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ー 024   普通じゃねえ俺

「何から説明すっかな……」

 ワニ野郎との戦いに決着がついた俺はそう呟いた。

 もう灰色の雲は全て消え去り、空だけだとパライバトルマリン島は以前の面影を取り戻しつつある。

 吹いている風もそうだ。

 あとはワニ野郎を落とした海だけだがどうすっか。

 ワニ野郎はああ見えてもワニだから息ができずもう二度と海面には上がって来れねえとは思うんだが

のぞいてみるとしよう。

 そう思った俺はゆっくりと振り返った。

 するとすぐ目の前が崖となっていた。

 そう、俺達の作戦はワニ野郎が破壊した大神殿の瓦礫を食わせ

ここにあった崖から海に落とすことだった。

 ちなみに大神殿の石柱の重さは俺の体重の百倍以上はある。

 いくらポッキリと折れていてもそれに近い重さがあるし、他の壁も同じようなもんだ。

 それを何十回もワニ野郎の口にぶち込んで食わしてやった。

 さすがのワニ野郎も腹が重くなったようで俺を追い掛けて来る速さはだいぶ遅くなっていた。

 だから俺はここまで逃げながら誘導することができた。

 そしてそのまま崖から落とす作戦だったんだが重すぎて崖が崩れてしまった。

 まあこれぐらい許してもらわねえと割に合わねえ。

 ったく疲れた。

 よくもまあこんなぶっ飛んだ作戦が成功したもんだ。

 さすがの聖女さまの加護だけではここまで上手くいかなかったと俺は自分を褒めてやりたい。

 普通じゃねえ俺がかなりがんばったからこそ俺達の作戦は成功したんだ。

 そうさ。普通の人間じゃぁこんなことはできねえ。

 普通のラナキラだって石柱のドラム一つを運ぶのに十人はいるもんな。

 そう思った俺は空を見上げた。

 すると雲一つない空にはそんな俺を褒めてくれるデッケえ虹がかかっていた。

 褒めてくれてありがとよ、アヌエヌエ。

 俺も礼を言わせてもらう。

 お前がいなければワニ野郎には勝てなかった。

 ……って俺達は勝ったんだよな?

 よくよく考えるとワニ野郎も普通のワニじゃねえんだった。

 何かのぞくのが不安になってきた。

 しかし……のぞくか。

 意を決した俺はしゃがんで崖から海をのぞきこんだ。

「カイ、そんなにビクビクしなくともワニ野郎は死んだんじゃないかな?」

「うわっ、びっくりしたっ!」

 いきなり後ろから声をかけられた俺は飛び跳ねるほど驚いた。

 しかしその声の主を目にした俺の眉間にしわが寄る。

 神殿長だ。

 ボロボロの姿の神殿長が船で待ってるはずのラナキラの仲間に支えられながらそこにいた。

 しかも相変わらず微笑んでやがる。

 ムカツクぜ。

 そう思った俺がゆっくり立ち上がると神殿長は優しく話し掛けてきた。

「まさか君が来てくれるとは思ってもみなかった。

 実はね君がこの島を去ってから私のマイカイとしての力はなくなったんだ。

 そしてこの島にいた者はみんな逃げてしまってて

残ったのはマイカイとしての力がなくなった私だけだったんだよ。

 力をなくした私はこの島を守れなかった責任を取るつもりだったのだけど……」

「……嘘つけ」

「え?」

 俺の言葉に神殿長は言葉をつまらせた。

 しかし微笑みは崩さない。

 ほんと、イライラする!

 だからせめて神殿長のその微笑みを崩してやろうと俺は口を開いた。

「親子そろって嘘つくんじゃねえよ。

 てめえにはあのワニ野郎がこの島に来る未来が見えてたんだろ?

 だから少しでも犠牲を減らすために力をなくしたふりをしてたんだ。

 どうせ他のマイカイとかプレにはそのことは口止めしてんだろ?

 ラナキラ達には島民の安全大地とか言ってできるだけ戦わせねえようにしたんだろ?

 そうやっててめえはこの島から人を遠ざけて守った。

 そしててめえは俺がこの島に来ることを待っていた……違うか?」

 話し終えた俺は口を閉じて神殿長を睨んだ。

 さて、どんな反応をすっか。

 俺は神殿長の反応を静かに待った。

 次回 最終話 ー 025   アヌエヌエとの約束


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