表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元伝説の迷宮踏破者、今は過疎配信おじさん ――魔王が幼女に転生して来たので、再び迷宮の最深部へ  作者:
二章 おじさん、魔王に挑む

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/101

二十五話 おじさん、選抜戦に挑む㉓

 勇剣(ユウキ)はその場にいる全員に向けて、宣言する。


 最終ラウンド、と。


(アルファは腕を失ってるし、完全に熱が()()始めてる。風向きが蘆原勇剣(アシハラ・ユウキ)に向いてるせいで【魔力】出力が落ちて来てる。モナが踊ってくれてるおかげで、なんとか持ち堪えてるけど、このままだと確実に負ける)


 チサトは横たわるアルファから、勇剣(ユウキ)に視線を向けた。


 勇剣(ユウキ)はいつの間にか失っていた右腕に【魔具】を装着しており、それの動きを確かめるために手をグーパーと動かした。


 その装着をマナカは巨大な手を使って、器用に手伝い、影より他の【魔具】を取り出すとそれを勇剣(ユウキ)へと手渡す。


 両手には片刃の刃に噴射機の様な物が着いた剣と勇剣(ユウキ)の腰ほどまでの長さの剣を握りしめた。


「マナカ、僕に合わせて」


「当たり前!」


 勇剣(ユウキ)とマナカは【魔力】が落ち始めているQ104(モンナンジュ)へと襲い掛かろうとする。


 だが、その横から1人の武闘家が姿を現す。


 先程、勇剣(ユウキ)の一撃を食い、吹き飛ばされていたはずの李 刃(リ・ジン)龍真鉄棍(リュウシンテッコン)を使い、彼らの間に立った。


「まだまだ! これからだろう! 龍真鉄棍(リュウシンテッコン)土涛(ドトウ)!」


 今度は土の龍を生み出し、それをマナカへと放つ。


 マナカはそれを拳一振りで破壊するもその瞬間に、彼女の体に土の龍は絡まり着いた。


「何だ? コレ!」


 絡まりつく土龍をマナカは何度も破壊する中、(ジン)勇剣(ユウキ)へと挑んだ。


刃剛(ハゴウ)! 粉砕撃(フンサイザキ)!」


 龍真鉄棍(リュウシンテッコン)の先に【魔力】を集中させ、それを勇剣(ユウキ)へとぶつけた。だが、彼はそれを冷静に見極め、右腕に握る【魔具】を使って、撃ち落とす。


「飛ばせ、竜墜(リュウツイ)


 【魔具】の刃先に着いた噴射機から勇剣(ユウキ)の【魔力】を変換させて、ジェット噴射の様に炎が噴出されるとそれを使って、(ジン)の攻撃を弾き飛ばした。


「いい! ね! 龍真鉄棍(リュウシンテッコン)木燐(キリン)!」


 上半身が捻じ曲がりそうな程の威力の反撃を受けるも(ジン)は何とか持ち前の筋力で持ち堪えると地面に龍真鉄棍(リュウシンテッコン)を突き刺した。


 すると勇剣(ユウキ)の下から木で出来た龍が現れると彼の手足を拘束する。


龍真鉄棍(リュウシンテッコン)》、金錮(キンコ)!」


 地面に突き刺した龍真鉄棍リュウシンテッコンを手に持ち、勇剣(ユウキ)へとその棒先を向けるとそれは突如として巨大化し、彼目掛けて伸び出した。


「断ち切れ、禍罪(マガツミ)


 左手に握る身幅が少し太めの刀をぶつけ、その一撃を簡単にいなす。そして、(ジン)との距離を詰めて剣を振るう。


 振るうと同時に、(ジン)の肉体に突如として、切り跡が生まれ、彼の溝へと蹴りを入れた。


 溝を打たれ、吹き飛ばされそうになる(ジン)であったが両足を地面に突き刺す勢いで力を込め、何とか耐えたと思った次の瞬間、彼へと影が迫る。


 (ジン)が前を向いた時には既に龍真鉄棍(リュウシンテッコン)の拘束を振り解いたマナカがおり、彼女は彼に向けて拳を振り抜いた。


「お返し!!!!」


 その一撃を受け、(ジン)の体は雪の街中を一瞬で駆け、ビルの1つに打ち付けられた。


 肉体には負荷が掛かり、動かし方を間違えれば、【魔力】で生み出した擬似身体は今にも崩れてしまいそうになる。


 そんな中で、(ジン)はまだ、闘争心を激らせる。


(上手い! 技術! 【魔力】! それら全てにおいて、僕を超えて行く! 堪らない、この死合い! 僕もこのままじゃ負ける。なら、出すか! 奥の手を!)


