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ヴェンツォファミリーとの晩餐

 俺はティナとバズにどうするか尋ねた。


「旦那さまの決めた事なら従いますわ」


 ティナは同意した。


「巨大な権力には逆らうだけ無駄っス」


 バズは仕方なく現実を受け入れたので、俺は辺境伯へ同意する旨を伝えた。


「よく決断してくれた! レックス」


 辺境伯のヴェンツォ・ランチャは俺に笑顔を向けた。


「すみませんが状況を詳しく説明してもらいたいのですが?」


 俺はヴェンツォに質問した。


「嗚呼、そうだな。ここは領都のランチェスターなのはレックスも知っておるな」


「はい」


「エンツォは子爵で辺境伯領第二都市バジリコの地方行政官を現在やっておる。前にも言った通り、子飼いの小領主どもを集めて軍事訓練をワシへの当て付けにやっておる」


「辺境伯様、私は思うのですが、ソイツ等をまとめて始末する許可をお願いします」


 俺はヴェンツォに進言した。


「ギリギリ共和国との外交問題になる可能性もあるから難しいな」


 ヴェンツォが言った。


「ならば、潜伏する共和国の奴らも始末します。クーデターが始まる前にケリをつけないと共和国に領地を奪われかねません」


 俺はヴェンツォの顔を見た。


「クーデターに失敗したら、ドサクサに共和国の奴らが介入する可能性もあるな」


 ヴェンツォは顎に手をあててつぶやいて、俺の方を見た。


「わかった、許可しよう! だが、なるべく穏便にすませてくれ」


「わかりました。なるべく早く、バジリコに向けて出発します」


 俺は辺境伯に返答した。


「今日はここに泊まってゆくが良い 下の大広間にて食事としよう」


 ヴェンツォは笑顔で告げた。


「ありがとうございます」


 俺達は礼をのべると領主部屋から階下の大広間へと向かった。


 吹き抜けの大広間の壁には色鮮やかなタペストリーが飾られ、巨大な暖炉で薪がパチパチと()ぜていた。


 広間の奥の高の壇で食事を行うようで、大広間と同じフロアに客室もあり、そこで宿泊する様だ。


 侍従の案内で暖炉の前のソファに俺達は座って辺境伯が来るのを待った。


 しばらくするとヴェンツォは家族を連れて大広間へとやって来た。妻のオレリー、息子のジャンノ、娘のアウレリアだ。


 俺達はソファから立ち上がりヴェンツォの家族に挨拶をした後、テーブルに移動して席に着いた。


「お初にお目にかかります」


 俺は型通りの挨拶をした。


「私は王宮の謁見式場に立ち会いました。我が領地から英雄となられた方を輩出出来た事は大変喜ばしい限りです」


 ヴェンツォの息子、子爵のジャンノが述べた。


「ワタクシも英雄となられた方々にお会い出来て光栄です」


 娘のアウレリアが憧れの目で俺達を見た。


「貴方がたは、辺境伯領の誇りですわ」


 妻のオレリーがこちらを見て微笑んだ。


「レックス、息子の事をよろしく頼む」


 ヴェンツォが俺の顔を見て言った。


「そう申されても、俺はしがない冒険者なので期待にそえるかわかりません」


「そんなに謙遜するな、お主はマイバッハ公爵に特別に目をかけられておるからな、これからの王国を背負う期待の新人といったところだろ」


 ヴェンツォは俺に並々ならぬ期待をしているようであった。


「そんな事ないですよ」


 俺は今の自分とかけ離れた評価に戸惑った。


「レックスさん、ワタクシどもの娘はいかがかしら?」


 ヴェンツォの妻のオレリーが物騒な事を言い出した。娘のアウレリアも照れてしまったのか、うつむいてはにかんでいた。


「い、いえ、自分になんか大変もったいないお話です」


 俺は否定の言葉を述べるとともにティナの方を向いた。


「どうかされましたか? 旦那さま」


 にこやかな顔を向けるティナの目から恐ろしくなるほどの圧が俺に差し向けられた。


「次代のリーダーのレックスと娘の婚姻を結んでおけばこの辺境伯領も安泰だからな、よく考えておいてくれ」


 ヴェンツォは俺に念を押した。


「いずれにしてもクーデターを阻止する事が先決です」


 俺が言うとヴェンツォの家族は皆、頷いた。その後、食事を終えた俺達は客室に向かった。


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