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第9話『勇者パーティの実力が半端ない!』

「ダンジョンというか戦闘が初めてだろうから、とりあえず見学しているといいわ」

「す、凄い」


 ハンノの隣で、3人がモンスターをバッタバッタと倒していく光景を眺めている。


 リインは、素早い剣裁きで切り裂く姿は様になっているけど、肩慣らしと言えるほど楽々そう。

 ミィラは盾と剣を扱って攻防一体の戦い方だけど、もはや盾が防御ではなく薙ぎ払ったりしているから武器にしか見えない。

 サーレは刃付きのメリケンサックや全身を使ったり、柔軟に地面へ腕を突いて芦で回転蹴りをしている。


 それぞれが特徴的な戦い方をしているけど、洗練されていて常に先を見ながら動いていて警戒心も忘れていない。

 ダンジョンの傾向として、上層部に出現するモンスターは子供でも討伐できるもの。

 だから、個人的にはあそこまでの強さを持っている人たちが肩慣らしする程度なら、あそこまでやる必要があるのか疑問が残る。

 逆に言えば徹底しているからこそ油断しないとも捉えられるわけだけど。


「さあ、あたしたちも足を進めるわよ」


 先行する3人に置いていかれないよう、私たちも足を進める。


 本当に知っているダンジョンの風景と変わり映えしない風景が続くけど、今回は1人じゃないことを実感していた。

 なぜかと言うと、ミィラからの視線が常にこちらを向いているような気がするから。

 実際にはチラッと目線を向けてきているだけだけど、まるで背中に目がついているのかと錯覚してしまうほどの圧力みたいなものが感じられる。

 前衛と後衛の防御面を担っている、という話を自己紹介のときにしていたけど――もしも今感じているものが本当なら、凄い集中力を維持し続けているということ。


 普通を知らないけど、尋常じゃないことは痛感できた。


「そうだ、あたしたちの出番はまだだから聖眼について軽く説明しておくわね」

「う、うん」

「精霊の物事を認識できるのは披露したわね。後は魔法補助の効果もあるの」

「魔法補助?」

「魔法は基本的に発動1回につき1つ。でも、聖眼は魔法を発動待機させておくことができるの」

「ごめん、さっぱりわからない」

「普通の人は目に見えないけど、ここら辺とかここら辺に魔法を待機させているの」


 ハンノは空中の右に左に上に下に指を立てて向けているけど、説明通りに何も見えない。


「実際に見せた方が早いわね。じゃあ進行方向見ていて。ほいっ」

「うわっ」


 言われた通りに目線を向けた瞬間、紅い炎が急に横目に入って地面にぶつかった。


「とりあえず、こんな感じ」

「補助っていう感じの威力じゃないよね? しかも、それが複数待機しているの?」

「かなり便利なんだけど、威力だけは操作できないの。予想だけど、最大威力に比例していくのかなって」

「え、じゃあハンノの実力が上がっていけばいくほど補助魔法の威力も上がるってこと?」

「たぶん」


 う、うわあ……。

 本人は【魔女】と言われていることに不満を抱いていたようだけど、そりゃあたしかに【魔女】って呼ばれるよ。

 初見殺しにもほどがあるし、本人が魔法の準備をしている最中も見えない場所からとんでもない威力の魔法が飛んでくるんでしょ?

 しかも何個あるかも本人以外把握できないわけだし、あまりにも付け入る隙がなさすぎて近寄ることができないって。


 でも味方に居てくれるなら、これ以上ない安心感を得られる嬉しい話だけど。


「ちなみに、もう感じているかと思うけど。ミィラの反応速度はパーティで1番よ」

「そうなの?」

「その疑問はわかる。見ている感じだと、リインやサーレの方が早く思えるわよね。大体合ってるけど、ちょっと違うの」

「というと?」

「リインに関しては、勝利に対する貪欲さがもたらす神の加護みたいな感じなの。サーレは全部が勘で、本能って言うか戦いの嗅覚が尖っているというか、要するに頭は追いついていないの」

「なるほど?」

「でもミィラは、常に全体を把握しながら思考を巡らせ続け、最適解を模索しながらも後衛のあたしたちへ意識を配らせているの。だからなのかわからないけど、体を動かす反応速度だけじゃなく思考の反応速度も尋常じゃないの」

「考えてから体が動くまでの速さがずば抜けているってことなのね」

「そうそう。リインとサーレに理屈を聞いても意味がわからない回答が返ってくるけど、ミィラに聞くと状況説明に加えて行動の合理性や納得できる理由が返ってくるわよ」

「ほえぇ~!」


 ミィラはたぶん、とんでもなく頭がいいのだと思う。

 頭の回転が速く、柔軟性もあり視野も拾い。

 応用力も発想力も兼ね備えていて、状況判断能力にも長けていて大胆に動く気が強いだけではなく、絶対なる自信があって――まさに超人ね。

 でも、説明を聞いていて感じたことだけど思うけど、もしかしたら一番であり唯一の常識人であり常人枠なのかもしれない。


 リインもサーレもハンノも……こんな人間と言えるのか怪しい人たちがパーティメンバーだから、そうならざる負えない状況だったのだと思う。


「ほら見て、アレ」

「うわあ……」


 ミィラの実力が証明されるのかと思ったら、ハンノが指を向けている方向にはサーレが暴れ回っていた。

 モンスターと対峙しているというのに、その顔には笑顔が咲いている。

 正確にはわからないけど、視覚で捉えるより先にモンスターへ跳んでいく感じを見るに――嗅覚が鋭い獣。


 動きも動きで、手で着地したり空中前転したり、体の骨がないのではないかと錯覚してしまうほど柔軟な回避方法は人間のソレではなく動物のソレだ。


「あの本能的な戦い方、あたしの魔法をただの直感だけで回避したりするんだよ。理解できないよね」

「そ、そうね」


 私からしたら、もう全員が理解できない。


「ちなみに、自分だけ仲間外れみたいな顔しているけど。ルミナも大概だと思うよ。神託を受けるどころか神の力をそのまま行使できるって噂だけど」

「どうかな。私はみんなみたいに凄いことはできないと思うよ」

「その感じだといろいろと知らない感じみたいね。まあいいわ。どうせ後で披露するときが来るだろうし」

「私もみんなの役に立てるよう頑張るね」

「役に立つどころか、これからはパーティの要になると思うけどね」


 そう思ってもらえるように頑張らなくちゃっ。

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