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魔王は転生して令嬢となり、雇われた勇者護衛  作者: 星野翔


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第十一章:深海の誓言~嫉妬のリヴィアタンと千年の恋歌~

第一幕:嵐の急襲と崩壊する神聖戦船

航行を続けてしばらくが経った頃、それまで穏やかだった空模様が急激に暗転した。

黒々とした暗雲が重鉛のように海面へと押し込められ、凍てつく暴風が瞬く間に吹き荒れ、滝のような豪雨が叩きつけるように降り注いだ! 猛吼する狂風が数メートルに及ぶ荒波を巻き起こし、巨大な顎を開いた深海の怪物のごとく、大船に向かって容赦なく叩きつけられる。


ドォォォン——!


一撃のもとに、堅牢を誇った木造船は天災のごとき狂波の打撃に耐えかね、船体を激しく傾かせた末、ついに真っ逆さまにひっくり返された!


「きゃぁぁぁ——!」


ディアブラは悲鳴を上げ、華奢な身体のまま氷のように冷たい海へと投げ出された。押し寄せる荒波が瞬く間に彼女を呑み込み、魔力も体力も失った身では大海の咆哮に抗う術もなく、窒息感と恐怖が容赦なく襲いかかる。


危機一髪のその時、見覚えのある影が猛然と波をかき分け、ディアブラの手腕をしっかりと掴むと、水底から彼女を力任せに引き揚げた!


メシアだ!


少年は歯を食いしばり、暴風雨に抗いながら、片腕で水を飲んでぐったりしたディアブラを死守し、もう片方の手で海中で身をもがかせるオフィーリアを引き寄せると、かろうじて壊れずに残っていた簡易救生艇へと引き上げた。メシアは全身の力を振り絞り、まずオフィーリアを救生艇の上に押し上げ、続いて寒さにガタガタと震えるディアブラを抱きかかえて船の上へと運んだ。


「ケホッ……ゲホッ! こ、この田舎者……」

ディアブラは救生艇の縁に伏せて激しくむせ返り、小さなお顔を蒼白にさせながらも、メシアの袖をしっかりと掴んで離さなかった。「早く上がってこい……本王が命令しているのだ、早く上がるのだ!」


メシアは片手で救生艇の縁を支え、顔の雨水を拭うと、ディアブラに向かって弱々しくも優しい笑みを浮かべた。


「心配しないで、お嬢様。あなたはもう安全ですよ——」


だが、少年の言葉が終わらぬうちに、突如として異変が巻き起こった!


先ほどよりもさらに巨大な、数丈の高さに達する黒褐色の巨大な波が、潮風の重苦しい咆哮とともにメシアの背後からなだれ落ちてきたのだ!


バシャァァァン!


狂暴な水の壁が救生艇を容赦なく数メートル先へと押しやり、その凄まじい衝撃にディアブラとオフィーリアは再び転覆しかけた。


救生艇が激しい揺れの中でどうにか体勢を立て直した時、雨足は依然として激しかったが……先ほどまで船の縁を支えていたはずの少年の姿は、どこにもなかった。


漆黒にのたうち回る海平面には、ただ冷たい波飛沫と吹き荒れる風音だけが残されていた。


「メシア——?!」


ディアブラは雷に撃たれたかのように硬直し、瞳孔を激しく収縮させた。彼女は全身を襲う冷気も刺すような海風も顧みず、救生艇の縁へと這い寄ると、果てしない大海に向かって声を張り上げて絶叫した。


「下等な人間! 田舎者のガキ! どこにいるのだ?! 出てこい! 本王は……本王はまだ貴様が死ぬことなど許可しておらんぞ——!!」


傍らにいたオフィーリアは海に落ちそうになるディアブラを必死に抱き留め、瞳を真っ赤に濡らしながら、焦燥の色の濃い眼光でその漆黒の危険な海域を見つめ続けていた。


第二幕:深海の再会と千年の唇づけ

深海の幽暗と冷気がメシアを重く包み込んでいた。水圧が彼の胸腔を容赦なく圧迫し、肺の空気が少しずつ失われていくにつれ、彼の意識も果てしない闇の中で次第に薄れつつあった。


(ディア……オフィーリア……二人とも助かったのかな……? 良かった……)

少年の想念は次第に弱まり、そのまま自身が深淵へと堕ちていくのに身を任せていた。


その時、一瞬にして空霊で朗らかな歌声が漆黒の海水を突き抜け、メシアの耳元で優しく響き渡った。その歌声は古くから続く絆を宿し、荒ぶる深海を穏やかに撫で静めていく。


『ようやく見つけました……勇者メシエル様』


温かく深い愛を込めた呼びかけが脳裏に届く。メシアが猛然と目を開けると、漆黒だった海底はいつしか湛藍の微光に包まれ、ひとつのしなやかで美しい影が彼に向かって泳いできた。


「君は……リヴィアタン……?」

少年の口元が、かろうじて弱々しい笑みを浮かべた。


「私です、私の勇者様」


嫉妬と深海の主宰を象徴する七大魔王級の存在——嫉妬のリヴィアタン。その幽藍色の瞳には、失った宝物を再び手に入れたかのような狂熱と愛おしさが満ちあふれていた。彼女は白く柔らかな腕を伸ばし、腕の中の少年を強く強く抱きしめると、愛おしそうに囁いた。


「この孤独で凍てつく深海で……私はあなたをまるまる一千年、待ち続けていました……」


言葉が落ちた瞬間、リヴィアタンは身をかがめ、千年の思念と執着のすべてを注ぎ込むように、少年の双唇へと深く口づけを交わした。


純粋かつ途方もない深海の霊力と酸素が、この口づけを通じて少年の体内へと切れ目なく注ぎ込まれ、彼を死の淵から力任せに引き戻していった。眩いばかりの青い光芒が深海底で爆発し、周囲の闇と窒息を追い払っていく。


メシアは奇跡的に息を吹き返し、胸の上下運動が再び活力を取り戻した。そしてリヴィアタンの護衛のもと、二人は一筋の青い流光となって、神の島の海岸を目指して波を破り進んでいくのだった。

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