 (ジン)を吹き飛ばし、その場に万全な状態で立っているのは蘆原勇剣(アシハラ・ユウキ)のみ。


 Q104(モンナンジュ)(ジン)をたった1人で払い除けた勇剣(ユウキ)を見て、その映像を盛り上げるためにカナは声を上げる。


「圧倒! 逆境であった状態をまさかまさかの大逆転! これがA級最強の名は伊達じゃない!」


 勇剣(ユウキ)に向けた実況に視聴者達も湧き踊る。


 今、間違いなくその視線はただ1人に注がれ、Q104(モンナンジュ)の【ユニークスキル】の妄想多数派マジョリティー・ファンタジィが有する必要がある熱が冷めつつあった。


 誰もが勇剣(ユウキ)以外の勝利は絶望的だと思ったその時、舞台の上で有馬チサトが声を上げる。


「まだ、これからだろうが! 何、盛り下げてんだ!」


 その咆哮は目の前に立つ敵、勇剣(ユウキ)(ジン)、そして、自分達に視線を注いでいた信仰者ファンに向けた物。


 有馬チサトは理解していた。

 今の状況をひっくり返すほどの余力も【魔力】も残っていないことを。


 だが、そんなのは関係ない。

 ガムシャラに走り抜けて来たチサトにとって、いや、Q104(モンナンジュ)にとって、その逆境は常に自分達が乗り越えて来たが故に。


 それに応える様にモナカもまた、前を向く。


「そうだね、チサ。僕達はいつもこれからだ。アルファちゃん! 立って! まだ、ライブは終わってない! ラストスパートだ!」


 両腕を破壊されたことで【魔力】を失い満身創痍となっていたアルファであったが、チサトとモナカの2人に鼓舞されたのか、覚束ない足取りでありながらもしっかりと立ち上がる。


 そして、そんなQ104(モンナンジュ)を目撃した視聴者達は、視線の先を彼女達へと向けた。


 人間(ファン)が向ける熱い視線、それに応える様に妄想多数派マジョリティー・ファンタジィの能力に再び火を灯す。


 Q104(モンナンジュ)は踊り始める。

 迫り来る勇剣(ユウキ)を気にせずに、自分達の舞台を彩りながら、視聴者の視線を一瞬にして集めた。


 一瞬にして爆ぜた熱を受け取り、チサトは自身の指に【魔力】を集約させる。


(この一撃で、仕留める!)


 有馬チサトはもう1つの【ユニークスキル】を持っている。


 名は天の眼(テンガン)

 それによって他者よりも【魔力】の流れ、動き、色をハッキリと見通すことができる。


 指先に集めるのは今、自分達が持てる【魔力(ねつ)】全て。


「「「これで最後だ!」」」


 クルリと回転し、3人は一糸乱れぬ動きで、止まった。


 最後の決めポーズは人間(ファン)を撃ち抜く為の指を銃の形。


「ラストソング! 無料生歌、大サービスだぞ! 聞いてけよ! 蘆原勇剣(アシハラ・ユウキ) ! 鮮烈なる終極(ビビッド・オーラス)!」


 チサトの向けた指鉄砲より、螺旋を描き、放たれるのは【魔力】の奔流。


 相手を焼き払うためだけの指向性の一切、投げ捨てた全力投球。


 勇剣(かいぶつ)へと打ち勝つ為の必死に一撃を防ぐことは不可能。


(すごいな。僕を壊すためにここまでしてくるなんて。なんて、カッコいいんだ。今度、マナカと一緒に彼女達の歌を聞こう)


 勇剣(ユウキ)はその【魔力】の塊を前にして、マナカへと命ずる。


「マナカ、全部だ。僕の全部を使って、彼女達に全身全霊をぶつけて」


 その命に対して、マナカは嬉しそうに応えた。


「あはははは!!!! 容赦がないね! 勇剣(ユウキ)! でも、分かった! ここら辺! 一帯全部吹き飛ばす!」


 そして、命を受けたマナカは自身の口に【魔力】を一気に集めると同時、それは逆に指向性を極限にまでに絞り込み抽出して、解き放つ。


 全てを穿つ【魔力】の光線。


 Q104(モンナンジュ)鮮烈なる終極(ビビッド・オーラス)とマナカの光線、それらがぶつかり合う中、勇剣(ユウキ)は止まることなく疾走する。


 それはマナカへの絶対的な信頼であり、彼女達へと選択を余儀なくさせる為のもの。


 【魔力】の奔流を徐々に押し除け始めたマナカの光線と共に迫り来る。


蘆原勇剣(アシハラ・ユウキ) !」


 チサトはそう叫ぶと勇剣(ユウキ)に向けて、指鉄砲を向けた。


 マナカの放つ光線に今際の際にも呑まれそうになり、【魔力】の出力では敵わないと考えたチサトは彼だけでも相打ちに持って行く覚悟を決め、その判断を下した。


「すごいね、君」


 だが、それよりも早く、勇剣(ユウキ)はチサトの首を断つ。


 刃に宿した【魔力】を飛ばすだけ。

 勇剣(ユウキ)の最も得意とした斬撃がチサトが照準を定めるよりも早く放たれる。


 そして、その一閃がチサトの首を断ち、次の瞬間、彼女の擬似身体は崩れ落ちた。

感想、レビューいつもありがとうございます!

嬉しくて狂喜乱舞です!

続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!

評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