。この魔歯車人形も先ほどキヤがギアボックスから|召喚(取り出)した魔歯車人形だが、こちらはマッドロックチェスターと違い比較的キヤの手が入った設計になっている。


 外見は恐竜映画でよくみられる小型~中型くらいに位置するラプトル系の魔物で、背中には人を乗せる鞍と摑まるためのハンドル、ある程度ではあるが操縦する為のペダルがある。このペダルによってある程度ではあるものの搭乗者による操縦がきくのだ。本物のラプトル系魔物のように小回りは利かない上スピードもそれほど速いとは言えないが、馬がいない今この移動手段は非常に貴重と言えるだろう。



 ラプトルバンディッツの大きさは最大体長四メートル、大人一人と子ども二人なら軽く乗せることができ馬よりも比較的乗りやすい。現在キヤはラプトルリーダー一体に保護した兄妹を乗せ、ラプトルソルジャー三匹に残りメンバーに乗ってもらっている。


 現時点では逃走に重きを置く装備になっており、走りながら後ろへ閃光弾を落とすことが出来る装備が尻尾の付け根についている。カスタム次第で戦闘用のものへと簡単に武装を換装でき、汎用性は魔歯車人形随一と言えるだろう。というより、この世界の道の荒れ様からしてこちらの方が新しい移動手段としては適しているかもしれない。普及させるとするなら数十年以上かかりそうだが(普及させるかどうかは別として)


 風を切りながら走っているので大きな声でゴルドワーフはキヤへ質問を投げかける。



「それで、キヤちゃん! あのコたちは大丈夫なの?!」


「マッド達の事っスか?! ヘーキっすよ! なんたって、陸海空を代表するツワモノ達なんスから!! それより、早く街に戻って、この子たちを返してあげないとね!!」


『キシャールルゥゥ!!』



 キヤの言葉に応えるように、ラプトルバンディッツは走る。




ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ




 魔物は何も地上にしかいないわけではない。海を泳ぐ魔物も居れば、空を飛ぶ魔物も少なくない。猛毒の鱗粉を撒き散らす蛾をそのまま人間にしたかのような異形の怪物『モスマン』、猛毒を持つ羽を飛ばして攻撃してくる鳥の魔物『ヴェノムバード』、ドラゴンの魔力によって異常に肥大化し凶暴化したなんでも食べる悪食バッタの魔物『グラトニーホッパー』、そして高い凶暴性と戦闘力、そして何より群れでやってくる亜竜種『ワイバーン』。


それらが空を覆いつくす雲霞のごとく人間の居る街の方へと飛んで行く。脅威から逃げるため。そして逃げた先で生きるため。そしてあわよくば栄養ニンゲンを摂取する為。



 空を飛べる彼らは今までこれといった脅威らしい脅威に出会ったことが無かった。どれだけ追い詰められようが、空にさえ逃げてしまえば逃れられるからだ。だが彼らは思い知ることになる。


 本物の空の支配者とは何だったかを。そして支配者は永い時を超えて再び世界に姿を現した。鋼の身体と新たなる力を以て。





 キィィィィィ…………



 ふと、辺りにカン高い音が小さく響く。聴力に優れる種族が何となく気が付いたものの、それほど気にするべきことではないだろう。そのまま街の方へと飛び続ける。だがじわじわとそのカン高い音が大きくなりつつある。聞いたこともない音と現象にさすがに気になりだす魔物たち、だが気付いたときには遅かった。



 バグォォォン!!! という轟音が響いた瞬間、魔物たちの前方に巨大な見たこともない魔物が現れていた。だが魔物たちはソレを視認する暇もなく細切れにされ地面に墜落していった。そのときソレは既に魔物たちの遥か後方へ飛び去って行っていた。空を飛ぶ魔物の中でトップの戦闘能力を持つワイバーンですら、その自慢の翼をズタズタに引き裂かれ墜落、地面との衝突のショックで死んでいった。



