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第12話『神聖女はまたしても神業を披露!』

「や、やっと到着した……」


 リインが目標として指示していた20階層あたり? にようやく到着した。

 いや、ようやくと言うほど時間はかかっていないんだけど……大体10分ぐらい?


 他のみんなも、高速移動した弊害によって膝に手を当てて呼吸を整えている。


「さてルミナ。ここからは本格的にダンジョン攻略をしていくよ」

「うん、頑張る」

「でもその前に休憩を兼ねて、ダンジョンについて軽くおさらいしておこう」

「そうね、このダンジョンも何階層まであるのか気になっていたし」

「ちなみにルミナが封印していたダンジョンと同じ100階層――と位置づけられているね」

「でも聖女の封印は施さないのね?」

「まあね。聖女は複数人居ても、そこまで沢山居るわけじゃない。だから冒険者が居て、日々ダンジョンのモンスターを倒し続けているの」

「ほうほう、なるほど」


 世間を知らなすぎたし、最後に出会ったのも聖女だったからてっきり多いのかと思っていた。

 でもそうなると、複数の聖女を抱えている土地というのは有益な場所だったり権力者が管理していたりしそうね。

 思い返せば、私が生活していた領地は世間的には大事な土地か権力者みたい。


 だから神聖女と言われるほどの実力を持っていた私を、物心つく頃から拘束し続けたんだろうし。


「あれ? でもダンジョンって、ラスボスを討伐したらモンスターが出現しなくなるんじゃ? どうして冒険者が沢山いて、勇者パーティまで居るのに討伐していないの?」

「まあ、そこに行き着くよね」

「敵がつよつよとか?」

「実際それもある。わたしたちが攻略できたのは50階層のダンジョン。しかも現地の冒険者たちと協力して乗り越えた危機だから、正直わたしたちだけが勇者パーティと呼ばれていることに違和感は残っているの」

「でも、みんな桁違いに強いのは事実だよね」

「それはそうだけど、結局はみんながわたしたちを消耗させずにダンジョン攻略してくれたから、第50回のラスボスと絶好調で戦えたのよ。その間に沢山の犠牲者も出てしまった」


 命のリレー……が、実際に行われたということね。

 当時は、お気楽にダンジョン攻略していた私なんかは考えることすらできないほど、想像を絶する光景が広がっていたのかもしれない。


 リインが落ち着いた声で話し続けていることが、全ての証拠と言える。


「そして、このダンジョンは冒険者ギルドによって制御されているの」

「ダンジョンを制御?」

「うん。要するに、強い冒険者には漏れなく『ダンジョンを攻略しないよう』命令されているの」

「複雑そうな話ね」

「基本的にダンジョンは【宝が湧き上がる場所】として思われている側面もあるの。モンスターの素材を取り放題でもあるから」

「なるほど」

「一応、ダンジョンのラスボスを討伐したら鉱物や生息植物は採取できる。それに脅威となるモンスターも出現しなくなる。でも、無限から有限に変わってしまうの」

「あぁ、そういうことね」


 まず何をするにしても必要なのは“()”。

 いつの世も、どの世界でもそれは変わりないということね。


 危険の顧みて富を得るのではなく、冒険者に報酬を渡すことによって危険を排除し、多大なる富は管理者が懐に入れる。

 捉え方は極端で冒険者ギルドが悪いように見えてしまうけど、命を懸ける代わりに報酬を得ているのだから、等価交換というかウィンウィンという話かしらね。


「というわけで、話はここまでにしようか。みんなも動けるようになったみたいだし」

「まだ少しだけふわふわしたような感覚は残っているけど、歩いていたら大丈夫になると思う」

「ボクはもう慣れた。このままもう1回でもいける!」

「ワタシは、もう少しだけもふもふしたい気分――じゃなくて、いつでも大丈夫」

「ははっ。ルミナ、憶えておくといい。ミィラはすっごく真面目な騎士って印象だろうけど、かわいいものに目がないんだ。エドとラグが小さい姿のとき、めっちゃ目が釘付けになっていたから」

「あらそうなのね。かわいいものは私も好きよ。この子たちが許可したら、その都度もふもふしてもいいから」

「な、なんと!? 飼い主から――じゃなくて契約者からそう言ってもらえると助かる」


 ふふふっ。

 かわいいものが好きなのは、みんなも一緒よね。

 でもちょっと以外。

 ミィラは少しだけ近寄りがたいと思っていたけど、案外気が合いそう。


「今日は、前回到達した25階層を目標に――と思っていたけど、新しい仲間が加わったおかげで30階層まで攻略を進めてみようと思う」

「さらに余裕そうだったら?」

「ハンノ、無茶振りはやめてくれ――と言いたいところだけど、その可能性は大いにある。だから、最高でも35階層までと上限を決めておく」

「そうよね。神聖女の回復と支援だけじゃなく、神獣ちゃんたちも居るんだから」

『ワオォンッ!』

『がぁあぁっ!』


 姿が大きくなっただけじゃなく純白なオオカミとライオンが返事、というより咆哮をあげると、反響音がすっごい。

 でもやる気が物凄く伝わってくるから、契約者の私も頑張らなくちゃね。


「進行速度は遅くなるから、その分モンスターに囲まれる危険性が増えることだけは憶えておいて。もしも囲まれたら、またエドとラグに乗せてもらう選択肢を忘れないでね」

「じゃあみんなに、持続回復と能力支援をかけておくね――【ヒールレーション】【ムーブグラ―ション】」

「うわ、体が軽っ。しかも動作が早っ」

「本当だ。重量を感じる盾や鎧が軽く感じるだけじゃなく、早く振れる」

「はははっ、あまりにも規格外だ。後衛の距離感はハンノを参考にね。じゃあみんな、いくよっ!」


 リインを先頭に、初めてのパーティによるダンジョン攻略が本格的に始まった。


「本当だ。すっごく体が軽い。これなら後衛だけでもモンスターから逃げられそう」

「ぴょんぴょん跳ねすぎないでね」

「もしかして天井まで跳べちゃったり?」

「やったことがないからわからないけど、少なくとも私を1人にしないで」

「大丈夫大丈夫。移動中にルミナの周りに1つだけ魔法を仕込んでおいてあるから」

「どんな?」

「頼もしい精霊が居るから危なくなる状況が訪れるかはわからないけど、一応飛ぶほど面白いやつだよ」

「だからそれが何か教えてよ。私のために発動しても、上手く活かせないじゃない」

「ほら、進まないと離れちゃうよ」

「んもーっ!」

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