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《適正》の軍師――SSS級冒険者は、天才皇帝の侵攻に挑む  作者: 竜太郎


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閉じられた劇場

帝都の劇場が軍の集会所に転用されると聞き、役者たちが皇宮へ陳情に来た。先帝の代から使われてきた舞台には、冬の興行を待つ子供たちがいる。レオンハルトは用地担当官の説明を聞いた。劇場は広く、暖房もあり、兵の宿舎に近い。それだけで選ばれていた。


「同じ広さの建物は他にないのか」と尋ねると、担当官は空いた織物倉庫を挙げた。倉庫は隙間風が強く、暖房の工事が必要だが、劇場を閉じるより総費用は安い。担当官が倉庫を選ばなかったのは、改修費が自分の部署の予算になるためだった。


レオンハルトは改修費を軍の施設費から出すよう命じた。部署ごとの損得が、国全体の損失へ変わる典型だった。役者たちは礼を述べたが、皇帝は公演の招待を辞退した。王国と戦う間、歓声の中で自分だけが安らぐことを恐れたのではない。夕方には前線の軍医との会議があった。


リディアは皇帝の疲れを気遣い、時には劇を見るべきだと勧めた。「帝都の人々が笑うことを禁じてはいません」と言う。レオンハルトは頷いた。自分に許さないことを、国民にまで広げるべきではない。


劇場の支配人は、兵たちへ無料の席を少しだけ残すと申し出た。皇帝は軍で一括して席を取り上げることを認めず、希望者が通常の手続きで申し込むよう告げた。慰めを与える名目で、誰かの客席を奪いたくなかった。


劇場は予定通り開いた。役者たちは台本の一部を変え、戦地の家族を待つ町の話を演じた。客席には泣く者も笑う者もいた。皇帝はその晩、興行収入より舞台で働く人数を報告させた。街が働き続けていることを知るためだった。

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