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 底辺冒険者セドックのその後の日常

 其の日、サミーは腹痛により体調不良だった。


「おい、サミー! 足が止まってるぞ! もっとキリキリ働け!」


 セドックが厨房の奥から怒声を浴びせた。


「へ、ヘイ、スンマセン」


 サミーは立ち(くら)みを起こし、倒れそうになりながらも返事を返した。


「ったく、使えねぇな、サミーは」


「ケハッ! いつもの、こってすよ」


 厨房にいるバルサムが同調する。


「それにしても今日は特に酷えな」


「まぁ、王国軍の奴らが連日押しかけて来やがるから疲れも溜まってんじゃねぇですかい」


「フン! 連日大盛況で、こうも忙しい日が続くとなぁ」


「何にせよ、嬉しい悲鳴じゃねぇですかい! 冒険者時代に比べれば」


「体は辛えけど、借金も返済出来たし、出来れば王国軍にはこのままずっと辺境伯領に居座ってくれねぇかな」


「ちげぇねぇなぁ、カシラ」


「ガハハハハッ!」


「ゲヒヤヒヤハッ」


 セドックとバルサムは厨房で高笑いをしていた。


 そんな時、黒革の異彩を放つ衣装を着た一行が店内に入って来て入り口近くの窓際のテーブル席に腰掛けた。


「あの窓際の四人の中の一人、オラの事、知ってるみたいだったでゲス」


「なに!」


 セドックとサミーは入り口の窓際を見た。


「アイツ、レックスじゃねぇですかい!」


「本当だ、女連れだな、調子にノリやがって」


 セドックは不敵な笑みを浮かべた。


「おい、バルサム! アイツラの飯にねずみの死骸を入れておけ!」


「良い考えですな、カシラ! 今までの積年の恨み、晴らしやしょう」


 バルサムがそう言うと浮かれた足でワナに掛かったねずみの死骸を持ってきてスープの入ったリーメンの中に放り込んだ。


「おい、サミー! コイツをアイツラの所へ持って行け!」


 セドックはサミーに指示を出した。


「へい」


 そう言って言われた通りにリーメンを運んで行った。サミーの腹具合は腹痛により決壊寸前のようだった。


 サミーはセドックの指示を受けている最中、鳥肌が立ち、話をまともに聞いていなかった。料理を運んでいる今も気が遠くなり意識が飛びそうに見えた。


「ちゃんと持って行ったか?」

 

 戻って来たサミーにセドックは確認した。


「へい、持って行ったでゲス」


「それでいい」


 セドックはニヤリと笑った。


「おら、腹の調子が悪いのでトイレ行ってくるでゲス」


「行っていいぞ」


 そう言うとサミーは姿を消した。


「ゲハッ! それにしてもカシラ、レックスの野郎が驚き、困る様を見るのが楽しみでしようがないでさぁ!」


「多少はスカッとしそうだな」


 セドックはこの千載一遇の機会に期待するあまり体が武者震いを起こしたが、それは長く続かなかった。


「おい! これは何だ!」


 窓際の方から怒声が発せられた。


「ねずみが入ってるぞ! 責任者はどこだ!」


 怒り狂った王国兵士が厨房の方へ詰め寄ってきた。


「私が責任者のセドックで御座いやす。こちらがフロア責任者のバルサムで御座いやす」


 下卑た顔で王國兵士達に頭を下げるセドックとバルサム。


「私めはなんの関係もありやせん。全てフロア責任者のこのバルサムの責任でございやす」


 セドックは全ての罪をバルサムにナスリつけた。


「カシラ何言ってるんですかい! そりゃないですぜぇ! 全てカシラの命令じゃぁありやせんか!」


 二人はお互いに責任をナスりつけあっていた。


「ふざけるんじゃねえぞ! お前達!」


 王国兵士が剣を抜きセドックとバルサムを斬りつけた。


 セドックとバルサムは出血し床に倒れた。


「あぁ、スッキリしたでゲス」


 清々しい姿でトイレから現れたサミーの眼前には血に染まる二人の姿があった。


「一体、どうしたでゲスかぁ! 二人とも!」


 サミーは驚いて二人に駆け寄るも二人とも意識はなかった。

 

 その時には、既にレックス達は店を去った後だった。


 


1〜8話のセドック達のその後の話

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