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どっちの魔導ギター

「ところでバズ、お前どっちのギターをこれから使いたい?」


 俺はバズにたずねた。


「そうっスねぇ」


 ひとつは機能美を極めた流線形の計算された美しさで、細身のネックと、ペグは片側に並んだモノだ。


「こっちにするっス! なんか男心をくすぐるっス」」


 ピックガードが大きく配置されていて、メカニカルなスイッチや3つのノブが並ぶ様子は工業製品的な感じに見えた。


「それじゃあ、俺は残りの方だな」


 俺はもう一方を手に取った。


 もう一つは美しい木目と装飾が伝統を纏った重厚で高級な工芸品のように気高い気品と圧倒的な存在感を放っていた。


 左右に3本ずつ配置されたペグとヘッドストック、ずっしりとした重みが音の太さを予感させた。


「けどバズ、それでいいのか? 音を歪ませたいのならこっちの方がいいんじゃないか」


「そんなもん、魔導ギターのボリュームとトーンを調整すれば、何とかなるっス!」


 バズは軽口を叩いた。


「わかった、お前がそういうならそれでいい」


「ありがとうございます、師匠!」


 バズは自分で選んだギターを抱えると、身体に吸い付くような感覚と一体感を手にして気分が高揚しているように見えた。


「コイツが俺の新しい相棒か」


 俺は魔導ギターを抱えるとその感触を確かめた。


 それから俺はバズとそれぞれの役割とバランスについて話しあった。


「バズ、リズムとバッキング重視でいくのか、リードと装飾重視でいくのか、どっちがいい?」


「俺、派手なソロやエフェクトがやりたいっス!」


 バズは軽快に答えた。


「そうか、それで行くか」


 俺達の役割が決まった。



 それからも俺達は、クラウスたちの演奏を目安に練習に打ち込んだ。


 そのおかげで今、クラウスのバンド『アンデッドソード』のコピーバンド決定戦があれば、俺達が圧倒的な優勝だろうなと確信するほどの実力が身に付いた。実際、それだけの自信があった。


 そこからさらに、曲を作り、クラウスのバンドのテクニックなどをどん欲に採り入れた音作りに努めた。


「だいぶ、サマになって来たな、よし、そろそろダンジョンに潜るか!」


「ようやくっスね!」


 バズはこの時を、待ち焦がれていたようだ。そうして俺達は二層目に向かう事になった。

 

 俺達は二層目に転移すると前回苦戦した敵を呆気なく撃破していった。というか、そんなに苦戦しなかったのだが。


 

 俺達は第二層のボス部屋の前に立っていた。


「全く疲れていないからこのまま一気に、ボス戦でひと勝負といくか」


「師匠、それは無謀っスよ! 休憩は必要っス」


「バズ、お前がそれを言うか」


「俺は生まれ変わったっス」


「バズの言う通りですよ、休息を取らないと判断力が低下しますわ」


「わかったよ、じゃあ、今日はここ迄だ」


「明日に備えよう」


 俺達は転移門近くのやや広めのスペースで野営する事にした。


「それにしても、ダンジョンの魔物ってしばらく経ったらまた湧いてきて、同じ行動するんだよな?」


「全てがそうとは限らないっス」


 バズがこっちを向いた。


「何だよ、その他人事みたいな言い方は」


「だって、全く同じ魔物かどうかも定かじゃないし、同じ行動って言ってもシチュエーションが変われば動きもかわるっス! それに場所によってはランダムに再生成する所もあるっス」


「そうか、そうだよな」


 ボス部屋にいるクラウス達も俺達の事はすっかり忘れてしまってるんだろうなと考えながら、俺はバズの言う事に頷いた。


 

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