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魔王は転生して令嬢となり、雇われた勇者護衛  作者: 星野翔


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第37章:天啓加護の碎裂

『轟!鏘——鏘——轟隆隆!!』


神魔が交錯する戦場では、双方が数百合もの激闘を繰り広げ、まるで落雷の如きスピードで激しく衝突を繰り返していた。金色の神聖なる剣光、深淵なる遠古の重力、そして金色と黒色が織りなす真龍の魔炎が、煉獄の城のすべてを跡形もなく粉々に打ち砕いていく。だが、「天啓の加護」による絶対防御を恃みとするルシファーは、まるで揺るぎない巍峨(ぎが)たる高山の如く、二人がいかに狂い狂った猛攻を浴びせかけようとも、微塵の傷すら負う気配を見せなかった。


激戦の最中、メシアは相手の防御のリズムを鋭く見抜いた。少年は深く息を吸い込むと、次なる交錯の瞬間、再びそっと目を閉じた!


彼はもはや、耳を聾するような轟音を聞こうとはせず、視覚の限界を超えて疾駆するルシファーの残影を捉えようともしなかった。全身の知覚を極限まで沈潜させ、ルシファーの呼吸の頻度、魔力が流れる微細な綻び、そして完璧な防御の背後に隠された攻撃のテンポを、その肉体で細やかに感じ取ったのだ。


傍らに控えていたベルフェゴールは、一瞬の横目でそれを捉え、瞬時にその意図を察した。


「ふん……このボクちゃん、真正面からぶっ壊すつもりかい?」


天然パーマの少年の口元に茶目っ気のある笑みが浮かび、両手を大きく一振りすると、その身に宿る遠古の重力が一瞬にして数倍へと跳ね上がった!


『轟!轟!轟!』


ベルフェゴールの攻撃密度が最高潮へと引き上げられた! 圧倒的な物量の重力拳の影が嵐の如くルシファーへと狂い降り注ぎ、ルシファーの滑らかな防御の構えと反撃のテンポを完全にめちゃくちゃにかき乱した。


「ちっ……! 鬱陶しいガキどもだ!」ルシファーは眉をひそめ、金色の瞳に一瞬の焦燥を走らせ、この隙間なき重力網に対処するため莫大な神聖魔力を割かざるを得なくなった。


——今だ!!


闇に閉ざされた知覚の世界の中で、メシアの両目がカッと大きく見開かれた! 真龍の金瞳からかつてないほど眩い神芒が爆発する!


「捉えたぞ……ルシファー!!」


手にした「天魔断罪の剣」に狂暴な黒炎と金芒を纏わせ、頭上高く掲げた。全身の真龍の血脈と仲間たちとの絆が、この瞬間についに最高潮へと燃え上がる!


「奥義——天魔断罪・気刃兜割(きじんかぶとわり)——!!」


上空から下へと振り下ろされる雷霆の怒りの斬撃が、天地を滅ぼす重圧と破魔の力を伴い、世界を両断する巨大な刃となって狂い叩き斬られた!


ルシファーの表情が激変し、本能的に裁決聖剣を掲げて受け止めようとした——


だが、彼が腕を持ち上げたその千分の一秒の隙を突いて、傍らにいたベルフェゴールが完璧なタイミングを見切り、予測不能な軌道の重力蹴撃をルシファーの手首へと猛烈に叩き込んだ!


『咣当——!』


なんと、ルシファーの手にあった天啓裁決聖剣が鮮やかに弾き飛ばされ、はるか遠方の廃墟のなかに斜めに突き刺さった!


「なにっ——?!」


武器を手放したその瞬間、ルシファーは強制的に両腕を交差させ、背後にある神聖な光を放つ六枚の天啓の羽翼を前方にガバッと合わせ、最強の防護壁として頭上に構えた!


『啪嚓————!!』


半空中で、ガラスが粉々に砕けるような甲高い破砕音が鳴り響いた!


絶対の破魔の力を秘めた金黒の剣気が、六枚の羽翼へと容赦なく叩きつけられた! 無敵を誇り、一切のダメージを免疫してきたはずの「天啓の加護」が、この瞬間、まるで脆いガラスの如く音を立てて粉々に砕け散ったのだ!


『噗嗤——!!』


強力な破魔の剣気の余勢が防護を突き抜け、鮮血の飛散と共に、ルシファーの肩と胸元に深い血の刻印が刻み込まれた。


ルシファーは数十メートルもよろよろと後退し、自身の血に染まった肩を信じられないといった様子で見下ろし、その金色の瞳に初めて驚愕と動揺の色が宿った。


『嗡——!』


胸元を斬り裂かれ、数歩よろめいたその瞬間、この傲慢なる反乱軍の首魁の瞳には恐怖の色など微塵もなく、むしろ冷酷で残忍な笑みが閃いた。


彼の、一見すると無造作に下ろされた手が、半空中でこの上なく妖しく凌空の一振を描いた!


『嗡——!』


ベルフェゴールの瞳孔が激しく収縮した。長年の遠古魔神としての戦闘直覺が致命的な危機を告げたが——遅すぎる!


『噗嗤————!!』


重く、背筋が凍るような肉を穿つ音が突然響き渡った!


なんと、先ほどベルフェゴールの一蹴りで弾き飛ばされ、遠くの廃墟に突き刺さっていたはずの裁決聖剣が、ルシファーの遠隔精神操作によって一筋の金色の稲妻と化し、肉眼では捉えきれない死角から逆撃のごとく飛来し、ベルフェゴールの胸元を真正面から貫き通したのだ!


「ぐ……はっ……!」ベルフェゴールの小柄な身躯が激しく震え、身体を貫いた聖剣を見下ろしながら、その口元から大量の鮮血が溢れ出た。


「ベルフェゴール様——!!」


少し離れた場所で着地し、まさに追撃を加えようとしていたメシアは、その光景を目の当たりにして目張り裂け、心神が激しく揺さぶられた! 自身の疲弊など構っている暇もなく、彼は引き裂くような絶望の狂吼を上げ、両足で大地を粉々に踏み砕きながら、ベルフェゴールの方向へと狂ったように疾走した!


だが、負傷したルシファーのほうが、その速度はさらに上回っていた。


「助けに来たか? 甘いな」


ルシファーの顔立ちは氷のように冷たく、その身が瞬きの一瞬で鬼魅の如くメシアの進路へと立ち塞がった。神聖な金色の光と恐るべき重圧を纏った拳が、毀滅の風圧を伴い、一切の飾り気なしに正面から叩きつけられた!


『轟————!!』


「あっ——!」


メシアは回避する間すらなく、その重拳が顔面にまともに命中した!


心地よい骨の砕ける音と共に、強烈な衝撃波がメシアの顔の筋肉を激しく歪ませ、その身はまるで黒い流星のごとく吹き飛ばされ、長い血の軌跡を引きながら「轟隆」という重い音を立てて、数階建ての高さの瓦礫の山へと激突し、天を覆うほどの巨大な黒煙を巻き上げたのだった!

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