剣聖レオ
コンコン!
「入れ」
「失礼しまーす」
「まあ、座ってくれ。オルトリンデ、久し振りだな」
「ええ、レオ、勲章授与式以来ね」
2人はソファに腰掛ける。
「忙しいのに悪いわね」
「どう?上級貴族になったご感想は?」
「その言い草、相変わらずだな」
「失礼いたします」
メイドがお茶を運んでくる。
「早速、会話を記録するわね」
オルトリンデが掌ほどの四角い道具を取り出す。
「それは何だ?」
「音声を記録する魔導具よ、ここでメモ取るより、後で聞きながら字に起こせる」
「お前には、敵わんな」
「じゃあ、早速いいかしら?」
「ああ」
「じゃあ、軽く自己紹介をよろしく!」
「な、なに!?自己紹介?」
「ええ、名前とか趣味とか・・・」
「お前、大体は知ってるだろ!」
「確認も含めてるの、はい、よろしく!」
「いや、その前に、何で回顧録をお前が?」
「・・・ダメ?」
「・・・もういい、始めよう」
「どうぞ〜!」
「名前は、レオ・モルガー、34歳、男、え〜っと・・・」
「趣味は?好きな女性のタイプは?彼女いる?」
オルトリンデが前のめりになる。
「それは必要なのか?」
「どっちでもいい、アハハハ!」
「くっ!コイツ・・・」
「じゃあ、ちゃんとするわ。聖剣に選ばれる前は何を?」
「お前、急に・・・はぁ~、冒険者だ」
「聖剣に選ばれた理由は?」
「俺も正確には知らんが、大賢者の話では、卓越した剣技と勇気を持っているとか?」
「自分で言うんだ、ププー!」
「帰るか?」
「ごめんね、私もこれが初めてだから、ちょっとふざけすぎたよ、ここからは普通にするよ」
「そうしてくれ」
「じゃあ、単刀直入に聞くわ、706年のヤオニグ山の戦いで、あなたほどの人が参加しておきながら、全滅寸前まで追い込まれたのはなぜ?」
「何が言いたい?」
急にレオの表情が険しくなる。
「自分の価値を証明するため、ワザとピンチを演出したとか?」
記録の魔導具をレオに突きつける。
「俺を糾弾する気か?」
「私がそんなことしたことある?」
「じゃあ、何が目的だ?」
「私はね、あなたという人間を知りたいの、それにこの回顧録が世に出るのは300年後よ」
「お前にはわからんだろう」
「なにが?」
「聖剣ロンアルトを手にした時から、剣聖として期待に応えてきた、だが、人は際限なく欲を出す」
「私は剣聖だ、人間の希望なんだ、威厳を保つために犠牲を出すこともある」
「いつも矢面に立ってるあんたを見てて、不憫だとは思ってたわ」
「何で私を英雄に推薦したの?」
「・・・お前、とんでもない力を隠してるだろ?野放しには出来ん」
「その力を使えば、被害は少なかったかもしれん、お前も同罪だ」
「フフフ、さすがレオね、参ったわ」
「まあ、なんだ、お前の気持ちはわからんでもない、11英雄はクセのある人間ばかりだからな、心をのぞきたくもなる」
「だが気をつけろ、俺みたいに話のできるやつばかりじゃない」
「だよね、だけど、最初にレオと話をしたのは正解だったわ」
オルトリンデは立ち上がった。
「今日は帰るわ、忙しいのに悪かったわね、また来てもいい?」
「ちゃんとアポは取れよ」




