郡印の手紙
ユストから村へ封書が届いた。税の猶予について、今期の一部を後日に繰り延べる案が検討されているという。ただし橋の修理費は別の担当が判断し、猶予された税が消えるわけではない。ベルクは紙を読み終えてしばらく黙った。
ハロルドは良い知らせだと喜び、エダは来年に負担が残ると眉を寄せた。ミラはどちらも間違いではないと思った。支払う時期が遅れれば冬を越しやすくなるかもしれないが、次の収穫が悪ければ苦しくなる。
村会議では、延期分を使い切らずに残すべきだという案と、壊れた道に回すべきだという案が出た。先に決めるのは早い。正式な印章付きの通知を受け取ってから、使える金と備える金を分けることになった。
ユストの文には、調査に協力した村人への謝意もあった。ギルは照れて肩をすくめたが、山道の運搬賃金を証明したのは運ぶ人たちだ。ミラは申請書の写しを大切にしまい、誰が働いたか分かる記録も一緒に残した。
正式な通知が来るまで、村は申請のための追加資料を整えた。エダは延期後の納税予定表を作り、ハロルドは収穫の見込みを控えめに書いた。来年の天候が分からない以上、楽観した数字を約束には使えない。ベルクは郡都から返事を持つ使者に過剰な礼を渡さず、規定の配達費だけ支払った。ミラは紙の上の猶予が村の財布へ届くまでに、なお幾つかの手続きが残っていると知った。通知を読みたいと言う家には写しを回し、読めない家にはベルクが内容を説明した。誰も一人で役所の文面を解釈しなくてよいようにした。
手紙の最後には、追加の確認が必要なら再訪するとの一行があった。返事を待つ暮らしは続く。夕食の鍋へ入れる麦の量は、封書が一通届いたからといって変えなかった。




