ー 025 アヌエヌエとの約束
「カイ、君は想像力に長けているみたいだけどそれは全然当っていないよ」
俺が待っていても神殿長は微笑みを崩さずそう言った。
この期に及んでまだ嘘をつき通すつもりか?
イラッとした俺の右眉が、ピクッと動く。
だがよ神殿長さま。てめえは一つしくじりやがったんだ。
「当たっていないだと? なら何でてめえはワニ野郎って言った?」
そうだ。
俺に声を掛けた時、てめえはワニ野郎と言った。
あれは俺があのワニ野郎を見て思いついた言葉だ。
まあ誰でも思いつく言葉と言われればそれまでだが神殿長さまが使うとは思えねえ。
さあどうだ?
俺は一度もワニ野郎とは言ってねえぞ?
どうせマイカイのてめえは俺の心を読んでいたんだろ?
だからつい言っちまったんだろ?
そう思いながら俺は得意気な顔で神殿長を見つめた。
すると神殿長の奴は暫くの間は微笑んでいたが急に真面目な顔になった。
「まいったな。まさかあれだけでバレてしまうとは」
そしてわざとらしいことを言いやがった。
あのさぁ……俺にでもわかるようにしただろう?
俺はその気持ちをあの魚の目にこめて神殿長を見つめた。
すると神殿長の奴は、ふふっと笑った。
くそっ、相変わらずムカつくぜ!
しかしもうどうでもいい。
さっさと帰ってオヤジのホットチリ抜き手作り具だくさんペイストリーと
ホットミルクコーヒーをたらふく飲み食いしねえとイライラする!
そう切り替えた俺は袖なしの白いシャツから出した両手を
膝下までの白いズボンの腰にあるポケットにつっこんで歩き出した。
そして神殿長の右横をそのまま通り過ぎた。
顔を見ねえようにしてたから神殿長が微笑んでたかどうかはわからん。
すると俺の前には見事にワニ野郎が色んなものを薙ぎ倒して作った道が広がっていた。
おぉ、これはまた便利なこって。
船がある所まで楽に行けるじゃねえか。
「ならカイ。私をそこまで背負ってくれないか?
ワニ野郎にズタボロにされてしまったものでどうも歩けそうにないんだ」
「……」
神殿長から変なことを言われたが俺はそのまま進んだ。
すると後ろから仲間のラナキラが、俺が背負います神殿長さま!なんてさわいでる声が聞えたが
気にせず進んだ。
わかってる。
足を停めたら負けだ。
だからそのまま進んだ。
「カイ、ありがとう」
すぐ後ろから聞こえる声に答えても負けだ。
しかしこればっかりはそうはいかねえ。
てめえに礼を言われることじゃねえよ。
心で勝手に答えてしまう。
それをわかってる神殿長は俺が声で返さなくとも話し続けた。
「許してくれるわけないよね?」
ったりめえだ。
「カイ、これからどうするんだい?」
さあな。未来のことばっか考えてられねえよ。
「そうだね。ねえ、もう一つだけ聞いていいかい?」
勝手にしろ。
「どうして君の未来だけは私に見えないのだろうか?」
神殿長はまた面倒なことを聞いてきやがった。
そんなことは知るか。
俺はてめえじゃねえからわかるわけねえ!
それに未来が見えて何がいいんだ?
歩き続けながら俺は思った。
すると俺のすぐ後ろから神殿長が、ふふっと笑った声が聞えた。
全く、こういう時には何にも言わねえんだな。
またイラっとしたが不思議とそこまで怒る気はしなかった。
それはこのパライバトルマリン島の上空に広がる青空とデッケエ虹のおかげだろう。
はいはい、アヌエヌエ。俺はそんなことでは怒りませんよ?
俺がその虹を見ながら笑うと一段と虹が輝いた。
するとその虹はそのまま青空に溶け込むようにして消えた。
しかし俺の心にある言葉を残した。
ほんと、いつまで経ってもワガママはなおんねえな。
わーてる、アヌエヌエ。
精一杯生きる。
だからたまにはお前も姿を見せろよ?
そうアヌエヌエと約束した俺はパライバトルマリン島を後にした。
まずはここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!
うーん…何か急に思いついた作品でしたがいかがでしたか?
しかも謎な1500文字きっかりといった縛り設定…(笑)
で、当初、この作品はカイ君には荒れてパライバトルマリン島はアヌエヌエちゃんが犠牲になっても…
みたいなグダグダな作品だったんです。
まあ、そんなのもどうかな~と途中で考えを改めてこんな作品となりました。
でも、色んな人物から振り回される主人公という設定が好きな為、
カイ君にはそういう感じに立ち回っていただきました☆ m(__)m
で、本当は週に一話の投稿予定だったのですが「なろう異世界フェス!」のクエストに挑戦した為に
こんな感じの投稿ペースとなりました。
今後は1000~1500文字程度の作品を週一ペースで投稿していきたいと思いますので
その時はよろしくお願いいたします! 紅pでした☆
◇ おまけの資料集 ◇
・カイ/Kai
ハワイ語で"海”
・アヌエヌエ/nuenue
ハワイ語で"虹”
・プレ/pule
ハワイ語で"祈り、呪文”
・マイカイ/maikai
ハワイ語で"良い、快適、素晴”
・ラナキラ*Lanakira
ハワイ語で"勝利・勝つ”
・マカヒキ/makahiki
ハワイ語で"年に一回の”
・パライバトルマリン
宝石の一種、トルマリンの中でも鮮やかなネオンブルーの輝きを持つ
筆者が、ただ綺麗だなと思っただけの登場♪
・アヌエヌエの指輪の内側の宝石…ベニトアイト
海の色を連想させることと、ファイアが虹を連想させるので
あと、サムシングブルーかな?
アヌエヌエちゃんは子供なんでガッチリ青い服を着ていましたね。ふふふ♪
・ディラン/Dylan
ウェールズ語で「海の息子」や「海から生まれた」という意味
カイ君とおそろ♪
・神殿長とオヤジの名前はひ、み、つ!
・変なオヤジの手作り具だくさんペイストリー
パスティだす! 食べてみたい!
ワイフの故郷の味であるパスティにオヤジの故郷のホットチリを加えてみた
寒い所だからちょっとでも温まればいいな的なのり…。ふふん!
ちなみに筆者はかなりの激辛党☆
・神殿
あの有名なパルテノン神殿の石柱の重さ…約60~100t!
ドラムとは石柱を形成する円盤状の石の事
このドラムを重ね石柱はできているらしい
パルテノン神殿のドラムの重さは5~10t!?
石柱の高さは10m以上!
直径は1.9m?!
他の神殿では石柱一本あたり約10~20tとかもあります
本作に出ている大神殿はこれよりかは少し小さめの神殿の設定でした。
そういうことでカイ君を筆頭にラナキラは化け物級の怪力なんですな☆




