空の穀物袋
秋の収穫が本格的に始まると、倉庫の入口に空袋が積まれた。数は足りているはずだったが、古い袋の底から粒がこぼれる。レアは繕うと申し出たものの、市へ納める品で手がいっぱいだった。
ハロルドは新しい袋を買う金が惜しく、傷んだ袋を二重にして使おうとした。ミラは運ぶときに破れれば道へ麦を落とすと考え、一袋ずつ縫い目を確かめた。まだ使えるもの、修理するもの、重い物には使えないもの。分けて並べると、見かけの数より少なかった。
リネは作業場の端に古い布を広げ、丈夫な部分だけ切り出した。針を使う仕事は指の様子を見ながら短時間にし、ルークは袋に印を押す係となった。子どもが扱うのは空の袋だけで、麦の荷下ろしには近づけなかった。
袋が足りない分、ハロルドは畑から倉庫へ運ぶ日を二度に分けた。収穫した麦を雨にさらさないよう、屋根のある場所を優先して割り当てる。早い者勝ちにすれば、遠い畑の分が後回しになると分かった。
畑へ袋を配る順番でも揉めた。先に仕事を終える家から欲しいと言い、遠い畑の家は雨が来る前に運ばせてほしいと求めた。ベルクは強い声の順に渡すのではなく、収穫予定と倉庫までの距離を確かめた。袋を貸す数を小さく決め、戻ったら次の畑へ回す。返却場所に泥がたまったため、ギルが板を置いて足場を作った。袋は多く見えても、誰がいつ使うかを決めなければすぐ足りなくなる。
夕暮れ、空袋の山は小さくなっていた。失われるはずだった粒が、どれほど守られたかは誰にも分からない。ミラは修理済みの印を数え、次の収穫でも同じように点検できる場所へ袋を戻した。




