表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わがまま王女に婚約破棄された旦那様、悪女の私が必ず幸せにしてみせます!  作者: 矢間カオル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/54

46話 最終日

皆が注目する中、私は自分の決意を口にする。


「私がアスラス様に、直接結婚を申し込みます。今度は嘘に嘘を重ねるのではなく、ロウタス侯爵家のリリアとして、正々堂々と申し込みたいと思います」


「だが、リリア、もし玉砕したらどうするのだ?」

兄は本気で心配しているようだ。


「そのときは、何度でも申し込みます。アスラス様、私と結婚してくださいって」


「妹よ、よく言った。それでこそリリアだ」

皆が兄の言葉に頷いた。





翌日、私はメリーに変装して、いつも通りにアスラス様の執務室で仕事をした。


しかし、アスラス様の専属メイドの仕事は、本日が最終日である。


アスラス様は執務室に私物を結構持ち込んでいたので、それを片付けるのが本日の仕事。


ある程度片付いたので、私はお茶を淹れて、アスラス様に休憩してもらった。


「メリー、いつもすまないね。メリーが淹れてくれるお茶を飲むのも、今日で最後になってしまったな」

アスラス様はお茶の香りを一息胸に吸い込んだ後、一口啜った。


「アスラス様、その……、大丈夫ですか?」


「ああ、婚約解消のことを言ってるのかな?」


「はい」


「また僕が死にたくならないかって?」


「申し訳ございません。ですが、前回は遺書まで残していらっしゃいましたので……」


「ははっ、君には二度も心配をかけてしまったようだね。だけど、前回と今回は違うんだ」


「違うとおっしゃいますと?」


「僕はね。国王陛下のことをとても尊敬しているんだ。その陛下が、キャロル様が国王になることを心配されて、僕を王配にと選んでくださったのだ。だから、陛下の期待に添えるようにと僕なりに努力をしてきた。だけど、前回は、陛下から一言もなく婚約破棄をされてしまった」


「そのシーン、私も覚えています」


「僕は陛下に見捨てられたと思って、そのショックで自暴自棄になってしまった。そして恥ずかしいことに遺書まで書いてしまったんだ。だけど、それはキャロル様の嘘だった」

アスラス様は遠くを見つめながら、ふっと自虐的な笑みを浮かべた。


「今回の婚約解消の件では、陛下がきちんと頭を下げて謝罪してくれたんだ。キャロル様がシュレイン王国の大公子と結婚することになったからって。僕を振り回してばかりですまなかったって。陛下にしてみれば、キャロル様が次期国王にならずにすむ最適の方法だったから、この結婚を進めたかったのだと思う。だけど、結果的には、違う形で終わったけどね」


「あの、アスラス様は、王配の身分に未練はなかったのですか?」


「それが清々しい程、まったく未練がないんだ。僕が行方不明になっている間に、陛下が僕の家門のために便宜を図ってくれてね。没落寸前だったのに、盛り返すことができたんだ」

アスラス様が嬉しそうにニッコリと微笑んだ。


「それにね。キャロル様が君にお使いを頼んだ日から、こうなることは予想していた。あの日は、証拠がないから特定の名前は出さなかったけど、おそらく、犯人はあの二人だと思っていた。関係ない君を巻き込むなんて許せないと思ったんだ。」


今度は怒ってる? 私のために?


「これからどうされるのですか?」


「もともと王配にならなければ、アカデミーの研究後に教授になる予定だったんだ。だから僕はアカデミーに戻るよ。本の話が聞きたくなったら、いつでもおいで」

アスラス様は、とっても優しい目で私を見てくれた。


私はアスラス様の言葉も表情も心に刻んでおきたくて、些細な変化も見落としたくなくて、ただただアスラス様をじっと見つめながら話を聞いていた。


この後、全ての荷物を馬車に積み込むと、アスラス様は王宮を出て行った。

最後に、私に「今までありがとう」と感謝の言葉を残して……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