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第10話『みんなの疲労回復だって任せて!』

 私の称号、【精霊使いの神聖女】。

 名前負けしないように、エドとラグと一緒に頑張らなくっちゃ。


「ふぅ。肩慣らしにしてはちょっと動きすぎちゃったね」

「同じく」

「だね」

「ちょっといいところをみせたいって張り切りすぎ」


 モンスターは見渡す限り駆逐されてしまった。


 というか、私がモンスターを認知する前にみんなの陰に隠れちゃっていたから、みんなの凄さしかわからなかったけど。


「じゃあ――【ライヒール】」


 見た感じ、誰も傷を負っていない。

 だから私にできることと言えば、みんなの蓄積した疲労を解消してあげることぐらい。


「うわあ凄い」

「どう? 効き目は大丈夫そう?」

「効き目も何も、さっきまでがなかったかのようになっちゃった」

「それもそうだけど、体の調子があまりにもよすぎる」

「何はともあれありがとう!」

「これを瞬く間に終わらせ、消耗している様子もない。リイン、本当に凄い聖女様を拾ってきたわね」

「わたしもここまでとは思っていなかったけどね」


 私、別にみんなみたいに凄いことをした憶えはないけど?

 聖女の話が出てくるあたり、他の聖女もできるってことよね?


 ああそうか、基本的に聖女の力を目の当たりにする機会がないから驚いているんだ。


「これだったら、休憩しなくても大丈夫だね」

「いいえ、ちょっと待って」

「ん?」

「みんな体は大丈夫だとしても気疲れはしているから休んで」

「まだまだ序の口だから大丈夫だよ」

「いえ、ちょっとの間だけ私が戦うわ!」

「え?」

「いいのいいの」


 そうよ、ここからまだまだ先があるのなら私が少しでも負担を減らさなくちゃ!

 どんなモンスターが出るかはわからないけど、私だってダンジョンで戦った経験がある!


 みんなは私を止めようとしていた里心配している顔をしているけど、気を遣われっぱなしじゃダメ。

 私も勇者パーティの一員になったのだから、少しでも自分にできることをやらなくちゃ。


 よーしっ、行くぞーっ!


「【ヒールリターンアーマー】」


 モンスターを補足。

 地上で遭遇するモンスターとは別で、私の知っているダンジョンで出てくるモンスターと一緒ね。

 機敏に動く大きいモグラに通常より大きい蝙蝠。

 戦ったことがあるから、どう動くのかはわかる。


「よしっ」


 私の動きは、みんなみたいに素早くはない。


「えいっ、やーっ」


 サーレみたいには動けないけど、威力が上がっているから殴って蹴ったりしてモンスターを倒すことができる。


「全然痛くないよ」


 ミィラみたいに後ろまで気を回すことはできないけど、攻撃されたって、それが威力上昇になる。


「たーっ!」


 そしてハンノみたいな魔法は扱えないけど、攻撃を受けたその場で治すことができる。

 回復し続けることもできるから、疲労感を感じることなく動き続けることも可能!


「おりゃっ」


 リインみたいに勝利への渇望はないけど、みんなの役に立ちたい気持ちは大きく持っていきたい。

 だから私は負けないんだ!


「――よし。これで大丈夫そうかな」


 無我夢中にモンスターを倒しながら突き進んじゃった。

 進む方向が間違っていたらどうしよう。


「大丈夫も何も、ダンジョンの階層移動通路まで辿り着いちゃったよ」

「そうなの?」

「うん。ほら、ちょっと前に洞窟の入り口みたいなところがあるでしょ」

「本当だ。階段になっていたりする?」

「そうだね」


 なるほど、私が知っているダンジョンも下の階層へ移動するときは階段か坂道になっていた。

 やっぱり各ダンジョンで違いはなさそうね。


 でも、ここのダンジョンと私が封印の担当をしていたダンジョンは何が違うのかな?


「このまま移動しちゃおうか」


 リインを先頭に、私たちは岩肌で造り上げたような階段を下りて移動再開する。


「ねえ、私が居た領地のダンジョンとここのダンジョンって何が違うの?」

「その質問に驚きそうになるけど、そうだよね。外の世界を知らないなら仕方がない。基本的にダンジョンの違いは出現するモンスターや階層がわかりやすいね」

「でもさっきのモンスターは見たことがあるよ? もっと下の話?」

「ねえルミナ、逆に質問したいことがあるんだけど」

「何?」

「封印を担当している聖女って、ダンジョンの階層を把握しているって聞いたことがるんだけど本当?」

「うん。私が封印していたダンジョンは100階層だったよ」

「え」

「え」

「え」

「え」

「え?」


 他のダンジョンを知らないけど、もしかして少なかったのかな。

 そうれもそうよね、他のダンジョンは複数の聖女で封印しているんだし。


「わたしたちが勇者パーティと言われるようになったのは、封印が決壊したダンジョンを攻略してラスボスを討伐したからなの」

「え! 凄い!」

「追加で質問するけど。ダンジョンの中を知っている様子だったけど、他のパーティ……を知らないから1人で入ったんだろうけど……何階層まで行ったの?」

「えーっとー……50階層かな。あーでも、30階層ぐらいから数えるのが面倒になっちゃったから正確じゃないかも」

「嘘でしょ……」


 え? みんなが口をぽっかりと開けて目線を合わせている。

 何かマズいことをしちゃっていたのかな……。


「そもそもの話、聖女が1人でモンスターを倒せるって規格外の事実は一旦置いておいて。ダンジョンを1人でそこまで行けるっていうのは、文字通り神が為せる御業でしかないのよ」

「え? そうなの?」

「リインも神託を授かっているから、人の子とは言えないけどね」

「聖眼の魔女には言われたくはないけどね」

「神聖女の実力がここまでとは……わたし、本当に凄すぎる人を加入させちゃったよ」

「ボクは今、ルミナが神々しく見えてきたよ」

「ワタシも同じだ。もふもふなエドとラグは、もはや神獣とでも言えてしまえるのではないか」

『ワンッ』

『にゃ~』


 みんなのリアクションを見ると、本当に私がやっていたことはみんなみたいに規格外だったようね……。

 すんなりと受け入れられないけど、まさかこんなに驚かれちゃうとは。

 もはやドン引きしている様子を見たら、嫌でも信じるしかない。


「ちょ、ちょっと待って。次の階層、エドとラグに戦ってもらいましょう」

「え? この子たち、防御や補助が主にできることだよ?」

「それはそうなんだろうけど――ミィラの発言が気になって。試しておいた方がいいと思うの」

「エド、ラグ、大丈夫そう?」

『ワンッ!』

『にゃー!』

「飼い主――じゃなくて契約者的には心配で仕方ないけど、わかった。この子たちもやる気みたいだから任せる」


 会話が終わると同時に階段が終わり、次の階へ到着。


 また苦しんでいるような姿は見たくないから、すぐに回復させて上がる準備はしておかないと。

 でもでも、んー……ダメだよね応援しないと――頑張ってエド、ラグ!

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