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わがまま王女に婚約破棄された旦那様、悪女の私が必ず幸せにしてみせます!  作者: 矢間カオル


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9/19

9話 夫婦の部屋

ラディーと名前を変えたアスラス様と私が乗った馬車は、ロウタス侯爵領へと向かっているのだが、途中で九夜、宿に泊まらなければならない。


実は、これに関して、私は大いに悩んでいた。


深く愛し合っている夫婦だと話した以上、夜の営みはあって当然のことである。


だけど……、私はまだ男性経験がない。

いたって清い乙女なのだ。


ラディ―に、私が処女であることがばれてはいけない……。




いろいろ言い訳を考えているうちに、馬車は宿に到着した。


領地へ行く際にいつも使っている宿は、侯爵家の名に恥じないような立派なホテルである。


重厚な門構えを抜け、フロントに入ると、スタッフが迎えてくれた。


「リリア様でございますね。ご夫婦様のお部屋にご案内いたします。御者様はこちらに」


私たちが到着する前に、父が出した早馬で、宿泊予約は既に完了している。




どうしてこんなにも父が協力的なのかと言うと、これは私と父の約束ごとだったからである。


10歳の誕生日に、私は政略結婚を選ばず、闇ギルドの一員になることを選んだ。


これにより、父は私の結婚に対して、一切手を出さないことを約束した。


つまり、結婚相手は自分で捕まえてこい!と言うことなのだ。


そして私が選んだ結婚相手が、ロウタス家にとって有能な人物である場合、侯爵領の北部にある領主代理の屋敷をもらえることになっている。


だが、無能であると判断されたら、二人一緒に追い出される。


父は、私の結婚相手が有能か無能かを判断できるようになるまでは、反対せずに協力しようと約束した。


だけど、私はずっとラディーを見てきたから確信している。


彼の頭脳は、絶対にロウタス家にとって助けになると……。




ホテルのスタッフが、私とラディーを夫婦の部屋に案内した。


「お二人のお部屋はこちらでございます。どうぞごゆっくりおくつろぎください」


部屋に入ると、どんと置かれた大きなベッドが目に飛び込んできた。


ああ、わかってはいたけど、やっぱり……。


部屋に置かれているベッドは一つ。そして、シーツは白い。


もし、ことに及んでしまったら、私たちが夫婦でないことがばれてしまう……。


「あ、あの……、まずは夕食をいただきに行きましょう」


部屋にいることがいたたまれなくて、私はラディーを一階のレストランに誘った。




「ああ、どれも美味しいね。おや、リリア、食が進まないようだね」


「え、ええ。ちょっと疲れたみたいで……」


せっかく出された美味しそうな料理も、緊張で食べた気がしなかった。


結局、早々に食べ終わって、また部屋に戻ることになった。


「ラディー、先にお風呂に入ってね」


「ああ、わかった。では、先に入らせてもらうよ。だが、僕たちは夫婦なんだから、一緒に入ったりしなかったのか?」


「えっ? ええ、とっても愛し合ってるから、もちろん入るわよ。でもね、旅の途中だと、疲れてるから……。別々に入りましょう」


「ああ、それもそうだね」


納得したようで、ラディーはバスルームに一人で入った。


はあ……、会話の一つ一つに緊張する……。


私はその場にへたり込んでしまった。



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