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ドドン!ドン!ドドン!
不意に、私の輪郭が光りながらぼやけ始めたことに気付いた。
ドドン!ドドン!ドン!
私は、もうこの世にはいられないのだ。
ドン!ドンドン!ドドン!
「お別れの時間だね」
「……そうだね」
ドンドン!ドドン!ドン!
「私、勇哉と一緒にいれて、幸せだったよ。本当に、ありがとう」
「僕も、とても幸せだったよ……」
ドドン!ドン!ドドン!
「友香、行かないで……」
「……私も、行きたくない……逝きたくないよ。でも……行くね。最期に一緒にいてくれたのが、勇哉でよかった。ありがとう。楽しかったよ」
ドドン!ドドン!
「……勇哉……さよなら」
ドンッ!
一際大きな、最後の花火が花開いた時、私は一筋の光となって空へと舞い上がった……
私が最期に聞いた音は。
「……友香、さよなら」
私が最期に聞いた音は、誰もいない境内で、勇哉が呟いた声だった。
これでこの物語は完結いたしました。今まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
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