 その辺りで一番高い岩山の頂上、そこにソレは降り立った。十メートル以上の翼長を大きく広げ、太陽を背に勝利の雄たけびを遮るもののない高い山の上で高らかに吠える。山の空気を鋭く響かせる、鋼の動力から吐き出された咆哮は、今再びこの世界に空の帝王が蘇ったことのときの声だ



『キギゴォォォァオルルルゥゥゥーーーールルルル!!!!』



 翼はキヤの貯蔵した魔力により変質した金属『魔鋼』で形成され、翼膜の中央に風の魔石が仕込まれた疑似ジェットエンジンそれぞれ二基、背部と腹部にクローのついた二つのワイヤーアンカー射出装置、頭部のトサカには風魔法を圧縮して発射するための砲台。


魔歯車人形マギアゴーレム・翔風翼竜戦士チェスター』。太古の空の帝王が厄災を吹き潰す暴風を纏い、再び空へと舞い戻ったのだ。





 チェスターは再び魔力を疑似ジェットエンジンへ流し起動。バォォンという轟音を響かせ起動した疑似ジェットエンジンは、チェスターを空へと射出した。そして未だに雲霞のごとく空を覆う魔物たちへとチェスターは向かう。飛翔時に纏う風の防護壁と鋼の翼の切れ味で次々魔物を切り刻み、時にワイヤーアンカーのクローで捉えた敵を振り回して他の魔物に衝突させたり、または頭部のトサカの砲台から暴風の魔弾を放ち超小型台風を出現させ纏めて魔物を叩き落す。


 そうするうちにひときわ大きな影がチェスターを追いかけ始めた。有象無象のザコとは違う、現在マッドが相対しているキングオークと同じ歴戦の猛者。


キングツインヘッドワイバーン。双頭のワイバーンであり飛龍達の王だ。竜の劣化版と言われるワイバーン種の中で突如現れた突然変異種であり、突出した戦闘能力、飛行能力、そしてなんと双頭からそれぞれ別の属性を含むブレスを吐くという恐ろしすぎる魔物。ワイバーンの領域で暮らしていたが、ドラゴンの復讐の鬨の声に惹かれて彼の軍門へ参陣したのだ。そして王はかつての帝王と相対する。



 チェスターもツインヘッドワイバーンに気付き、一筋縄ではいかないと判断。疑似ジェットエンジンを角度調整することで反転、急加速。空中で年月と戦闘によって研ぎ澄まされた翼と、魔力を含み変質強化された鋼の翼が衝突した。


 ガギン、ガギンと八の字、もしくは∞の軌道を描きながら何度も衝突する両雄。数度の衝突の後、二人は一旦空中で制止し改めて互いの姿を見る。キングツインヘッドワイバーンの雄を見たチェスターは帝王の矜持を示すため、新たな自分へと姿を変える。



 背部のワイヤーアンカー射出装置がフレキシブルに稼働、クロー部が伸びるように稼働し掌が出現。鋭いツメを持つ腕部となる。腹部のワイヤーアンカー射出装置はそのまま下へズレ、同じように足の部分が出現、脚部となる。頭部がZの字を描くように背部へ移動し、首の部分に格納されていた頭部が露になる。


 翼のような意匠の兜飾りがVの字に展開、鎧の窓の部分が緑色に発光する。



 『魔歯車人形マギアゴーレム・翔風翼竜戦士チェスター』は完全戦闘形態と至った。


お察しの人もいるかもしれませんが、チェスターの鳴き声とシーンは某怪獣王最終戦争のゴマすりク〇バードじゃないやつのシーンのオマージュです。あのシーンと腹チェーンソー復活シーンは膿汁がドヴァドヴァしますねいっぱいいっぱいしゅき。


 疑似ジェットエンジンについては風の魔石の共鳴作用で爆発的な出力を出しています。ギルバの腕の編で空の魔石について言及してたアレですね

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