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魔王、病弱な公爵令嬢に転生するも、護衛として現れたのは宿敵の勇者でした〜今更正体を隠しても遅いのですが?〜  作者: 星野翔


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第29章:強欲なれど命惜しまぬ商業契約

「だから? これが君の選択かい、マモン?」


マモンは苦しそうに荒い息を吐き出し、首を締め上げられながらも、あのふざけた口調でかすれた笑い声を絞り出した。


「ふっ……ルシファーちゃん……ゴホッ……本座という者は生来この通り強欲ですがね……絶対に……命が惜しくて保身に走るような真似はしませんよ……」


マモンの血に染まった指先がわずかに動き、精魂込めて言葉を紡いだ。


「本座はただ……商人の本分を全うしたまでさ……あの大小姐から『三倍の手付金』を受け取っちまった以上……たとえ死のうとも……客から任された仕事はやり通さなきゃならんのでね……」


「身の程知らずが!」


ルシファーの眼光が凍りつき、この裏切り者の商人の命をその場で消し去ろうと動いた。


◆

まさにその一触即発の瞬間——


「その金ピカのクソ野郎から手を離せ——っ!!」


天地を揺るがすほどの狂怒の咆哮が夜空を引き裂いた!


見れば、『煉獄大将軍』サマエルがいつの間にか全身血まみれになって暴れ起きていた。その山嶽の如き巨体には最後の漆黒の暴烈な炎が燃え盛っており、両手で重たい溶岩の戦斧を頭上に高く掲げると、山をも削り取る威圧感をもって、ルシファーの頭頂部めがけてまっすぐに振り下ろした!


「奥義——『憤怒の破滅斬』!」


城塞を一刀両断しそうなほどの狂暴な一撃に対し、空中に浮遊するルシファーは睫毛ひとつ動かさず、振り返りもしなかった。


『パァン!』


ただ軽く一振りしただけで、六翼の盾の金光がサマエルの渾身の一撃をいとも簡単にお上品に弾き飛ばした! 続いて、ルシファーが反手に一閃の剣を突き出す!


「プシュッ——!!」


極限まで研ぎ澄まされた黄金の剣光が、サマエルの無敵を誇る刀槍不入の魔神の肉体を一瞬で貫いた! サマエルの胸元に巨大な血の穴が爆発し、熱い魔血がまるで噴水のように噴き出す。


「大将軍——っ!」


周囲の生き残った魔兵たちが絶望の悲鳴を上げた。


サマエルの巨体が激しくよろめき、その両目が大きく見開かれ、やがて大量の血を吐きながら血の海の中へと真っ逆さまに倒れ込み、その気配は急激に弱まり果てていった!


だが、まさにサマエルが倒れ伏したその瞬間、ルシファーの足元の地面が突然に砕け割れた——!


『ズズズズッ————!!』


無数の古の符文を放つ巨大な黄金の異空間法陣が、予兆もなくルシファーの足元に展開された! 財閥の黄金の輝きを帯びた数え切れないほどの『黄金の封魔鎖』が、法陣の中から狂暴に飛び出したのだ!


法陣の中央、まさに首を絞められて絶命寸前だったはずのマモンが、その口元に企み成功の狂熱的な獰笑を浮かべていた。


「油断したな……ルシファーちゃん——!!」


「なにっ……これは……!」


常に揺るぎなかったルシファーの金の瞳がようやくわずかに縮み、額に青筋が走った! 彼はすぐに剣を抜き返して反撃しようとしたが、すでに手遅れだった!


『ジャラララァァッ——!!』


マモンが持てるすべての力をすべて振り絞ると、無数の黄金の鎖が恐るべき引き裂く力を爆発させ、ルシファーの両足と羽翼をガッチリと縛り上げ、この傲慢なる天魔の指導者を……地下の黄金の異空間へと容赦なく引きずり下ろしていった!


「消え失せろ——っ!」


怒りに狂ったルシファーは、反手に容赦なく剣を突き刺し、マモンの胸を貫いた! 鮮血が飛び散るが、マモンは鎖をしっかりと掴んだまま狂気じみた大笑いを響かせた。


「ははははは……本座の商売に……赤字は一切ないのさぁぁぁ——!!」

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