十八話 おじさん、選抜戦に挑む⑯
鳴り響くショットガンの銃声。
それにより、アルディーニとジェームズの戦闘の決着が着く。
その勝者、ポイントを獲得したのは…。
「水谷シンラ選手、2度目の横取り! 足利パーティの勝利に大きく貢献だぁ!!!! 水谷選手所属パーティに2ポイント! 個人に5ポイント!!!!」
カナの言葉で、視聴者に衝撃が走る。
魔弾の雨によって生まれた煙が徐々に明け、ジェームズとアルディーニの姿が現れるや否や、そこには1人だけが立っている。
そこに立ったのはアルディーニであり、彼の右腹部には大きな穴が空いていた。
アルディーニはジェームズが自分の間合いに入った瞬間を狙い、最後に一撃をお見舞いしてやろうと魔弾を左手に構えた。
だが、その直前、突如として自身の【魔力感知】の中に見知らぬ【魔力】の反応を感じ取る。
(嘘だろ? この瞬間があると信じ抜いてここまで息を潜めてたのか?!)
【魔力】に気を取られた瞬間、ジェームズはアルディーニの目の前に現れ、引き金を引き、彼の右腹部を吹き飛ばした。
「【合成】、電撃弾×雷魔法V」
同時にジェームズの頭部側面が撃ち抜かれる。
雷纏し光速の弾丸は一撃でジェームズを仕留めるとその肉体はアルディーニの肉体が崩れるよりも早く、崩壊する。
(俺に点数をやらせない、けれど、俺には再起不能してもらう。なんも言う剛担さ。恐れ入ったな、全く! こんな所にも英雄が居たとは!)
ジェームズがアルディーニを倒すよりも早く、彼を倒し、点を取るという水谷シンラの選択。
アルディーニに点を与えない事に加えて、自分の位置をあえて明かす事で彼の集中力を削ぐ。
そして、本命の目的はもう一つった。
れはそ負傷したアルディーニを狙い穿つこと。
今の傷では、アルディーニの肉体は何れ【魔力】切れを起こし、崩壊する。
そうすると、対象に対して一番傷をつけた【冒険者】の点が入る事になっている。
今のままではジェームズに点が入るため、それを自分のものにしようとシンラは魔弾を構えた。
「すまんなぁ、狡い戦い方して。まぁ、これも試合や。俺らも点取りせなあかん。堪忍な」
シンラはアルディーニへと狙いを定め、魔弾を放とうとする。
次の瞬間、彼は背後から感じた殺気に気付いた。
隠そうともしない殺意に、シンラは残り一手を見誤ってしまう。
振り向くとそこに立つのはマーラ。
手に握る【我射髑髏】を振るった。
「【合成】、電撃弾×雷魔法V」
アルディーニへと放とうとした魔弾をマーラに向けるもそれよりも早く、シンラの首は断たれてしまう。
「怒涛! あまりにも怒涛の展開! 奇襲を仕掛けた水谷選手をその上から奇襲を仕掛けた肋屋カーマ選手が捩じ伏せる! |カーマ選手所属パーティに2ポイント! 個人に5ポイント!!!! は?! え?! 何ですかあの光は!?」
シンラから点を取ったマーラへの実況を行った直後、その場所が光に包まれていた。
崩壊するシンラの肉体、それは地面に転がると同時に、マーラは【魔力感知】を使い、残った【冒険者】を探し回る。
(残り3人集まってるな。俺達と戦うんじゃなくて、生存ポイントで点数を稼ごうとは人間らしい判断だ。コイツらを狩って、俺達の勝利を確実なものに)
マーラが考え事をしていると目の前に落ちている魔弾が消失していない事に気が付いた。
「んだ? これなんでアイツが消えたのに消えないんだ?」
魔弾は【魔力】によって生み出される物であり、使用者の【魔力】が失ければ消失してしまう。
ただ、既に放っていれば話は変わる。
マーラはその時、それが既に放たれた魔弾であることに気が付いた。
「まさか!? コイツ?!」
シンラの放ったのは【合成】した電撃弾。
に在らず。
散弾と散弾を【合成】して生み出す事ができる魔弾。
名を爆撃。
そして、そこに更に【魔術】系の【スキル】である火炎魔法を混ぜ込む事でマーラをも巻き込んだ自爆であった。
マーラはすぐに【波旬】を使い、その爆発を防ごうとする。
だが、マーラの予想をシンラは超えてきた。
降り注ぐ豪雨は、火炎の爆撃と交わる事で急速に蒸発し、膨張する。
確実にマーラを殺そうという意志、シンラのその執念が生んだのは、水蒸気爆発。
「コイツ! 何処まで!? 俺が来るまで折り込み済だったのか!?」
マーラは笑いながら叫ぶと熱源の中心に最も近い彼女を巻き込み、爆ぜる。
そして、それは小さな光となり、一瞬の輝きを見せ、収まるとそこには【魔力】で全身を覆うも防ぐ事はできず、両腕を失い、膝を突く、マーラの姿があった。
「あはは!!!! 面白い!!!! 面白いなぁ!!!! こうも色々な戦いが見れるとは!!!! 愉快! 愉快だ!」
悔しさも怒りもあった。
たが、それ以上に楽しさが勝る。
【魔力】が全身から抜け落ちる中、マーラは肉体が崩れ落ちるにも関わらず、楽しそうに笑った。
「まさかの水谷シンラ選手! 敗れながらに点を取る!!!! そして、アルディーニ選手も同様に【魔力】切れで戦線離脱! 鈴木・ジェームズ・ジェパード選手にも点が入った! 所属パーティに2ポイント! 個人に5ポイントです! この短時間で瞬き厳禁の連続! アルベールさん! すごい事が起きてますね!」
「そうだね。エース同士の戦いも見応えがあるけど、それだけじゃない、自分達も活躍する、正しく【冒険者】としての矜持を感じる。こうも色々な展開を見せられると視聴者や、傍観者としてではなく、ちゃんとしたプレイヤーとして、参加したくなった」
アルベールですら驚愕させた水谷シンラの盤面を俯瞰して見抜く能力。それが最大限に生かされた試合であり、横取りという一見マイナスのように捉えられてしまう要素を一切、そう感じさせず、視聴者達のボルテージを最高潮に引き上げた。
「アルベールさんも参加したくなるほどの熱! それはもう、浮かされるしかありませんね! そして、第六試合もいよいよ、大詰めとなっております! 現在、試合場に残るのは桂パーティの3人と、肋屋選手と川上選手! 桂パーティはこの後絡んでくるのか!? 彼らの戦いの様子、すぐにお伝えいたします!」
カナの一言で、画面はレンジと春、2人の決闘へと移る。
吹き荒れる嵐の中、見合う2人にレンズが向けられるも、彼らはそれを気にも止めず、三つ巴の決闘に、終止符を打とうとしていた。
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