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わがまま王女に婚約破棄された旦那様、悪女の私が必ず幸せにしてみせます!  作者: 矢間カオル


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34話 作戦実行

私は、作戦の概要を説明した。


「何か質問はありますか?」


ジェニファが声を上げた。

「お嬢をさらった男の身柄はこちらで確保した。だから、グリックを捕まえることはできるのだが?」


「犯人たちは口を割ったのですか?」


「ほっほっほっ、私にかかったら、口を割らせることなど造作もないこと」

ステイクの目がキラリと光る。


嬉しいんだけど、何をしたのか想像すると、ちょっと怖い……。


私とアスラス様を殺そうとした男たちは、ジェニファと闇ギルドの仲間が確保し、現在は証人としてロウタス邸の地下牢に拘禁中である。


「グリック一人を捕まえても、王女はきっと自分は知らないことだと逃げ切ることでしょう。だから、しばらくグリックは泳がせておくことにします。それに、グリックを捕まえるためには、もっと確実な証拠があった方が良いでしょう。それはこちらでなんとかします」




王女キャロルを王太女の身分から引きずり下ろすと言っても、それは簡単なことではない。


この国の法律が、それを認めていないからである。


第一子はたとえボンクラであっても、形だけであっても、国王にならねばならない。


そのために、国王補佐という身分が作られているのだ。


アスラス様の場合は、王配と国王補佐の両方の身分を担ってもらうための結婚なのである。


しかし、例外も法律で明記されている。


誰もが納得する正当な理由があれば、自ら継承権を放棄することができると。


今回の作戦は、王女キャロルに、自ら継承権を放棄させることにあるのだが、欲深いキャロルが、そう安々と自分の地位を手放すとは思えない。


だから、国王の地位よりも、甘くて美味しいケーキを差し出すのだ。

破滅と言う名の甘いケーキを……。




「では、明日、メイド長とジェニファ、よろしくお願いします」


「かしこまりました」

「おうよ、任しとけ!」

二人の頼もしい返事が、先行きを明るく照らすような気がした。




翌日、私は午前中の休みをもらい、身支度を整えて、王城へと向かった。


今の私は、隣国シュレイン王国の大公の息子、ベリード・オレラケア。

サラサラの金髪に海のような青い瞳の目鼻立ちが整った美青年である。


ベリードは兄の友であり、困ったときは、兄が何かと便宜を図ってあげた人物である。

今回、入国した事実を残すために、この国に入国してもらったが、現在はロウタス侯爵領で名前を変えて贅沢三昧の生活をしてもらっている。


私は小さい頃からたたき込まれた変装術を駆使し、誰が見ても超イケメンの男に見えるように仕上げた。


特別な発声方法で、声は低く男声に変え、身長は高くするために、上げ底ブーツを履いている。


今日の目的は、キャロルと出会うこと。


本日の作戦名は「運命の出会い作戦」。


キャロルは、運命的な出会いが好物なのである。


それは、彼女の専属メイドをしていたからよく知っている。


おそらく、グリックも、事前に調査し、それをわかった上で、運命の出会いを演出したのだろう。


だから、こっちも、それに負けてはいられない。




翌朝、キャロルは、珍しく侍女を従えて庭を散歩していた。


私は午前中の休みをもらって、ベリードとして王城の庭を一人で歩く。


ジェニファは所定の位置についている。


私は知らぬふりしてキャロルに向かって足を進める。


キャロルの話し声が風に乗って聞こえてきた。


「ふふふっ、メイド長が言ってた運命の出会いって何かしら? メイド長が言うことって当たるのよね」


「メイド長は、本日の午前中に庭の散歩をすると運命の出会いが吉、なんて言っておりましたが、私にはなんとも……」


侍女は疑っているが、キャロルは信じているのだ。

というか、信じ込ませたのは、私だけどね。



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