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わがまま王女に婚約破棄された旦那様、悪女の私が必ず幸せにしてみせます!  作者: 矢間カオル


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47話 疑問の答え

今回の作戦の遂行にあたり、私は国王陛下に謁見し、その人柄を直に見ることができた。


分別があり、物欲もなく、広い心を持った立派な王だと思った。


アスラス様が陛下を尊敬していると言ってたけれど、その気持ちもよくわかった。


あんなに立派な陛下なのに、どうして娘のキャロルは、あんなにわがままに育ってしまったのだろう? 


その疑問に、メイド長アンナが答えてくれた。


キャロルが3歳になってすぐ、国王陛下が崩御し、王太子であったキャロルの父が国王に即位した。


それからというもの、国王夫妻は古い制度を見直し、よりよい変革をもたらそうと尽力したのだが、多忙を極め、キャロルに関わることが減り、子育てを乳母に任せっぱなしになってしまった。


やっと時間的な余裕ができたころに、今度は近隣諸国の情勢が不安定になって来た。


我が国ヴェリタは中立の立場を守っていたので、戦争になることはなかったが、もし近隣諸国で戦争が起こったら、ヴェリタにも火の粉が飛んで来て、平和が脅かされるかもしれない。


そう考えた国王夫妻は、もめている国の間に入って仲裁役になることを買って出た。


そのために各国に奔走することになったのだが、長年に渡る国王夫妻のたゆまぬ努力の結果、戦争まで発展することなく情勢不安は解消されたのである。


世界的に見れば、国王夫妻は世界を救った英雄であったが、親子関係だけで見れば、決して良い親とは言えなかった。


乳母は、私利私欲のない情の厚い伯爵夫人が選ばれ、キャロルの世話をしていたのだが、両親にかまってもらえないキャロルのことを不憫に思った乳母は、必要以上にキャロルを甘やかした。


それだけでなく、キャロルの周りにいる私利私欲にまみれた大人たちが、未来の国王のご機嫌取りに夢中になった。


乳母はキャロルが10歳になると、自分の役目は終わったと、田舎の領地に引っ込んだのだが、キャロルを囲む私利私欲にまみれた大人たちは、ご機嫌取りをし続けた。


こんな大人に囲まれて育ったキャロルは、気付いた頃には、超がつくほどのわがまま王女になっていた。


キャロルが運命の相手にこだわるのにも理由があった。


親にかまってもらえず寂しがるキャロルに、乳母は「王女様にも、いつかは運命の相手が現れますよ」と何度も話して聞かせて慰めていた。


その言葉は、いつしかキャロルにとって呪いのように心にしみ込み、呪縛となってしまったとアンナは語った。




キャロルがわがままになった理由はわかったけれど、同情する気にはなれなかった。

だって、アスラス様に対する仕打ちが酷すぎたから。


裁判でどのような判決がでるのかわからないけれど、十分に反省して欲しいと思った。





僕は、本日付けで王宮を去った。


馬車の中は、僕が王宮に運んだ本や私物がそれなりにあって、一年と少ししか通わなかった執務室にも、愛着はあったのだと改めて思う。


思い返せば、国王陛下から、キャロル様の王配になって欲しいと頼まれてから、ずいぶんといろんな経験をした。


尊敬する陛下の期待に添いたくて、キャロル様を支えて行こうと決心していたのに、無情にも婚約破棄された。


キャロル様の一存ではなく、陛下もご存じだと聞かされて、僕は冷静さを失い自暴自棄になり、遺書まで書いて行方不明になってしまった。


あのときは、きっとどうかしていたのだろう。


アピウムに出会って、半年後には王都に戻って来たが、キャロル様の涙の謝罪と、陛下の頼みで、僕はまた婚約者になった。


陛下が僕に頭を下げて謝罪してくれたのだ。断れるはずがなかった。


だけど、その結果、メイドのメリーを巻き込んだ事件へと発展してしまった。


あのときからだ。僕の考えが変わったのは……。


僕を殺そうと考える相手と結婚して、本当に幸せになれるのか? 


たとえ陛下の願いであっても、キャロル様と僕の幸せを考えるなら、身を引いた方が良いのでは? 


しばらくして、キャロル様が隣国の大公子と結婚するから、僕との婚約を白紙に戻してほしいと、陛下がまた僕に頭を下げてきた。


一国の王が、僕なんかに何度も頭を下げるのだから、どれほど僕のことを気遣ってくれているのだろうと思うと涙が出そうになった。


「僕は大丈夫ですから、キャロル様の思うようになさってください」

そう言って白紙に戻すことに同意した。


だけど、結局、キャロル様は大公子との婚約もできず、グリックの共犯として裁きを受ける身になった。


こうなることは予想していたとは言え、実際に婚約者であったキャロル様が僕の殺害に関わっていたと思うと、なんだかとても虚しさを覚えた。


馬車が伯爵邸に着いたら、父と兄が飛んできた。

父の手には、一通の手紙が握りしめられていた。



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