招かれざる者
まだお昼を過ぎたばかりだというのにどんよりと曇った空。
洋館の屋根や柵の上にいるカラスが忙しなく泣き続けている。そして柵と柵の隙間から見えるあれは
墓地だろうか・・・・正直言ってかなり不気味だ。
「聞いていた通りちょっと不気味といいますか・・・なんというかあの噂も本当かも」
「うわさ?」
久遠くんが苦笑いした後にボソッとこぼす。
「えっあっ・・・あーいや実はですね」
言いづらそうにする久遠くんだが私の急かすような視線を感じたのか、覚悟を決めた表情をし小さく息を吐き口を開く。
「実はこの洋館には吸血鬼が住んでるって噂があって、僕もあまり本気にしてなかったんですがこうしてみると本当に思えてきますよね。」
確かにこの廃墟っぷり、墓地・・・吸血鬼が住んでいると言われたら信じざる得ない雰囲気だ。
「どうします?1回学院に戻りますか?」
「うっうーん」
帰りたい。正直言って帰りたいけど、ここまで来て何の成果も得られないまま帰るのもね・・・。
時間だって限られてるしわけだし。
「・・・行きましょう。」
入口と思われる門扉の片方を握り引く。
引く。・・・・・引く。
「・・・・・・・・・くっ!」
引いてみるもびくともしないこの扉。
「手伝います。」
久遠くんと一緒に引いてみるも結果変わらず、門の軋む音だけが響く。
確かに見た目頑丈でいかにも重そうだが、これだけの力を込めてびくともしないのはなんだか変だ。
まるで押す扉なのにずっと引いているような。例えば回す方向を間違えながらずっと瓶のふたを開けようとしているような
そんな感覚を感じる。
わからない。ただの感覚だけどこのまま続けていても開かないことだけはわかった。
つづく




