15話 責任と義務
私の唇を奪ったラディーは、私の唇をこじ開けて舌を忍ばせてきた。
そして私の舌を絡め取ると、まるで別の生き物のように動いて、私の口腔内を蹂躙し始めた。
私も彼の舌の動きに合わせて舌を絡ませる。
初めての濃厚なキスに夢中になって、何も考えられなくなって……
私の頭の中は真っ白になっていく……。
キスをしながら、ラディーは私のバスタオルをはぎ取り、そっとベッドに押し倒した。
赤いシーツの上で、私たちは身体を絡め合い、初めての夫婦生活、私は初夜を迎えたのだ。
目が覚めた時は、まだ夜は明けていなかった
終わった後、私は眠ってしまったのね……。
隣を見たら、裸のラディーが無防備な寝顔で、気持ちよさそうに眠っている。
すごく頑張ってくれたから、きっと疲れたのだわ。
私も緊張していたからか、身体のあちこちが痛い……。
赤いシーツの乱れ方が激しくて、どれだけ二人の営みが熱烈だったのかを物語っている。
ああ、やっぱり赤いシーツに替えて良かったわ。
きっと初めてだってばれないわよね。
それから、もう一つ、ケントルムで買ってきたものがある。
それは子どもができないようにする薬。
ラディーには、嘘を突き通す覚悟はできたけど、もしも子どもができたら、その子にまで嘘を突き通さないといけなくなる。
私には、まだそこまでの覚悟ができていない。
だから、ごめんなさい。ラディーには内緒で、薬を飲み続けるつもりです。
それにしても……
私はラディーとの愛の営みを思い出して、顔が熱く火照った。
ラディーがあんなに上手だったなんて……。
女遊びなんてしたことがなくて、きっとラディーも初めてだと思ったから、テクニックのことは期待していなかった。
でも……、指の動きも舌の使い方も、どれもこれも、私を翻弄し、私は彼の前戯だけで、何度も絶頂を迎えてしまった。
初めての私でもわかったわ。
ラディーのテクニックは、上級者並みだと。
彼自身を私の中に迎えたときは、さすがに痛くて、大きな声を出してしまったけど、それよりも、それまでの快感に酔いしれてしまって、終わった後の満足感の方が大きかった。
ラディーがどうしてあんなに上手いのか、私は知ってる。
メリーとしてアスラス様専属のメイドであったとき、彼が読んだ本の話をよく聞かせてもらったけど、聞いても教えてくれない本もあった。
その本は、外国語で書かれていたから、私には題名もわからず、中身なんてまったく読めなかった。
「アスラス様、その本には何が書かれているのですか?」
「ん? この本は……、レディにはちょっと難しいかな?」
よほど、難しい内容なのだろう。外国の学術論文なのかしら?
なんて思っていたけど、きっとあれは性技について書かれた本だったのだろう。
読みながら、指をクイッと動かしていたのを見たもの……。
当時の私が無知だったから、その意味がわからなかっただけで……。
王配には王女を支えて公務を行う義務があるけど、もう一つ、もっと大きな責任と義務がある。
それは王女との間に子を成すこと。
だから、夜の営みを王女が悦んで求めるようにするために、性技のテクニックを磨かなければならないのだ。
きっと真面目な彼だから、ありとあらゆる本を読み、天才だから、読んだだけで、自分のものにできたのだろう。
はあ……、彼が、わがまま王女キャロル様と身体の関係を持つ前で良かった。
もし、こんなに上手だとわかっていたら、彼女は彼を手離さなかったかもしれないもの……。
私がじっとラディーの寝顔を見ていたら、彼が目を覚ました。
赤い炎のような瞳が、宝石のようにキラリと光って美しい。




