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幕間2・とある店主の独白

 今日は僕が話をしよう。

 僕の住んでいるリーデン王国の一番親しまれている宗教がある。太陽の神と月の聖女が恋をし、様々な神の試練をかいくぐって結ばれるという若干ご都合主義じみている神話がベースになっている。地域により若干変わってくるが、その二人が敬われるのは決定している。

 名前は、フィナリア教。聖女の姓がフィナリアだかららしい。こういうことから分かるだろうが、国民は聖女も神の一人のように扱い、敬っている。この国では太陽神をあがめることは当たり前なので、もう一人の対象である聖女から名前がもじられたのだろう。

 本題は、そんなフィナリア教について。


 今でも伝説として残っている「歌竜」という種族の竜は、どの生物よりも高らかで澄んだ美しい歌声を持っているそうだ。また、詠唱型の魔術師に近く、歌を歌うことにより魔術を使うことができた。

 月の聖女ことアリア・フィナリアは、その「歌竜」の末裔だった。ああ、これは秘密にしておいてね。この国で園事実を知っているのは少数。国民で知っているのは一人もいないと思うよ。

「歌竜」の歌声は、神の心もとろけさせるほど甘美でありながら、精霊達を悩ませるほど狂おしい切なさを備えるという、綺麗なものらしい。「らしい」というのは僕が「歌竜」の歌声を聞いたことが無いからである。と、王立図書館の最下層、「機密文書保管庫」に潜んでいる数多の書物はだいたいそのように語っている。

 アリアは竜と人の子でありながら一族の期待を一身に背負うほどの強大な魔力を持っていた。歌えば、彼女に悪意を持つ者は眠り、恋する者は酔いしれ、疑問を持つ者は心を開くという、天性の歌唱力もあった。誰もが彼女を求め、欲したので政府は危険人物として見なし、手元に置いておくために彼女を聖女に選定した。

 聖女になったアリアは大人の思惑など微塵も気にせず(ある資料には「かなりの鈍感娘」とかかれていたほどの純粋な少女だったらしいので、気がつかなかっただけかもしれない)、健気に神に祈りを捧げ、動物と歌い踊ってのびのびと生きていた。

 十七歳のある日、王にも気に入られたので認められた証として、何年も前に神が地上に降り立った際に残した「御魂」という水晶の前で祈りを捧げられる権利を賜った(ちなみにそれは、真面目な聖職者達にとってかなりの栄誉なので、ぽっと出のアリアはかなり恨まれただろう)。

 やがて一年間熱心に歌っていたアリアの姿が太陽神の目にとまり、ついには神が降臨したらしい(どんだけだよ! と僕は思う)。神は歌を請い、ヒマなときは何度も何度も地上に降り立った。そのうちに二人(どっちも人ではないような…?)の間には愛が目覚め、フォーリンラブ。太陽神の友神ゆうじん達がアリアを試し、悪戯いたずら好きの神が騒動を起こし、祝いに来た神達の珍事件に巻き込まれながらも(事件多いな…)絆を深めた。

 そこからできた、フィナリア教は幸せいっぱいにも思えるが、その裏には悲恋も潜んでいるわけで。

 月の聖女を護り、ずっと側で支えていたのが月の神と神官。二人も優しくて美しいアリアに恋をしていたのだ。


 さて、それから何百年物時が経ち、僕らの時代になったのだけど、神はまだまだ存在している。月の聖女も、ね。

 これで僕の話はいったん終わり。だって、僕の自己内整理だから。

 え? どうして僕がこんなことを知っているか、って? それに機密文書保管庫への出入りは王の許しがないといけない、って? 許しがあるから文書が読めるんじゃないか。

 僕が何者か、ねぇ。う〜ん。なんて答えるのが一番正しいんだろう。本業も副業も大して忙しくないからはっきり名乗れないな。ああ! 強いて言うならーー


 とある店の店主、かな。

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